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第3章*パーティーと気持ちの行方
39・あなたが受け入れてくれるから*
しおりを挟む「……ルーナ、さん……」
「は、ぁ……っマクシミリアン……っ」
マクシミリアンは長身を屈めて、ルーナに覆い被さるようにして口付けを深める。
角度を何度も変えて、ルーナの口内を味わい尽くすように。
胸が痛いほど高鳴って、ルーナは苦しいほどだ。
「……性急で申し訳ありません」
マクシミリアンは唇を離したわずかな合間に、小さく呟きをこぼした。
「ですが……貴女が欲しい」
小さな呟きなのに、熱を孕んだその一言はルーナの心を震わせる。
(夢みたい)
マクシミリアンが求めてくれるなんて。
舌を擦り、絡ませながら、マクシミリアンはルーナの首元にかかるリボンに手を伸ばした。
しゅるりとリボンの擦れる音が、どこか遠くで聞こえる。
マクシミリアンは迷うことなくルーナの腰に手を回し、ルーナの体を締めるコルセットを緩めた。
「ん……ッんん……」
自分ではない人の手で、それもマクシミリアンの手によって服をくつろげられているという事実に、ルーナは今さらながら恥ずかしくなる。
(さっきまで逃げようとしていたのはなんだったのよ……!)
自分ばかりが乱されて、ルーナは少しだけ悔しく思う。
言葉は不器用なくせに。
マクシミリアンはとても器用だ。
深く口付けながら、マクシミリアンの長い指がブラウスのボタンを外し、ルーナの着衣をどんどん乱していく。
「マクシミリア、ん、んぅ……っん……」
キスをやめてくれないから、まともに呼吸が出来なくて、まるで溺れていくように苦しくなっていく。
マクシミリアンはようやく唇を離すと、必死で呼吸を整えるルーナを愛おしそうに見下ろした。
「ルーナさん……。貴女はどうしてそんなに可愛らしいのですか」
「な……!」
(え……な、な、何言ってるのこの人)
無表情を崩して、マクシミリアンが熱っぽく呟きを落とす。
可愛い、だなんて。
この人、そんなことを言うキャラだっただろうか。
と考えて、ふとルーナは思い出した。
『MRL』のマクシミリアン・ロッド・アニエスが、どういうキャラクターだったかを。
両思いになってからの展開は、甘い。とにかく甘い。
それは、思わず『お前、最初のツンツンしたのはどこいったよ』と突っ込みたくなるレベルの甘さで。
「貴女を乱していいのは私だけです。いいですね……?」
(ひ、ひええええええ!!)
そう言って、マクシミリアンはルーナの首筋へ口付けてくる。
マクシミリアンのセリフに、ルーナは妙な声を上げてしまいそうだった。
(だって、だって、だって!)
ゲームのマクシミリアンが放った台詞、そのままだったのだから。
今はその言葉を自分に言われているのだ、ということさえすぐに理解できないほど、『MRL』大ファンのルーナの心は踊る。
(て、転生してよかった!! 生でその台詞聞けるとか! 神様ありがとう!)
今ほど転生したことに感謝したことはない。
感動しているルーナの様子をよそに、マクシミリアンはルーナの首筋を軽く吸い上げた。
「……っあ……っ!」
ぴり、とそこが痺れて、舞い上がったルーナの思考は現実へ引き戻される。
「……ほかのことを考えないで。今は私だけを考えてください」
まっすぐに向けられたマクシミリアンの視線に、どくんとルーナの鼓動が跳ねた。
その間にもストンとロングスカートを落とされて、どんどんとあられもない姿にされていく。
ブラウスがスカートのあとを追うように肩から落ちる。
「や……っぁ……ふ、ぅ……っ」
シュミーズの中へするりとマクシミリアンの熱い手が忍び込んできて、ルーナはビクリとしてしまった。
ルーナの膨らみを確かめるように、マクシミリアンが優しくそこを撫でる。
マクシミリアンの手のひらが与えてくるもどかしい刺激に、ルーナは吐息を漏らした。
「あ……ゃぁ……っ、あぁ……っ、マクシミリアン……っ」
「……どうかしましたか?」
尖り始めた胸の先端を、マクシミリアンが指先でぷりぷりと弄ってくる。
どうかしましたか、なんて。
答えなどわかりきっているくせに。
「どうかしたも、なにも……っひ、ぁあ……っ」
(意地悪……!!)
きゅ、と少し強めに頂きを摘まれて、高い悲鳴を上げてしまう。
涙目で睨みあげると、マクシミリアンは申し訳なさそうな顔をした。
「……申し訳ありません、少し意地悪でしたね。貴女が媚薬なしでも感じてくれているようで、嬉しくて……」
「……っ!」
この人は、ずるい。
そんなふうに言われてしまえば、ルーナはもう責めることも出来なくなる。
「脱がしますけど……いいですか」
マクシミリアンはルーナのシュミーズに手をかけて、小さく尋ねた。
(デリカシー!!)
こんな場面でいちいち許可を取らないでほしい、とルーナは思ってしまう。
(ほかは勝手に脱がしたくせに!)
これが最終確認とでも言うのだろうか。
なんと返せばいいのか答えが見つからなくて、ルーナは赤く染った顔で静かに頷いた。
月明かりしかなくて良かったと、ルーナは心底思う。
頷くだけでも恥ずかしいのに、乱れた今の格好も、赤くなっている顔も、はっきりと見られたら余計に恥ずかしくなる。
「……っ!」
マクシミリアンはシュミーズを脱がすと、ルーナの胸に顔を寄せた。
谷間にマクシミリアンの息がかかってくすぐったい。
それどころか体の芯が熱くなって、妙な気持ちが湧き上がってしまう。
「マクシミリアン……っ!」
訴えるように名前を呼ぶと、マクシミリアンは何も言わずにルーナの谷間に唇を落とした。
「ひゃ……っ」
「すみません。先程から、貴女が私を受け入れてくださるから……幸せで」
(なに、言ってるの)
幸せなのは、ルーナのほうなのに。
マクシミリアンが心の底から幸せそうに言うから、ルーナは固まってしまう。
「……ルーナさん、好きです」
ありきたりな言葉でも、思いがこもれば特別な言葉になる。
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