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「えっ!? 違いますけど!? 紹介しただけですよ?」

 オリンは心底分からないと言った表情で首を傾げてみせた。

「しらばっくれてんじゃないわよぉ~!」

 サーシャが絶叫する。

「そんなつもりはありませんが、どの辺りがご不満で!?」

「全部よ! 最初っから最後まで全部!」

「そう仰られても.. 」

「はぁ...」

 サーシャは蟀谷を指で抑えながら、長いため息を吐いた。

「いいわ...一から説明してあげる。いい? あんたが『紹介』だって言い張ってる破落戸どもはね、私を取り囲んでこう言ったのよ『よぉよぉ、お姉ちゃん。こんな夜更けに女の独り歩きは危ないぜぃ?』って」

「忠告してくれて良い人達じゃないですか?」

「まだよ! 最後まで聞きなさい!『良かったら俺達と良いことしねぇかい?』って言って来たから、私が『冗談じゃない! あんた達なんてお断りよ!』って言ったのよ!」

「え~とそれは...ツンデレ!?」

「違うわよ! 最後まで聞きなさいって言ってんでしょ! そしたらそいつらは『お高く止まってんじゃねぇ! おめえら、押さえ付けちまえ!』って言って、私のことを押し倒しのよ! どうよ!? これでもまだ乱暴じゃないって言うつもり!?」

 オリンはちょっとだけ首を捻って、

「えぇ、大人の恋の駆け引きではないかと...」

「ど・こ・が・よ!」

 サーシャは額に青筋を浮かべている。

「はぁ...分かりました。一万歩いや百万歩譲って強姦だったとしましょう」

「随分譲ったわね...」

「でもその後は和姦になりましたよね?」

「はぁ!?」

 サーシャはポカンとした表情を浮かべた。

「いえですから、最初はともかく途中からはあなたもその気になって、最後は自分から跨がって腰を振って来たって言ってましたよ?」

「そ、そんなことないもん!」

 サーシャが初めて焦りを見せた。

「娼婦よりも凄いプレイを堪能したって言ってましたよ? よっ! この床上手!」

「そんな呼び名は要らんわぁ!」

 サーシャがまた絶叫する。

「じゃあ『スケベナビッチ・オトコダイスキー』さんってお呼びしましょうか?」

「ブフッ! ちょ、ちょっと笑っちゃったじゃないの! ビミョーにありそうな名前なのがまた腹立つわね!」

「とにかく私は、オトコダイスキーさんにお似合いの男達を紹介しただけで他意はありません」

「その名前を推すのね...」

 サーシャはもう諦めの境地だ。

「あ、床上手さんの方が良かったですか?」

「もう勝手にして...」

「あの連中があなたのことを忘れられないから、もう一度紹介して欲しいって言われているんですが。あれ以来、どこの娼館に行っても全然満足できないそうで」

「全然嬉しくない! 絶対お断り!」

 サーシャの絶叫が三度響き渡った。

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