15 / 133
15
しおりを挟む
次の日もマリウスの地道な基礎訓練は続いた。
「ほれほれ~! どうしたどうした~! お坊ちゃん、ペース落ちてんぞ~!」
容赦なくガストンの檄が飛ぶ。
「ヒーハー...ヒーハー...」
マリウスは既にバテバテの状態だ。
今日は障害のあるコースを周回するトレーニングをしている。コースには一定の間隔でハードルと水濠が設置されていて、それらを飛越しながら周回を重ねるというものだ。これだけでも十分大変なのに、
「そんなんじゃ魔物に食われちまうぞ~!」
そうなのだ。コースの各所に魔物が配置されていたりするのだった。
「ウオッウオッウオーン!」
「ヽ(ヽ゜ロ゜)ヒイィィィ! お、お助け~!」
地獄の番犬と呼ばれる魔物ケルベロスがハードル付近で待ち構えている。三つの頭と蛇の尻尾を持つ巨大な犬だ。
「ほれほれ~! 逃げ切れ逃げ切れ~! 犬のオヤツになっちまうぞ~!」
「ガウッガウッガウーン!」
「も、もうダメ~! こっち来んな~! ぐきょ!」
あっけなくケルベロスに捕まり横倒しにされる。そして、
「ペロペロペローン!」
「うぎゃ! だ、だから舐め回すな~!」
ガストンはああ言ってるが、訓練用に飼っている魔物なので、もちろん人に良く馴れている。
ケルベロスにとっては遊んでくれる人ということになるので、嬉しくなって捕まえてはこうして舐め回しているのだが、こうやって捕まる度にヨダレまみれにされるマリウスに取っては堪ったもんじゃない。
「フゥ...フゥ...やっと解放された...」
ケルベロスの気が済むまでオモチャにされたマリウスは全身ヨダレまみれだ。しかも臭い。
「ウゲッ! なんだよこの卵が腐ったような匂いは...」
「ほれほれ~! どうしたどうした~! 足が止まってんぞ~!」
すぐにでもシャワーを浴びたい所だが、もちろんガストンは許してくれない。仕方なくコースに戻るが、水壕付近に待ち構えているのは、
「キシャアッ!」
半身半魚の魔物サハギンである。
「ウップッ! ゲホッ! ゲホッ!」
口から水鉄砲のように水を噴射して攻撃して来る。ヨダレまみれの次は水まみれになったマリウスは、全身から水を滴らせながら逃げ惑っていた。
なにせこの水の攻撃は痛いのだ。凄い速さで噴射されて来るから、当たれば悲鳴を上げるレベルだ。オマケにピンポイントで顔を狙って来るから、水で鼻と口を塞がれ息が出来なくなったりする。
「ハァ...ハァ...もうヤダ...おうち帰りたい...」
思わず泣き言を漏らしてしまったマリウスだった。
「ほれほれ~! どうしたどうした~! お坊ちゃん、ペース落ちてんぞ~!」
容赦なくガストンの檄が飛ぶ。
「ヒーハー...ヒーハー...」
マリウスは既にバテバテの状態だ。
今日は障害のあるコースを周回するトレーニングをしている。コースには一定の間隔でハードルと水濠が設置されていて、それらを飛越しながら周回を重ねるというものだ。これだけでも十分大変なのに、
「そんなんじゃ魔物に食われちまうぞ~!」
そうなのだ。コースの各所に魔物が配置されていたりするのだった。
「ウオッウオッウオーン!」
「ヽ(ヽ゜ロ゜)ヒイィィィ! お、お助け~!」
地獄の番犬と呼ばれる魔物ケルベロスがハードル付近で待ち構えている。三つの頭と蛇の尻尾を持つ巨大な犬だ。
「ほれほれ~! 逃げ切れ逃げ切れ~! 犬のオヤツになっちまうぞ~!」
「ガウッガウッガウーン!」
「も、もうダメ~! こっち来んな~! ぐきょ!」
あっけなくケルベロスに捕まり横倒しにされる。そして、
「ペロペロペローン!」
「うぎゃ! だ、だから舐め回すな~!」
ガストンはああ言ってるが、訓練用に飼っている魔物なので、もちろん人に良く馴れている。
ケルベロスにとっては遊んでくれる人ということになるので、嬉しくなって捕まえてはこうして舐め回しているのだが、こうやって捕まる度にヨダレまみれにされるマリウスに取っては堪ったもんじゃない。
「フゥ...フゥ...やっと解放された...」
ケルベロスの気が済むまでオモチャにされたマリウスは全身ヨダレまみれだ。しかも臭い。
「ウゲッ! なんだよこの卵が腐ったような匂いは...」
「ほれほれ~! どうしたどうした~! 足が止まってんぞ~!」
すぐにでもシャワーを浴びたい所だが、もちろんガストンは許してくれない。仕方なくコースに戻るが、水壕付近に待ち構えているのは、
「キシャアッ!」
半身半魚の魔物サハギンである。
「ウップッ! ゲホッ! ゲホッ!」
口から水鉄砲のように水を噴射して攻撃して来る。ヨダレまみれの次は水まみれになったマリウスは、全身から水を滴らせながら逃げ惑っていた。
なにせこの水の攻撃は痛いのだ。凄い速さで噴射されて来るから、当たれば悲鳴を上げるレベルだ。オマケにピンポイントで顔を狙って来るから、水で鼻と口を塞がれ息が出来なくなったりする。
「ハァ...ハァ...もうヤダ...おうち帰りたい...」
思わず泣き言を漏らしてしまったマリウスだった。
10
お気に入りに追加
2,330
あなたにおすすめの小説
【完結】婚約を解消して進路変更を希望いたします
宇水涼麻
ファンタジー
三ヶ月後に卒業を迎える学園の食堂では卒業後の進路についての話題がそここで繰り広げられている。
しかし、一つのテーブルそんなものは関係ないとばかりに四人の生徒が戯れていた。
そこへ美しく気品ある三人の女子生徒が近付いた。
彼女たちの卒業後の進路はどうなるのだろうか?
