【番外編追加】冷酷な氷の皇帝は空っぽ令嬢を溺愛しています~記憶を失った令嬢が幸せになるまで~

柊木ほしな

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第2章

12・皇帝陛下のもの①☆

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 オズウェルはヴィエラを抱えあげたまま部屋の奥へ進むと、ベッドの上に座らせた。

「オズウェル……っ!?」

 何をされるのかと怯えるヴィエラに、オズウェルは静かな調子で語りかける。
 
「怯えることは無い。ただ、お前の体に教え込むだけだ」
 
「何を……っあ……っ」

 オズウェルが覆い被さるように身を屈めてきて、ヴィエラの首筋に吸い付いた。
 ウェディングドレスのデザインのせいで、胸元が大きく開いているのだということに、ヴィエラはようやく気づく。

「ま、まって……オズウェル……っ」

「待たない」

「……ひ、ぁ……っ」

 きつくきつく首筋を吸い上げられて、ぴりっとした痛みを感じる。
 ヴィエラには見えないが、白い首筋にはくっきりと赤い痕がついてしまっていた。

「オズウェル……っ」

 赤い花を咲かせては、また違う場所を吸い上げられて、ヴィエラの首筋へ無数の花が散っていく。
 そのくすぐったさに目を瞑ると、オズウェルの指がヴィエラの背中に回ってきた。

「や……っ」

 つつ……と、編み込まれた紐の間に指を差し入れ、ヴィエラの背をなぞる。
 指から逃れようと背を反らしても、オズウェルの指から逃れることが出来ない。

「……やめ……っ」

 恥ずかしくて、体の奥が熱くなってたまらなくなる。
 下腹が疼きはじめるのを、ヴィエラは感じてしまった。
 それが余計にヴィエラの羞恥を煽る。

(私……感じてしまっているの?)
 
 正式に結婚する前にこんなふうに触れ合うなど、メーベルでもルーンセルンでも良しとはされていない。いけないことだと分かっている。
 だが、体はもっと触れて欲しいと訴えているようだった。

「やめるわけないだろう。お前は私の妻になる女なのだと、分かるまで愛撫してやる」

「ひ……っ」

 オズウェルの指が、編み込まれた背中のリボンをするりと解いた。
 ドレスの胸元が緩められて下へとずらされる。
 オズウェルはヴィエラが身にまとっていたシュミーズまでもスルスルと脱がせてしまった。
 ヴィエラの白い胸の膨らみが、オズウェルの目に晒される。
 
「オズウェル……っ」

 恥ずかしくて、ヴィエラはあらわにされた胸を咄嗟に自分の腕で隠す。

「おねがい……見ないで……っ」

 ふるふると首を左右に振りながら、ヴィエラは懇願した。
 普段は隠している部分をオズウェルに見られるなんて、泣きたいほど恥ずかしくてたまらない。 
 ヴィエラの目じりに滲んだ涙を、オズウェルは指先で掬った。

「その態度さえ、私を煽っているのだと……いい加減気づけ」

「ひ、あ……っ」

 オズウェルは言いながら、ヴィエラの脇に手を差し入れ、小さなヴィエラの体を軽く持ち上げた。
 するり……と腰に残っていたドレスが床に落ちていく。

 オズウェルはヴィエラの体をベッドの上に横たえると、その上に馬乗りになった。
 長い手足で、ヴィエラを囲んで逃げ場を封じる。

「ひ……っ!」
 
「お前はただ……快楽に身を委ねるだけでいい。お前は私のものなのだと理解するまで……グズグズに甘やかしてやろう」

 オズウェルはそう言うと、ヴィエラの唇に深いキスを落とした。
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