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「セバスチャン、お見合いの席にはあなたが同席してくれない?」
「畏まりましたが、私めでよろしいので? アランではなく?」
「恐らくだけど...アランは感情的になってしまうと思うわ...」
「あぁ、確かに...まだまだ修行が足りませんからねぇ...」
「私だって目の前で無礼な態度を取られたら、冷静でいられる自信が無いからね...私が暴走しないように手綱を握ってて欲しいのよ...それならあなたの方が適任でしょ?」
「おっしゃる通りでございますな...畏まりました。微力を尽くしましょう」
「お願いね。とにかく今日は一日中お疲れ様。今夜はゆっくり休んで?」
「ありがとうございます。ではお言葉に甘えまして」
セバスチャンを見送った後、私も疲れた体をベッドに沈めた。
◇◇◇
「アンリエット、おはよう」
次の日の朝早く、エリザベートが訪ねて来た。
「おはよう、エリザベート。どうしたの? こんな朝早いなんて珍しいわね?」
いつもはお寝坊のはずなのに。
「ちょっと気になる情報を入手したんで、急いで知らせに来たのよ」
「気になる情報って?」
「カスパート家に関してよ。お見合いって明日だったわよね?」
「エリザベートも調べてくれてたの!?」
私はちょっと意外だった。てっきりバカ兄と盛ることしか考えてないんだと思ってた。それか目前に迫った結婚式のことで頭一杯かと思ってた。
「当ったり前でしょうが! 私の義妹になんかあったら大変じゃないの!」
「まだ義妹呼びすんな」
フライングすな。
「どうせもう時間の問題なんだからいいじゃないのよ! そんなことより、件のカスパート家ってあれヤバいわよ?」
「うん、知ってる。セバスチャンが調べてくれたから」
私は昨夜聞いた、セバスチャンのカスパート家調査内容をい掻い摘んでエリザベートに説明した。
「なるほど。さすがはセバスチャンね。ウチの調査部と同じくらいの情報をたった一日で集めるなんてね」
そうだろうそうだろう! もっともっと褒め称えたまえよ! ウチの執事は優秀だってことを!
それにしても、エリザベートん家には調査部なんてものまであるんだ。さすがは腐っても公爵家だな。私は変な所に感心していた。
「でもこの情報は入手してないでしょ? どうやらカスパート家は暗黒街の連中とも付き合いがあるみたいなのよ」
「暗黒街!? ギャングとかマフィアとか!?」
「えぇ、そんな感じね。要は犯罪者集団と手を組んでいるってこと。つまりは自分達の思う通りに事が運ばなかった場合、力業に訴えて来る可能性があるってことよ」
「えっ!? マジで!?」
私は戦慄するしかなかった。
「畏まりましたが、私めでよろしいので? アランではなく?」
「恐らくだけど...アランは感情的になってしまうと思うわ...」
「あぁ、確かに...まだまだ修行が足りませんからねぇ...」
「私だって目の前で無礼な態度を取られたら、冷静でいられる自信が無いからね...私が暴走しないように手綱を握ってて欲しいのよ...それならあなたの方が適任でしょ?」
「おっしゃる通りでございますな...畏まりました。微力を尽くしましょう」
「お願いね。とにかく今日は一日中お疲れ様。今夜はゆっくり休んで?」
「ありがとうございます。ではお言葉に甘えまして」
セバスチャンを見送った後、私も疲れた体をベッドに沈めた。
◇◇◇
「アンリエット、おはよう」
次の日の朝早く、エリザベートが訪ねて来た。
「おはよう、エリザベート。どうしたの? こんな朝早いなんて珍しいわね?」
いつもはお寝坊のはずなのに。
「ちょっと気になる情報を入手したんで、急いで知らせに来たのよ」
「気になる情報って?」
「カスパート家に関してよ。お見合いって明日だったわよね?」
「エリザベートも調べてくれてたの!?」
私はちょっと意外だった。てっきりバカ兄と盛ることしか考えてないんだと思ってた。それか目前に迫った結婚式のことで頭一杯かと思ってた。
「当ったり前でしょうが! 私の義妹になんかあったら大変じゃないの!」
「まだ義妹呼びすんな」
フライングすな。
「どうせもう時間の問題なんだからいいじゃないのよ! そんなことより、件のカスパート家ってあれヤバいわよ?」
「うん、知ってる。セバスチャンが調べてくれたから」
私は昨夜聞いた、セバスチャンのカスパート家調査内容をい掻い摘んでエリザベートに説明した。
「なるほど。さすがはセバスチャンね。ウチの調査部と同じくらいの情報をたった一日で集めるなんてね」
そうだろうそうだろう! もっともっと褒め称えたまえよ! ウチの執事は優秀だってことを!
それにしても、エリザベートん家には調査部なんてものまであるんだ。さすがは腐っても公爵家だな。私は変な所に感心していた。
「でもこの情報は入手してないでしょ? どうやらカスパート家は暗黒街の連中とも付き合いがあるみたいなのよ」
「暗黒街!? ギャングとかマフィアとか!?」
「えぇ、そんな感じね。要は犯罪者集団と手を組んでいるってこと。つまりは自分達の思う通りに事が運ばなかった場合、力業に訴えて来る可能性があるってことよ」
「えっ!? マジで!?」
私は戦慄するしかなかった。
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