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「「 ガルルルッ! 」」
今日は婚約者同士の交流も兼ねて、アマンダとライルがスミスとカレンの元を訪れているのだが...相も変わらずいがみ合うライルとカレンの二人にため息を吐きながら、
「「 それじゃ後は若い者同士ということで... 」」
スミスとアマンダが席を立とうとすると...
「ちょっと待ちなさいよ! そこの女狐! 私のお父様にベタベタするんじゃないわよ! 誘惑なんかしたら許さないんだからね!」
「おい、オッサン! 俺の母上をエロい目で見てんじゃねぇよ! 手出ししやがったらタダじゃおかねぇぞ! 分かってんのか!?」
...全く持って前途多難である...
◇◇◇
いがみ合う二人をなんとか庭園に送り出して、スミスとアマンダはお茶していた。
「どうする? 次の段階に進む?」
「それしかないのかな...だがアマンダは本当にそれでいいのか?」
「いいのよ。女伯爵とか言われて持ち上げられるのも疲れたし、甥っ子は優秀だから譲っても問題ないと思うわ」
「そうか...」
「それにね、ロバートもダリアも私達を祝福してくれると思わない?」
「あぁそうだな...きっとそうだ...」
「スミス...」「アマンダ...」
二人が見詰め合い良い雰囲気になってお互いの唇が触れそうになって...
「「 プ...プヒャヒャヒャッ! 無理無理無理~! 」」
「あ、あの、いっつも鼻水垂らして私の後を付きまとってたあんたと、あ、愛を囁くって! プヒャヒャヒャッ!」
「お、お前だって真っ黒に日焼けして木に登って、や、山猿みたいで、お、女とはとても思えなくて! プヒャヒャヒャッ!」
幼馴染み故に現れた弊害と言えようか...
◇◇◇
「「 さ、再婚~!? 」」
「えぇ、そうよ。私達、再婚することにしたわ」
「お前達が婚約したことだし、お互いそろそろ独り身でいるのもどうかと思ってな」
「で、でも母上! 伯爵位はどうなさるおつもりなんです!?」
「甥っ子のジェフに継がせるつもりよ。あなたは私の嫁入りと同時に婿入りするの」
「そ、そんなぁ...」
ライルは崩れ落ち、カレンは激昂した。
「冗談じゃないわ! 私は絶対に認めないわよ!」
「落ち着きなさいカレン。お父様とアマンダの再婚は契約みたいなもんだから」
「契約!?」
「えぇ、そうよ。謂わば白い結婚みたいなもんだと思って頂戴な」
「それなら問題なかろう? お前達の邪魔はしないから。それとも何か? お父様とアマンダはこれからもずっと独り身で寂しい老後を過ごせとでも言うつもりか?」
「「 ぐぬぬぬっ! 」」
そう言われてしまえば仕方ない。ライルとカレンは渋々認めるのだった。
~ 半年後 ~
世にも珍しい親子同時の結婚式がしめやかに行われようとしていた。そんなおめでたい日にライルとカレンはご機嫌斜めだった。
「どういうことだよ!」
「話が違うじゃないの!」
二人が指差す先には、純白のウェディングドレスに身を包んだアマンダが居るのだが、そのお腹がポッコリ膨らんでいる。長年幼馴染みだった二人は、結婚前に盛り上がってしまったようだ。
「どこが白い結婚なのよ!」
「このエロ親父がぁ!」
「「 テヘペロ♪ 」」
「「テヘペロじゃね~よ!」」
「いやぁ、酒の勢いって怖いよねぇ~♪」
「ホントホント、まさかたった一度の過ちで命中しちゃったなんてねぇ~♪」
「「 喧しいわぁ! 」」
孫の顔を見せる前に新しい弟妹が出来ることになった二人が絶叫した。
おしまい
今日は婚約者同士の交流も兼ねて、アマンダとライルがスミスとカレンの元を訪れているのだが...相も変わらずいがみ合うライルとカレンの二人にため息を吐きながら、
「「 それじゃ後は若い者同士ということで... 」」
スミスとアマンダが席を立とうとすると...
「ちょっと待ちなさいよ! そこの女狐! 私のお父様にベタベタするんじゃないわよ! 誘惑なんかしたら許さないんだからね!」
「おい、オッサン! 俺の母上をエロい目で見てんじゃねぇよ! 手出ししやがったらタダじゃおかねぇぞ! 分かってんのか!?」
...全く持って前途多難である...
◇◇◇
いがみ合う二人をなんとか庭園に送り出して、スミスとアマンダはお茶していた。
「どうする? 次の段階に進む?」
「それしかないのかな...だがアマンダは本当にそれでいいのか?」
「いいのよ。女伯爵とか言われて持ち上げられるのも疲れたし、甥っ子は優秀だから譲っても問題ないと思うわ」
「そうか...」
「それにね、ロバートもダリアも私達を祝福してくれると思わない?」
「あぁそうだな...きっとそうだ...」
「スミス...」「アマンダ...」
二人が見詰め合い良い雰囲気になってお互いの唇が触れそうになって...
「「 プ...プヒャヒャヒャッ! 無理無理無理~! 」」
「あ、あの、いっつも鼻水垂らして私の後を付きまとってたあんたと、あ、愛を囁くって! プヒャヒャヒャッ!」
「お、お前だって真っ黒に日焼けして木に登って、や、山猿みたいで、お、女とはとても思えなくて! プヒャヒャヒャッ!」
幼馴染み故に現れた弊害と言えようか...
◇◇◇
「「 さ、再婚~!? 」」
「えぇ、そうよ。私達、再婚することにしたわ」
「お前達が婚約したことだし、お互いそろそろ独り身でいるのもどうかと思ってな」
「で、でも母上! 伯爵位はどうなさるおつもりなんです!?」
「甥っ子のジェフに継がせるつもりよ。あなたは私の嫁入りと同時に婿入りするの」
「そ、そんなぁ...」
ライルは崩れ落ち、カレンは激昂した。
「冗談じゃないわ! 私は絶対に認めないわよ!」
「落ち着きなさいカレン。お父様とアマンダの再婚は契約みたいなもんだから」
「契約!?」
「えぇ、そうよ。謂わば白い結婚みたいなもんだと思って頂戴な」
「それなら問題なかろう? お前達の邪魔はしないから。それとも何か? お父様とアマンダはこれからもずっと独り身で寂しい老後を過ごせとでも言うつもりか?」
「「 ぐぬぬぬっ! 」」
そう言われてしまえば仕方ない。ライルとカレンは渋々認めるのだった。
~ 半年後 ~
世にも珍しい親子同時の結婚式がしめやかに行われようとしていた。そんなおめでたい日にライルとカレンはご機嫌斜めだった。
「どういうことだよ!」
「話が違うじゃないの!」
二人が指差す先には、純白のウェディングドレスに身を包んだアマンダが居るのだが、そのお腹がポッコリ膨らんでいる。長年幼馴染みだった二人は、結婚前に盛り上がってしまったようだ。
「どこが白い結婚なのよ!」
「このエロ親父がぁ!」
「「 テヘペロ♪ 」」
「「テヘペロじゃね~よ!」」
「いやぁ、酒の勢いって怖いよねぇ~♪」
「ホントホント、まさかたった一度の過ちで命中しちゃったなんてねぇ~♪」
「「 喧しいわぁ! 」」
孫の顔を見せる前に新しい弟妹が出来ることになった二人が絶叫した。
おしまい
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