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「魔王、それで貴様の双子の弟はなんだってそんな真似を?」

 クラウドが話を戻した。

「さあな。ヤツの考えてることなんて知りたくもない。だが、ある程度予想は出来る」

「それはなんだ?」

「俺様に対する嫌がらせだ」

「嫌がらせ?」

「あぁ、俺様とサモンは昔から折り合いが悪くてな。ある日、とうとう大喧嘩してそのまま喧嘩別れした。サモンのヤツは自分の配下を連れて魔界から離れたんだ。ヤツは俺様のことが気に入らないから、俺様が人間の国を攻めていると知って横取りしてやろうとか思ったんじゃないか?」

「なんてハタ迷惑な...」

「もっとも、俺様は人間の国なんぞに興味はない。あるのはミランダのみだ。いや、違うな。今はリリアナとミランダのみだ」

 次の瞬間、ミランダとリリアナが物も言わずに戦闘態勢を取った。クラウドは慌てて引き留め、

「魔王! そのサモンとやらの軍勢はどの程度の規模なんだ?」

 一番重要な部分を聞いた。

「うん? そうだな...大体魔族の三分の一ほどになるかな?」

「ありがとう。それだけ聞ければ十分だ」

 そう言ってクラウドはファルファルの背から飛び降り、魔王目掛けて飛んで行った。

「ハァァァッ! ヤァァァッ!」

 裂帛の気合いと共に剣を一振りする。クラウドは剣は魔王の翼を切り裂いた。

「男はイヤァ~!」

 そんな叫びを残して魔王は落下して行った。すかさずファルファルがクラウドを受け止める。

「お見事」

 ミランダがクラウドを称賛する。

「リリアナ、急いで戻ろう。南の砦が心配だ」

「そうですね」

「あ、クラウド殿下。ちょっと待って下さい」

 クラウドがリリアナを促した所にミランダが割って入った。

「なんだい?」

「魔族が相手なら魔道部隊が必要になると思います。ウチの魔道士達を貸し出しますんで連れて行って下さい」

「それはありがたいが、どうやって連れて行く?」

「シオンとファルファルでピストン輸送すれば良いと思います。一度に5人くらいまでなら乗れるでしょうから」

「なるほど。それは妙案だ。早速やってみよう」

 
◇◇◇


「ん? ミランダ、どうしたんだ? やけに早い帰還だな」

 北の砦に舞い戻ったミランダ達をガストンが訝し気に出迎えた。

「パパ、実はね...」

 ミランダは事の次第を説明した。

「なるほど。状況は良く分かった。魔道士達を用意しよう」

「ありがとう、パパ」

 そこへアマンダがやって来た。

「ミランダ、話は聞いたわ。大変なことになってるみたいね」

「あ、ママ」

「魔道部隊の指揮は誰に任せるつもり?」

「そうね...本当なら私が行きたいところなんだけど、私はここを離れることが出来ないからベテランの魔道士の誰かに任せるつもりよ」

「なら私が行くわ」
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