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「セバスチャン、長方形の長めのテーブルってあったかしら?」
「あったかも知れません。探してみましょう」
「お願いね?」
「お嬢様、ちなみにどのような用途でお使いになられるのですか?」
「簡易的な祭壇を作っておこうと思って。明日、カスパート家がやって来たら、私は祭壇で祈りを捧げているって体にしようかなと。だからまず、カスパート家をこの部屋に案内してくれない?」
「あぁ、なるほど。それくらいなら問題ないでしょう」
セバスチャンからOKを貰えた私はホッとした。
「どれだけ常識の無い連中だったとしても、さすがに少しは畏まるでしょうからね」
どんな反応を見せるのか、ちょっと楽しみでもあったりする。
「あるいはドン引するかのどっちかでしょうね」
「うん、そうなってくれたらしめたもんね」
私はそう言って部屋を後にした。
◇◇◇
私が執務室に戻るとアランが部屋に来ていた。
「あ、お嬢...」
指揮棒ピシッ! ...ってか、いい加減成長しろよな...
「お嬢...様...あの...ありがとうございました...」
「うん? なんのこと?」
いきなり脈絡もなくお礼を言われた私は面食らった。
「その...カイルに会わせてくれたこと...です...」
「あぁ、それ? うん、きっと会いたがっているかと思って。どうだった? 旧交を温め合ったみたいな感じ?」
旧交って言うほどは時間が経っている訳でもないけどね。
「えぇ、まぁ...そんなところ...です...」
「そう。良かったわ」
ちなみにカイルは今、屋敷周りの巡回をしている最中だ。
「あの...それで...明日のお見合いの件...なんですが...」
「うん、どうかした?」
「おれ...じゃなかった...私も同席したい...のですが...」
そう言われて私はちょっと考えた。当初の予定では感情的になりそうなアランには、部屋の外の警護に回って貰おうと思っていたのだが、今はカイルが付いてくれている。警護の必要はなくなった。
「そうねぇ...同席させてもいいんだけど...ねぇアラン、相手がどんなに失礼なヤツであったとしても、感情的にならず冷静でいられる?」
「え、え~と...」
「それが約束できなきゃ同席は許可できないわ。良い事? 感情的になったら負けなのよ?」
非常識なヤツらを相手にするには、こっちが理性的になっていないとね。じゃないとヤツらの思う壺になっちゃうからさ。
「ど、努力します...」
「努力じゃダメよ。約束しなさい」
私はキッパリと言い切った。
「あったかも知れません。探してみましょう」
「お願いね?」
「お嬢様、ちなみにどのような用途でお使いになられるのですか?」
「簡易的な祭壇を作っておこうと思って。明日、カスパート家がやって来たら、私は祭壇で祈りを捧げているって体にしようかなと。だからまず、カスパート家をこの部屋に案内してくれない?」
「あぁ、なるほど。それくらいなら問題ないでしょう」
セバスチャンからOKを貰えた私はホッとした。
「どれだけ常識の無い連中だったとしても、さすがに少しは畏まるでしょうからね」
どんな反応を見せるのか、ちょっと楽しみでもあったりする。
「あるいはドン引するかのどっちかでしょうね」
「うん、そうなってくれたらしめたもんね」
私はそう言って部屋を後にした。
◇◇◇
私が執務室に戻るとアランが部屋に来ていた。
「あ、お嬢...」
指揮棒ピシッ! ...ってか、いい加減成長しろよな...
「お嬢...様...あの...ありがとうございました...」
「うん? なんのこと?」
いきなり脈絡もなくお礼を言われた私は面食らった。
「その...カイルに会わせてくれたこと...です...」
「あぁ、それ? うん、きっと会いたがっているかと思って。どうだった? 旧交を温め合ったみたいな感じ?」
旧交って言うほどは時間が経っている訳でもないけどね。
「えぇ、まぁ...そんなところ...です...」
「そう。良かったわ」
ちなみにカイルは今、屋敷周りの巡回をしている最中だ。
「あの...それで...明日のお見合いの件...なんですが...」
「うん、どうかした?」
「おれ...じゃなかった...私も同席したい...のですが...」
そう言われて私はちょっと考えた。当初の予定では感情的になりそうなアランには、部屋の外の警護に回って貰おうと思っていたのだが、今はカイルが付いてくれている。警護の必要はなくなった。
「そうねぇ...同席させてもいいんだけど...ねぇアラン、相手がどんなに失礼なヤツであったとしても、感情的にならず冷静でいられる?」
「え、え~と...」
「それが約束できなきゃ同席は許可できないわ。良い事? 感情的になったら負けなのよ?」
非常識なヤツらを相手にするには、こっちが理性的になっていないとね。じゃないとヤツらの思う壺になっちゃうからさ。
「ど、努力します...」
「努力じゃダメよ。約束しなさい」
私はキッパリと言い切った。
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