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「取り逃がしたか...」
「はい...我々が踏み込んだ時には既に店の中には居ませんでした...」
近衛騎士団長の報告を聞いたクラウドは、苦虫を噛み潰したような表情を浮かべた。
店は押さえたが、主犯格と目される肝心のカーミラに逃げられたのでは話にならない。
「取り敢えず、これ以上被害者を増やさないためにも、カーミラとかいう女の行方を全力で追え」
「はっ!」
「それと魅了を受けたと思われる近衛騎士団の連中には、魔道士による治療を受けさせろ。解除できるまで原隊には復帰させるな」
「了解致しました!」
騎士団長を下がらせた後、クラウドは急いで手紙を認めた。南の砦に報告するためである。
「ファルファル、待たせた。この手紙を南の砦に届けてくれ」
「グエッ!」
食料と水をたっぷり与えて貰ったファルファルは、元気良く大空へと飛び立って行った。
その姿を見送りながらクラウドは、
「フゥ...立太子の式典に婚約者が不在というのはなんとも締まらんな...」
ため息を一つ吐いてそう独り言ちた。
◇◇◇
一方その頃、ケルベロスのボチの背に乗って王都を目指しているマリウスは、
「うぅぅ...ケツが...ケツが痛い...」
長い時間跨がっていたために痛むケツを抑えながら、本日の宿であるホテルの一室で休んでいた。
それに比べ、一緒に旅をしているアマンダの方は対照的に涼しい顔をしている。
「殿下、大丈夫ですか?」
「あぁ...自分ではかなり鍛え上げたつもりでいたんだが...まだまだ修行が足りないってことかな...」
そう言ってマリウスは自嘲気味に苦笑した。
「というより、単純に騎乗することに慣れていないだけだと思いますよ? 私達は日常的に馬や飛竜やケルベロスに乗っていますからね」
「そうかも知れない...思え返せば最近は、馬にもあんまり乗っていなかったからな...」
「これからは馬にも飛竜にもケルベロスにも乗る訓練が必要になりそうですね。それじゃ私はこれで」
「えっ!? ケツ治してくんないの!?」
「フゥ...殿下、甘ったれたことを言わないように。そんなもん怪我の内にも入りませんよ?」
アマンダは呆れたようにため息を吐きながら、マリウスの甘えをピシャッとはね除けた。
「そ、そんなぁ~...」
マリウスの未練がましい声を無視して、アマンダはさっさと自分の部屋へと戻って行った。
マリウスとアマンダの二人旅は、ガストンが心配していたほど甘い雰囲気にはなっていなかった。
どうやらガストンの心配は杞憂に終わりそうである。
「はい...我々が踏み込んだ時には既に店の中には居ませんでした...」
近衛騎士団長の報告を聞いたクラウドは、苦虫を噛み潰したような表情を浮かべた。
店は押さえたが、主犯格と目される肝心のカーミラに逃げられたのでは話にならない。
「取り敢えず、これ以上被害者を増やさないためにも、カーミラとかいう女の行方を全力で追え」
「はっ!」
「それと魅了を受けたと思われる近衛騎士団の連中には、魔道士による治療を受けさせろ。解除できるまで原隊には復帰させるな」
「了解致しました!」
騎士団長を下がらせた後、クラウドは急いで手紙を認めた。南の砦に報告するためである。
「ファルファル、待たせた。この手紙を南の砦に届けてくれ」
「グエッ!」
食料と水をたっぷり与えて貰ったファルファルは、元気良く大空へと飛び立って行った。
その姿を見送りながらクラウドは、
「フゥ...立太子の式典に婚約者が不在というのはなんとも締まらんな...」
ため息を一つ吐いてそう独り言ちた。
◇◇◇
一方その頃、ケルベロスのボチの背に乗って王都を目指しているマリウスは、
「うぅぅ...ケツが...ケツが痛い...」
長い時間跨がっていたために痛むケツを抑えながら、本日の宿であるホテルの一室で休んでいた。
それに比べ、一緒に旅をしているアマンダの方は対照的に涼しい顔をしている。
「殿下、大丈夫ですか?」
「あぁ...自分ではかなり鍛え上げたつもりでいたんだが...まだまだ修行が足りないってことかな...」
そう言ってマリウスは自嘲気味に苦笑した。
「というより、単純に騎乗することに慣れていないだけだと思いますよ? 私達は日常的に馬や飛竜やケルベロスに乗っていますからね」
「そうかも知れない...思え返せば最近は、馬にもあんまり乗っていなかったからな...」
「これからは馬にも飛竜にもケルベロスにも乗る訓練が必要になりそうですね。それじゃ私はこれで」
「えっ!? ケツ治してくんないの!?」
「フゥ...殿下、甘ったれたことを言わないように。そんなもん怪我の内にも入りませんよ?」
アマンダは呆れたようにため息を吐きながら、マリウスの甘えをピシャッとはね除けた。
「そ、そんなぁ~...」
マリウスの未練がましい声を無視して、アマンダはさっさと自分の部屋へと戻って行った。
マリウスとアマンダの二人旅は、ガストンが心配していたほど甘い雰囲気にはなっていなかった。
どうやらガストンの心配は杞憂に終わりそうである。
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