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「クラウド殿下、なんか様子が変でしたよね?」
「あぁ、なんていうか...心ここに有らずみたいな?」
「やっぱり、立太子の式典を控えているというのが相当なプレッシャーになっているんですかね...」
「それに加えて兄上は激務を抱えているからな...」
「心休まるような時間がなかなか取れないってことですか?」
「その割にはさっき、仕事もせずにボーッとしてたような...」
ミランダ達はクラウドの執務室を出た辺りで立ち止まり、各々が感じたことを述べ合っていた。
「まぁ、考えていても仕方ありませんね。私達は私達で今やるべきことに集中しましょうか?」
ミランダが取り仕切るような形でそう纏めた。
「あなた達は今日も王都の探索?」
アマンダがそう問い掛けた時、クラウドの執務室から金髪のメイドがゆっくりと出て来た。
「いえ、今日からは王宮内を調べるわ。あんまり考えたくはないけど、もしかしたら人の出入りの多いこの時期を狙って、王宮内に潜入した可能性もあるから」
そのミランダの言葉に、金髪のメイドはビクッと反応してしまったのだが、幸いなことに三人は話に夢中で、誰もそのことに気付かなかった。
「だとしたら由々しきことだな...」
マリウスは苦虫を噛み潰したような表情を浮かべた。王宮内に敵の潜入を許すなどあってはならないことだからだ。
「分かった。私も協力するわ。治療できそうな人は大体治療を終えたからね」
「ありがとう、ママ。お願いするわ」
こうして三人体制での王宮内探索が開始されることとなった。一部始終を聞いていた金髪のメイドは、逃げるようにそそくさとその場を後にした。
◇◇◇
「マズいわね...」
王宮内で働くメイド達の控え室で金髪のメイド、もといカーミラは口唇を噛んでいた。この時間、他のメイド達は忙しく飛び回っているのか、控え室にはカーミラ以外誰も居ない。
決行の日まであと三日。出来ればこのまま王宮内に留まっていたかったが、どうやらここら辺りが潮時らしい。
「まぁ、あれだけ魅了の力を注ぎ込めば十分かな? これ以上やり過ぎると、さすがにミランダ辺りが気付きそうだしね」
クラウドに対する魅了攻撃の成果を語るカーミラの口元には、魔族特有の鋭い牙が顔を覗かせていた。
「ここは大人しく、いったん退くとしましょうかね」
幸い、今日からは王都の探索はしないと言っていた。だったら入れ替わる形で、逆にこっちは王都の暗部へと潜ってしまえば良い。
そう考えたカーミラは、王宮の出入り口に向かって颯爽と歩き出した。
「あぁ、なんていうか...心ここに有らずみたいな?」
「やっぱり、立太子の式典を控えているというのが相当なプレッシャーになっているんですかね...」
「それに加えて兄上は激務を抱えているからな...」
「心休まるような時間がなかなか取れないってことですか?」
「その割にはさっき、仕事もせずにボーッとしてたような...」
ミランダ達はクラウドの執務室を出た辺りで立ち止まり、各々が感じたことを述べ合っていた。
「まぁ、考えていても仕方ありませんね。私達は私達で今やるべきことに集中しましょうか?」
ミランダが取り仕切るような形でそう纏めた。
「あなた達は今日も王都の探索?」
アマンダがそう問い掛けた時、クラウドの執務室から金髪のメイドがゆっくりと出て来た。
「いえ、今日からは王宮内を調べるわ。あんまり考えたくはないけど、もしかしたら人の出入りの多いこの時期を狙って、王宮内に潜入した可能性もあるから」
そのミランダの言葉に、金髪のメイドはビクッと反応してしまったのだが、幸いなことに三人は話に夢中で、誰もそのことに気付かなかった。
「だとしたら由々しきことだな...」
マリウスは苦虫を噛み潰したような表情を浮かべた。王宮内に敵の潜入を許すなどあってはならないことだからだ。
「分かった。私も協力するわ。治療できそうな人は大体治療を終えたからね」
「ありがとう、ママ。お願いするわ」
こうして三人体制での王宮内探索が開始されることとなった。一部始終を聞いていた金髪のメイドは、逃げるようにそそくさとその場を後にした。
◇◇◇
「マズいわね...」
王宮内で働くメイド達の控え室で金髪のメイド、もといカーミラは口唇を噛んでいた。この時間、他のメイド達は忙しく飛び回っているのか、控え室にはカーミラ以外誰も居ない。
決行の日まであと三日。出来ればこのまま王宮内に留まっていたかったが、どうやらここら辺りが潮時らしい。
「まぁ、あれだけ魅了の力を注ぎ込めば十分かな? これ以上やり過ぎると、さすがにミランダ辺りが気付きそうだしね」
クラウドに対する魅了攻撃の成果を語るカーミラの口元には、魔族特有の鋭い牙が顔を覗かせていた。
「ここは大人しく、いったん退くとしましょうかね」
幸い、今日からは王都の探索はしないと言っていた。だったら入れ替わる形で、逆にこっちは王都の暗部へと潜ってしまえば良い。
そう考えたカーミラは、王宮の出入り口に向かって颯爽と歩き出した。
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