中世ヨーロッパ風のお話です。
HOTにランクインしました。ありがとうございます!
ファンタジーの週間人気部門で1位になりました。みなさまのおかげです!
ありがとうございます!
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
【完結】『サヨナラ』そう呟き、崖から身を投げようとする私の手を誰かに引かれました。
仰木 あん
ファンタジー
継母に苛められ、義理の妹には全てを取り上げられる。
実の父にも蔑まれ、生きる希望を失ったアメリアは、家を抜け出し、海へと向かう。
たどり着いた崖から身を投げようとするアメリアは、見知らぬ人物に手を引かれ、一命を取り留める。
そんなところから、彼女の運命は好転をし始める。
そんなお話。
フィクションです。
名前、団体、関係ありません。
設定はゆるいと思われます。
ハッピーなエンドに向かっております。
12、13、14、15話は【胸糞展開】になっておりますのでご注意下さい。
登場人物
アメリア=フュルスト;主人公…二十一歳
キース=エネロワ;公爵…二十四歳
マリア=エネロワ;キースの娘…五歳
オリビエ=フュルスト;アメリアの実父
ソフィア;アメリアの義理の妹二十歳
エリザベス;アメリアの継母
ステルベン=ギネリン;王国の王
【 完結 】「婚約破棄」されましたので、恥ずかしいから帰っても良いですか?
しずもり
恋愛
ミレーヌはガルド国のシルフィード公爵令嬢で、この国の第一王子アルフリートの婚約者だ。いや、もう元婚約者なのかも知れない。
王立学園の卒業パーティーが始まる寸前で『婚約破棄』を宣言されてしまったからだ。アルフリートの隣にはピンクの髪の美少女を寄り添わせて、宣言されたその言葉にミレーヌが悲しむ事は無かった。それよりも彼女の心を占めていた感情はー。
恥ずかしい。恥ずかしい。恥ずかしい!!
ミレーヌは恥ずかしかった。今すぐにでも気を失いたかった。
この国で、学園で、知っていなければならない、知っている筈のアレを、第一王子たちはいつ気付くのか。
孤軍奮闘のミレーヌと愉快な王子とお馬鹿さんたちのちょっと変わった断罪劇です。
なんちゃって異世界のお話です。
時代考証など皆無の緩い設定で、殆どを現代風の口調、言葉で書いています。
HOT2位 &人気ランキング 3位になりました。(2/24)
数ある作品の中で興味を持って下さりありがとうございました。
*国の名前をオレーヌからガルドに変更しました。
【完結】父が再婚。義母には連れ子がいて一つ下の妹になるそうですが……ちょうだい癖のある義妹に寮生活は無理なのでは?
つくも茄子
ファンタジー
父が再婚をしました。お相手は男爵夫人。
平民の我が家でいいのですか?
