【完結】R-18乙女ゲームの主人公に転生しましたが、のし上がるつもりはありません。

柊木ほしな

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第1章*とんでもない専属メイド初日

3・処女です。なにか文句ある?

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 王子が覆いかぶさるようにして、再びキスをしてくる。
 避けようにも腕をベッドに押さえつけられていて、自由にならない。
 ルーナはぎゅっと目を瞑った。

「……っ」

「ん……そんなに固くならないでよ。楽しませてあげるからさ」

(無茶言うな!!)

 ストーリー的なことも、男女の交わりについても、この先どうなるかは知っている。
 だが、あいにくこちらは処女だ。

(残念ながら前世でも経験ないしね!!)

 怖いものは怖いのだ。
 しょうがないだろう。

「……ふむ。君、もしかして、処女?」

(何故バレた!!)

 この展開はゲームではなかった。
 それもそのはず、本来の主人公は処女ではないからだ。
 元々、王子を誑し込むつもりで近付いている設定なため、かなり誘惑なども上手い。

 だが、ルーナは処女だった。

「……だったらなんなんですか」

(あいにく私には野心がないもんで!!)

 そういう能力に長ける必要を感じなかったもので、のほほんと18年間生きてきたのに。
 まるで帳尻合わせでもされるように、ある日突然王子の専属メイドに大抜擢される始末。

(ホント一体全体どーなってんの!!)

 さすが乙女ゲーム。
 ご都合主義!!

 いくら前世で好きだったからと言って、この世界を楽しもうなんざ到底思えない。
 何故ならこれは現実だからだ。
 どんなにきらびやかな世界に見えても、ここはルーナにとって現実なのだ。

 ルーナが一言だけ肯定すると、王子は目を丸くした。
 そして、ぽつりと一言。

「……珍しい」

「失礼な!」

 珍しいとはなんだ、珍しいとは。
 18年間貞操を守ってきた清き乙女に対して言うセリフか!
 立場も忘れルーナが思わず突っ込むと、王子はそれこそ珍しく声をあげて笑った。

「ふ……ははっ! 気に入った! お前は僕のメイドに相応しい!」

「……は、はぁ!?」

 王子のルーナに対する呼びかけが「君」から「お前」に変化する。
 一体何処が『相応しい』ところなのだろう。
 こんなシーンはゲームになかった。
 本来のこのシーンは、初めて王子と顔を合わせた主人公が、従うフリをしながら王子を魅惑するという(主人公が)緊迫した艶やかなシーンで……。

(え、ちょ、私、ある意味魅惑的なシーンだったのを台無しにしてない!?!?)

 混乱して目を白黒させるルーナに、王子は息がかかるほど顔を近づけた。

(うわ! 何!)

 さすがメインヒーローとでも言うべきか、王子は抜群に整った顔立ちをしているのだ。
 簡単に顔を近づけないでほしい。
 

「決めた。お前はこれからずっと、僕のモノだ」


(は、はぃいいいい!?)

 
 こんなセリフ、脚本にない。
  いきなり本筋からすれてしまった物語に、ルーナは困惑するしかない。

 王子から与えられる甘やかなキスを、納得のいかないままにルーナは受け入れざるを得なかった。

(だって、逃げられないいいぃ!)

 
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