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「まだなにか?」
「頼みがある。ミランダ嬢、我が愚息を、マリウスを鍛え直して貰えないだろうか?」
いきなり自分が名指しされ、しかもなにやら不穏な単語が聞こえたマリウスはビックリして硬直してしまった。
「鍛え直す?」
「そうだ。情けない話だが、末っ子ということもあり甘やかして育ててしまった。その結果がこれだ。今からでももっと厳しく鍛え上げたいところだが、完全に子育てに失敗した儂ではどうも鬼にはなれそうもない。そこでだ、そなたに頼みたい。一から鍛え直してやってくれないだろうか? それでも使い物にならんと判断されたら、その時に改めて婚約を解消して貰って構わない」
「つまり猶予を与えよと?」
「そうだ。如何だろうか?」
ミランダはちょっと考え込んだ後、
「生死は問わないってことでいいのなら」
「あぁ、構わない。死んだらそこまでのヤツだったということだから」
それを聞いたマリウスは恐怖でガタガタ震えながら、イヤイヤとばかりに首を左右に振った。
「いいでしょう。お預かりしますよ」
「ありがとう! ありがとう! ミランダ嬢!」
リヒャルトは土下座せんばかりに頭を下げた。
「じゃあ殿下、行きましょうか?」
ミランダはマリウスに手を伸ばすが、マリウスはイヤイヤを続けていて動こうとしない。
「なにをやっとるかぁ! さっさと行かんかぁ!」
そんなマリウスの尻をリヒャルトは思いっきり蹴飛ばした。
「プギャッ!」
情けない悲鳴を上げながらマリウスがミランダの元へ吹っ飛んで行く。そんなマリウスの首根っこを引っ掴んだミランダは、その細腕のどこにそんな膂力があるのかと驚愕するほど軽々とマリウスを引き摺って行った。
「では皆さん、今度こそご機嫌よう」
「イヤだ! イヤだ! イヤだぁ~! だ、誰か助けてくれぇ~!」
ニッコリと微笑みながら退場して行くミランダと、泣き叫びながら引き摺られて行くマリウス。好対照な二人が出て行った後、パーティー会場にはなんとも言えないビミョーな空気が流れていた。
「さぁ、みんな。余興は終わりだ。パーティーを再開しようか」
そんな空気を振り払うようにクラウドがそう宣言しリリアナの手を取った。
「美しい人、私めと一曲踊って頂けませんか?」
「あら嬉しい。喜んで...と言いたいところだけど、いいのかしら? 私ここの学生じゃないんだけど?」
「そんなの俺だって同じさ。とっくに卒業してんだからな」
そう言って笑った。
ちなみにクラウドとマリウスは二歳違いの兄弟である。
「頼みがある。ミランダ嬢、我が愚息を、マリウスを鍛え直して貰えないだろうか?」
いきなり自分が名指しされ、しかもなにやら不穏な単語が聞こえたマリウスはビックリして硬直してしまった。
「鍛え直す?」
「そうだ。情けない話だが、末っ子ということもあり甘やかして育ててしまった。その結果がこれだ。今からでももっと厳しく鍛え上げたいところだが、完全に子育てに失敗した儂ではどうも鬼にはなれそうもない。そこでだ、そなたに頼みたい。一から鍛え直してやってくれないだろうか? それでも使い物にならんと判断されたら、その時に改めて婚約を解消して貰って構わない」
「つまり猶予を与えよと?」
「そうだ。如何だろうか?」
ミランダはちょっと考え込んだ後、
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それを聞いたマリウスは恐怖でガタガタ震えながら、イヤイヤとばかりに首を左右に振った。
「いいでしょう。お預かりしますよ」
「ありがとう! ありがとう! ミランダ嬢!」
リヒャルトは土下座せんばかりに頭を下げた。
「じゃあ殿下、行きましょうか?」
ミランダはマリウスに手を伸ばすが、マリウスはイヤイヤを続けていて動こうとしない。
「なにをやっとるかぁ! さっさと行かんかぁ!」
そんなマリウスの尻をリヒャルトは思いっきり蹴飛ばした。
「プギャッ!」
情けない悲鳴を上げながらマリウスがミランダの元へ吹っ飛んで行く。そんなマリウスの首根っこを引っ掴んだミランダは、その細腕のどこにそんな膂力があるのかと驚愕するほど軽々とマリウスを引き摺って行った。
「では皆さん、今度こそご機嫌よう」
「イヤだ! イヤだ! イヤだぁ~! だ、誰か助けてくれぇ~!」
ニッコリと微笑みながら退場して行くミランダと、泣き叫びながら引き摺られて行くマリウス。好対照な二人が出て行った後、パーティー会場にはなんとも言えないビミョーな空気が流れていた。
「さぁ、みんな。余興は終わりだ。パーティーを再開しようか」
そんな空気を振り払うようにクラウドがそう宣言しリリアナの手を取った。
「美しい人、私めと一曲踊って頂けませんか?」
「あら嬉しい。喜んで...と言いたいところだけど、いいのかしら? 私ここの学生じゃないんだけど?」
「そんなの俺だって同じさ。とっくに卒業してんだからな」
そう言って笑った。
ちなみにクラウドとマリウスは二歳違いの兄弟である。
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