疑問に思うものの、よくよく聞けば、相手も再婚で、娘が一人いるとのこと。
義妹はそれは美しい少女でした。義母に似たのでしょう。父も実娘をそっちのけで義妹にメロメロです。ですが、この新しい義妹には悪癖があるようで、人の物を欲しがるのです。「お義姉様、ちょうだい!」が口癖。あまりに煩いので快く渡しています。何故かって?もうすぐ、学園での寮生活に入るからです。少しの間だけ我慢すれば済むこと。
学園では煩い家族がいない分、のびのびと過ごせていたのですが、義妹が入学してきました。
必ずしも入学しなければならない、というわけではありません。
勉強嫌いの義妹。
この学園は成績順だということを知らないのでは?思った通り、最下位クラスにいってしまった義妹。
両親に駄々をこねているようです。
私のところにも手紙を送ってくるのですから、相当です。
しかも、寮やクラスで揉め事を起こしては顰蹙を買っています。入学早々に学園中の女子を敵にまわしたのです!やりたい放題の義妹に、とうとう、ある処置を施され・・・。
なろう、カクヨム、にも公開中。
婚約破棄をされ、父に追放まで言われた私は、むしろ喜んで出て行きます! ~家を出る時に一緒に来てくれた執事の溺愛が始まりました~
ゆうき@初書籍化作品発売中
恋愛
男爵家の次女として生まれたシエルは、姉と妹に比べて平凡だからという理由で、父親や姉妹からバカにされ、虐げられる生活を送っていた。
そんな生活に嫌気がさしたシエルは、とある計画を考えつく。それは、婚約者に社交界で婚約を破棄してもらい、その責任を取って家を出て、自由を手に入れるというものだった。
シエルの専属の執事であるラルフや、幼い頃から実の兄のように親しくしてくれていた婚約者の協力の元、シエルは無事に婚約を破棄され、父親に見捨てられて家を出ることになった。
ラルフも一緒に来てくれることとなり、これで念願の自由を手に入れたシエル。しかし、シエルにはどこにも行くあてはなかった。
それをラルフに伝えると、隣の国にあるラルフの故郷に行こうと提案される。
それを承諾したシエルは、これからの自由で幸せな日々を手に入れられると胸を躍らせていたが、その幸せは家族によって邪魔をされてしまう。
なんと、家族はシエルとラルフを広大な湖に捨て、自らの手を汚さずに二人を亡き者にしようとしていた――
☆誤字脱字が多いですが、見つけ次第直しますのでご了承ください☆
☆全文字はだいたい14万文字になっています☆
☆完結まで予約済みなので、エタることはありません!☆
【完結】公女が死んだ、その後のこと
杜野秋人
恋愛
【第17回恋愛小説大賞 奨励賞受賞しました!】
「お母様……」
冷たく薄暗く、不潔で不快な地下の罪人牢で、彼女は独り、亡き母に語りかける。その掌の中には、ひと粒の小さな白い錠剤。
古ぼけた簡易寝台に座り、彼女はそのままゆっくりと、覚悟を決めたように横たわる。
「言いつけを、守ります」
最期にそう呟いて、彼女は震える手で錠剤を口に含み、そのまま飲み下した。
こうして、第二王子ボアネルジェスの婚約者でありカストリア公爵家の次期女公爵でもある公女オフィーリアは、獄中にて自ら命を断った。
そして彼女の死後、その影響はマケダニア王国の王宮内外の至るところで噴出した。
「ええい、公務が回らん!オフィーリアは何をやっている!?」
「殿下は何を仰せか!すでに公女は儚くなられたでしょうが!」
「くっ……、な、ならば蘇生させ」
「あれから何日経つとお思いで!?お気は確かか!」
「何故だ!何故この私が裁かれねばならん!」
「そうよ!お父様も私も何も悪くないわ!悪いのは全部お義姉さまよ!」
「…………申し開きがあるのなら、今ここではなく取り調べと裁判の場で存分に申すがよいわ。⸺連れて行け」
「まっ、待て!話を」
「嫌ぁ〜!」
「今さら何しに戻ってきたかね先々代様。わしらはもう、公女さま以外にお仕えする気も従う気もないんじゃがな?」
「なっ……貴様!領主たる儂の言うことが聞けんと」
「領主だったのは亡くなった女公さまとその娘の公女さまじゃ。あの方らはあんたと違って、わしら領民を第一に考えて下さった。あんたと違ってな!」
「くっ……!」
「なっ、譲位せよだと!?」
「本国の決定にございます。これ以上の混迷は連邦友邦にまで悪影響を与えかねないと。⸺潔く観念なさいませ。さあ、ご署名を」
「おのれ、謀りおったか!」
「…………父上が悪いのですよ。あの時止めてさえいれば、彼女は死なずに済んだのに」
◆人が亡くなる描写、及びベッドシーンがあるのでR15で。生々しい表現は避けています。
◆公女が亡くなってからが本番。なので最初の方、恋愛要素はほぼありません。最後はちゃんとジャンル:恋愛です。
◆ドアマットヒロインを書こうとしたはずが。どうしてこうなった?
◆作中の演出として自死のシーンがありますが、決して推奨し助長するものではありません。早まっちゃう前に然るべき窓口に一言相談を。
◆作者の作品は特に断りなき場合、基本的に同一の世界観に基づいています。が、他作品とリンクする予定は特にありません。本作単品でお楽しみ頂けます。
◆この作品は小説家になろうでも公開します。
◆24/2/17、HOTランキング女性向け1位!?1位は初ですありがとうございます!
押し付けられた仕事は致しません。
章槻雅希
ファンタジー
婚約者に自分の仕事を押し付けて遊びまくる王太子。王太子の婚約破棄茶番によって新たな婚約者となった大公令嬢はそれをきっぱり拒否する。『わたくしの仕事ではありませんので、お断りいたします』と。
書きたいことを書いたら、まとまりのない文章になってしまいました。勿体ない精神で投稿します。
『小説家になろう』『Pixiv』(敬称略)に重複投稿、自サイトにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる