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 その日、マリウスは夕方まで惰眠を貪った。

 北の砦に来てから初めて心安らかな日を過ごしたマリウスは、

「う~ん、良く寝たぁ~!」

 と大きく伸びをしながらベッドから起き上がり、

「腹減ったな...」

 そういえば昼食も摂らずに眠っていたことに気付いた。空腹を感じた腹を押さえながら部屋から出て食堂に向かった。

 普通の家だと夕食の時間までまだ間がある時間帯だが、ここは戦地の砦であるため有事に備えて24時間いつでも食事が取れるようになっている。

「ふぁ...さすがに寝過ぎた...」

 起き抜けのボンヤリした頭でフラフラしながら歩いていたマリウスは、

「あら殿下。お加減は如何ですか?」

 そんなアマンダの声が後ろから聞こえたので、振り返り「えぇ、お陰様で大分楽になりました」と言おうとしたが...その前に固まった。

 なんとアマンダはタンクトップに短パンという極めて露出の多い格好をしていたのだ。

 その姿を見た瞬間に覚醒した頭と、先程のアマンダのスキンシップを思い出し、ムクムクと元気になりつつある下半身の一部を同時に押さえながら、

「あ、アマンダ夫人!? そ、その格好は!?」

 掠れた声で尋ねた。

「あぁ、これですか。ちょっと体が鈍っちゃったんでジョギングでもしようかと思いましてね。良かったら明日、殿下もご一緒に如何ですか?」

「喜んで! なんなら今からでも!」

 空腹も忘れマリウスは食い気味にそう叫んでいた。

「あらあら、ウフフ。若いっていいですね~。もう元気になったなんて。じゃあ一緒に走りましょうか?」

「Yes,Ma'am!」

 こうしてマリウスはアマンダと一緒にジョギングすることになったのだが、

「ヒッヒッフ~...ヒッヒッフ~...」

 最初の1、2kmくらいまでは、走る度にボインボイン揺れるアマンダの豊満なお胸と、ピッチピチの太股やお尻を間近に見れて、

「眼福眼福~♪」

 などと邪なことを考えていたマリウスだったが、次第にそんな余裕は無くなりアマンダに付いていくだけで精一杯になって行った。

「殿下~ 遅れてますよ~ ほら、しっかり~」

 涼しい顔でピッチを刻むアマンダの顔には汗一つ浮いていない。対するマリウスは既に体中汗だくだ。

「ハァ...ハァ...あ、アマンダ、ふ、夫人、は、な、なんで、そ、そんなに...ハァ...ハァ...」

 平気で走れるのか? と聞きたかったが、そこまでが限界だった。

「あら、だって治癒魔法ってのは使うのに結構体力要るんですよ? このくらいは余裕で走れないと持ちません」

 アマンダは平気な顔でそう言った。
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