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第1章

10話

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 木々に引っ掛けられて脆くなったシスター服が、悪魔の手で引きちぎられる。
 左右にシスター服を引きちぎると、悪魔はリーナの下着を捲りあげ、あらわになった腹部に視線を落とした。

「ここは、まだ綺麗な方だな……」

 そう言いながら、腹にある傷に口付けていく。

「ぁっ、ん」

 掠めるように悪魔の唇が触れてくすぐったい。
 けれど、同時に妙な気分になる。
 リーナは花びらからとろりと蜜が流れたのを感じた。

(やだ……)

 これではまるで、悪魔に触れられることを許容しているようだ。
 むしろ、もっと触れられたいと望んでいるかのようだ。

(お願い、気づかないで。早く終わって……!)

 きっと、傷を治したら悪魔は満足してくれる。
 すぐに解放してくれる。
 そうしたら、さっさと姿を消そう。

 そんな願いとは裏腹に、腹部の傷を治し終えた悪魔は、リーナの下着までも引き裂いてきた。

「え、やっ!」

 リーナの白い乳房がふるんとのぞき、同時に無数の痛々しい傷が現れる。

「酷いな……」

 悪魔の呟きに、リーナはようやくそこに傷があることを認識した。
 だが、痛みよりも羞恥や屈辱の方が上だった。

「いやっ……っ痛っ!」

 見られたくない。
 悪魔から距離をとろうと足に力を入れた途端、するどい痛みが全身に走る。
 
「おいおい……。まだ足は治してないんだから無理に動くなよ」

「そんなこと言われても!」

 全部全部あなたのせいでしょ、と。
 リーナの言いたかったセリフは、悪魔に呑まれた。

「や、あ……ぁっ」

 胸の膨らみに沿って、下の方から悪魔が舌を這わせてくる。
 頂きを悪魔の舌がなぞり、リーナの身体がぞくりと震えた。

「っ……」

「ん……お前、甘いな」

「そんなわけ……ぁんっ」
 
 悪魔の頭を掴む。
 どうにか彼の頭を遠ざけたい。
 だけれど、力を入れるより先に全身へキスの雨を降らされてしまって、身体から力が抜けていってしまった。

「もぅ、傷はないでしょ……っ! だから、もう、ゃめ……っ」

「ん? あるだろ? 傷」

 もう上半身にはあるはずがない。
 そのくらい、悪魔はリーナの身体中に舌を這わせた。
 上半身からはもう痛みを感じない。
 それなのに、悪魔はリーナから唇を離さない。

「ゃぁ……っ嘘言わないで…… もう離してぇ……っ」

「離さない」

 
 
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