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私は仕事に一区切り付けてから客間の様子を見に行った。
「ご苦労様です」
フラワーアレンジメントを担当する人達は全員女性だった。その中で一番偉そうな人に私が声を掛けると、
「あ、お嬢様。こんな感じになります。如何でしょうか?」
振り向いて部屋の様子を見せた。
「え、え~と...」
初見の私の感想は一言...
『ちょっとやり過ぎたかも...』だった...
うん、これはもう誰が見ても紛うことなき祭壇だわな...
「お嬢様、ちなみにですが棺と言いますか、ご遺体はどの辺りに安置されるご予定なのでしょうか?」
もうこの女の人も、祭壇ありきで話を進めているな...
「あ、あ~...そ、そうですね...や、やっぱり部屋の北側でしょうかね...」
私はテキトーに答えるしかなかった。ほら、北枕は縁起が悪いって良く言うじゃん?
「あぁ、なるほど。北枕に準えていらっしゃっるんですね?」
うわぉ...図星突かれたんだけど...
「でも実はアレって迷信って言うか、根拠のあんまりない話なんだってことをご存知なかったですか?」
「へ、へ~...そ、そうなんですか?」
私はテキトーに相槌を打つしかなかった。
「えぇ、そうなんですよ。実際、風水の世界では北を向いて寝るのは、頭寒足熱の理に適った「運気の上がる寝方」とされてたりもするんです」
「へ、へ~...そ、そうなんですね~...」
私は曖昧に頷くしかなかった。
「また『頭寒足熱』説以外にも『地球の磁力線に身体が沿っていることによって血行が促される』とする説とかも存在したりしまして...」
その後「この女の人、フラワーアレンジメントが本業じゃなくて、実は風水師の方が本業だったりするんじゃないか?」ってなくらいに、延々と風水の蘊蓄を聞かされるハメになった私だった...
結局、棺の位置は部屋の中央ということに決まった。いや、棺は置かないけどね...
フラワーアレンジメントの担当者達が帰った後、
「うっ!?」
客間を訪れたセバスチャンが絶句したのも無理はない。実際、部屋を閉め切ると菊の花の香りが充満しちゃって噎せ返る程だからね...
「お、お嬢様...さ、さすがにこれはちょっと...」
「うん、分かってる...皆まで言わなくても分かってるから...」
『過ぎたるは及ばざるが如し』とは良く言ったもので、何事も程々にしておくのが重畳ってことだよね...身に染みて分かったような気がするよ...
私は見事な祭壇に仕上がった客間を見渡しながら頭を抱えていた...
「ご苦労様です」
フラワーアレンジメントを担当する人達は全員女性だった。その中で一番偉そうな人に私が声を掛けると、
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振り向いて部屋の様子を見せた。
「え、え~と...」
初見の私の感想は一言...
『ちょっとやり過ぎたかも...』だった...
うん、これはもう誰が見ても紛うことなき祭壇だわな...
「お嬢様、ちなみにですが棺と言いますか、ご遺体はどの辺りに安置されるご予定なのでしょうか?」
もうこの女の人も、祭壇ありきで話を進めているな...
「あ、あ~...そ、そうですね...や、やっぱり部屋の北側でしょうかね...」
私はテキトーに答えるしかなかった。ほら、北枕は縁起が悪いって良く言うじゃん?
「あぁ、なるほど。北枕に準えていらっしゃっるんですね?」
うわぉ...図星突かれたんだけど...
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「へ、へ~...そ、そうなんですか?」
私はテキトーに相槌を打つしかなかった。
「えぇ、そうなんですよ。実際、風水の世界では北を向いて寝るのは、頭寒足熱の理に適った「運気の上がる寝方」とされてたりもするんです」
「へ、へ~...そ、そうなんですね~...」
私は曖昧に頷くしかなかった。
「また『頭寒足熱』説以外にも『地球の磁力線に身体が沿っていることによって血行が促される』とする説とかも存在したりしまして...」
その後「この女の人、フラワーアレンジメントが本業じゃなくて、実は風水師の方が本業だったりするんじゃないか?」ってなくらいに、延々と風水の蘊蓄を聞かされるハメになった私だった...
結局、棺の位置は部屋の中央ということに決まった。いや、棺は置かないけどね...
フラワーアレンジメントの担当者達が帰った後、
「うっ!?」
客間を訪れたセバスチャンが絶句したのも無理はない。実際、部屋を閉め切ると菊の花の香りが充満しちゃって噎せ返る程だからね...
「お、お嬢様...さ、さすがにこれはちょっと...」
「うん、分かってる...皆まで言わなくても分かってるから...」
『過ぎたるは及ばざるが如し』とは良く言ったもので、何事も程々にしておくのが重畳ってことだよね...身に染みて分かったような気がするよ...
私は見事な祭壇に仕上がった客間を見渡しながら頭を抱えていた...
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