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しおりを挟むおはよう、と彼方此方から挨拶が聞こえてくる通学路。
大きな欠伸をひとつ欠きながら、ひとりふらふらと学校へ向かい歩いていた。なんせ昨日の夜中に見た悪夢のせいか、今日の朝方まで一睡も出来なかったのだ。
目覚めるまで夢だと気付かない妙にリアルなその悪夢は、飛び起きた時には全身から嫌な汗が滝のように流れる程だ。何故自分があんな夢を見たのか、今更ながらに疑問であった。
普段から話す事のない彼の───しかも目の前であんな事故に合い、彼が亡くなる悪夢なんてとてもじゃ無いけど縁起が悪いし、申し訳ない。
大体昔ならまだしも、今となっては一緒にいられる事すら無い彼なのに、夢の現場とはいえ二人でいること自体が不思議でしょうが無い。
〈何故、僕が彼と……?〉
彼や是や思考を巡らせていると、後ろの方から声が聞こえた。
「おーい、夢叶!!」
その名前に思わず肩がビクリと震えた。ゆっくり振り返り後ろを見る。と、クラスメイトが数人で談笑しながら歩いていていた。その中で一人だけ顔を顰めて歩く人物。それは名前を呼ばれた張本人、白中 夢叶【しらなか むと】だった。
昔、僕と一時期だけ親友だった彼は、元々家が近所で小さい頃はよく一緒に遊ぶ仲だった。彼は結構やんちゃで遊ぶといつも泣かされたけど、それでも僕は彼が大好きで、よく引っ付き歩いた。彼も彼で煩わしく思いながらも、僕を突き放さず一緒に遊んでくれた。
だけどある時、突然彼から絶交を言い渡されてしまい、それから彼とは疎遠になってしまった。
その理由は今でも分からず仕舞いである…。
そんな彼らを暫く眺めていると、不意に彼が此方へ視線を向けた事により、バッチリ目が合ってしまった。あっ、と思うもつかの間。彼は僕に気付くと機嫌悪そうに視線を逸らした。僕も同じく彼から視線を逸らして再び歩き出す。見ての通り、彼からはもの凄く嫌われているのだ。後ろの賑やかな声を聞きながら、僕はふらりと学校の門へと足を進めた。
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