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「服を脱がないと治療できないでしょう? ささ、ほらほら脱いで脱いで」

「ちょ、ちょっと! あ、アマンダ夫人!」

 抵抗空しく、マリウスはあっという間に上半身裸になってしまった。

「あらまぁ...これは酷い...」

 マリウスの上半身は打ち身で出来た痣と細かい切り傷や擦り傷だらけだった。

「辛かったでしょう...今治してあげますからね」

『ヒール』

 アマンダが呪文を唱えると、温かな光がマリウスの上半身を包んだ。

「ふわぁ...気持ちいい...」

 マリウスは目を閉じて恍惚の表情を浮かべた。

「殿下、どうですか?」

「はい...とっても楽になりました...ありがとうございます...」

 マリウスはゆっくり目を開けて自分の体を確認してみた。

「凄い...痣や傷がすっかり治ってる...」

 これが治癒魔法の力か。マリウスは初めて体験する奇跡のような力に圧倒されていた。

「それじゃあ殿下、下も脱いで下さい」

「えっ!? い、いや! し、下は大丈夫です! お、お気遣いなく!」

 マリウスは慌ててシーツを被せて下半身を隠した。

「ダメですよ。ちゃんと全部治しておかないと」

「いやいやいやいや! 元気になりましたから! ホントに大丈夫ですから!」

 違う意味で元気になってしまったとは言えない。マリウスはシーツを握り締めて抵抗した。

「往生際の悪い人ですねぇ。えいっ!」

 その細腕のどこにそんな力があるのか。気合い一発でマリウスの下半身を隠していたシーツが剥がされる。

「だ、ダメ~! み、見ないで~!」

 元気になってしまった下半身が顕になったマリウスは慌てて両手で隠そうとするが、

「あらあらまぁまぁ♪ 若いっていいわねぇ~♪」

 遅かった。アマンダにバッチリ見られてしまった。

「うぅ...」

 マリウスは真っ赤になって俯いてしまった。

「ウフフ♪ 殿下ったら♪ こんなオバサン相手にしょうがないですね~♪ でもダメですよ~? 私がミランダに怒られちゃいますからね~♪ 旦那も焼き餅焼きですし~♪」

 そう言って妖艶に笑ったアマンダの姿を見たマリウスはもう限界だった。

「お、奥さん! お、俺は! 俺は!」

 アマンダをベッドに押し倒そうとした刹那、ドドドッという荒々しい足音が近付いて来たと思ったら、いきなり部屋のドアが吹き飛ぶような勢いで開いた。

「間男はここかぁ! 許さんぞぉ!」

 そう叫んで部屋に入って来たのは、鬼のような形相をしたガストンだった。

「ヽ(ヽ゜ロ゜)ヒイィィィ!」

 その迫力に押され、マリウスの元気だったものはいっぺんに縮んでしまった。
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