238 / 276
238
しおりを挟む
「あ、そうだったわね...」
我に返ったエリザベートが優しくお腹を擦った。
「坊や、ゴメンね。ちょっと興奮し過ぎたわ」
エリザベートの坊や呼びにはもう突っ込む気力が湧かなかったのでシカトすることにした。
「アラン、もう下がっていいわよ?」
「......」
アランは無言のまま部屋を後にした。
「それでアンリエット、どうする気?」
「お見合いするだけしてみるわ」
「本当にいいの?」
「えぇ、会うだけなら」
「ウチの権力を使って黙らせることも出来そうだけど?」
「それはちょっとやり過ぎだと思うから遠慮しておくわ。ただ、お見合い相手が困ったヤツだったりした場合にはお願いするかも知れない」
「えぇ、その時は遠慮なく言ってちょうだい」
「ありがとう。それじゃあまた」
「うん、またね...って、そうじゃな~い! 危ない危ない...流される所だったわ...」
「チッ!」
流されてそのまま帰れば良かったのに! 勘の鋭いヤツめ!
「...今、舌打ちしなかった?」
「気のせいよ」
エリザベートの胡乱気な視線を私はサラッと受け流した。
「アンリエット、交換条件といきましょう」
「交換条件?」
「さっき言ってた、お見合い相手が困ったちゃんだった場合にウチの権力を行使することに関してよ。その場合はウチが黙らせてやるから、代わりにあなたは私達の結婚式に出席しなさい。それが条件よ」
なるほど。そう来たか。考えやがったな。でもそれは、
「条件が前提になっていないわ。仮にそうだったらって話を条件として持って来られても、私としては受けるメリットが無さそうに思えるけど?」
「うぎぎぎ...ああ言えばこう言う...あんたってホント可愛く無いわね...」
エリザベートがギリギリと歯軋りしてる。可愛くなくて悪かったな。
「お褒めに預かりどうも」
「誰も褒めてねぇし...」
「まぁ、あんたの家がバックに付いてくれるってのは心強いから、そうしてくれるんなら私としても結婚式に出席することを前向きに善処してみることも吝かではないと忖度してみようと思ったり思わなかったり...」
「国会答弁か!」
ナイス突っ込み!
「とにもかくにも、まずはお見合いしてみるのが先よ」
「それっていつよ?」
「私がOKの返事を出したらすぐよ。あの爺さん、せっかちだから」
「分かったわ。それじゃまた来るから。首を洗って待ってなさいよ!」
「その捨て台詞は微妙にズレてんじゃない?」
「うっさい!」
エリザベートは肩を怒らせて帰って行った。
我に返ったエリザベートが優しくお腹を擦った。
「坊や、ゴメンね。ちょっと興奮し過ぎたわ」
エリザベートの坊や呼びにはもう突っ込む気力が湧かなかったのでシカトすることにした。
「アラン、もう下がっていいわよ?」
「......」
アランは無言のまま部屋を後にした。
「それでアンリエット、どうする気?」
「お見合いするだけしてみるわ」
「本当にいいの?」
「えぇ、会うだけなら」
「ウチの権力を使って黙らせることも出来そうだけど?」
「それはちょっとやり過ぎだと思うから遠慮しておくわ。ただ、お見合い相手が困ったヤツだったりした場合にはお願いするかも知れない」
「えぇ、その時は遠慮なく言ってちょうだい」
「ありがとう。それじゃあまた」
「うん、またね...って、そうじゃな~い! 危ない危ない...流される所だったわ...」
「チッ!」
流されてそのまま帰れば良かったのに! 勘の鋭いヤツめ!
「...今、舌打ちしなかった?」
「気のせいよ」
エリザベートの胡乱気な視線を私はサラッと受け流した。
「アンリエット、交換条件といきましょう」
「交換条件?」
「さっき言ってた、お見合い相手が困ったちゃんだった場合にウチの権力を行使することに関してよ。その場合はウチが黙らせてやるから、代わりにあなたは私達の結婚式に出席しなさい。それが条件よ」
なるほど。そう来たか。考えやがったな。でもそれは、
「条件が前提になっていないわ。仮にそうだったらって話を条件として持って来られても、私としては受けるメリットが無さそうに思えるけど?」
「うぎぎぎ...ああ言えばこう言う...あんたってホント可愛く無いわね...」
エリザベートがギリギリと歯軋りしてる。可愛くなくて悪かったな。
「お褒めに預かりどうも」
「誰も褒めてねぇし...」
「まぁ、あんたの家がバックに付いてくれるってのは心強いから、そうしてくれるんなら私としても結婚式に出席することを前向きに善処してみることも吝かではないと忖度してみようと思ったり思わなかったり...」
「国会答弁か!」
ナイス突っ込み!
「とにもかくにも、まずはお見合いしてみるのが先よ」
「それっていつよ?」
「私がOKの返事を出したらすぐよ。あの爺さん、せっかちだから」
「分かったわ。それじゃまた来るから。首を洗って待ってなさいよ!」
「その捨て台詞は微妙にズレてんじゃない?」
「うっさい!」
エリザベートは肩を怒らせて帰って行った。
23
お気に入りに追加
3,465
あなたにおすすめの小説
〖完結〗幼馴染みの王女様の方が大切な婚約者は要らない。愛してる? もう興味ありません。
藍川みいな
恋愛
婚約者のカイン様は、婚約者の私よりも幼馴染みのクリスティ王女殿下ばかりを優先する。
何度も約束を破られ、彼と過ごせる時間は全くなかった。約束を破る理由はいつだって、「クリスティが……」だ。
同じ学園に通っているのに、私はまるで他人のよう。毎日毎日、二人の仲のいい姿を見せられ、苦しんでいることさえ彼は気付かない。
もうやめる。
カイン様との婚約は解消する。
でもなぜか、別れを告げたのに彼が付きまとってくる。
愛してる? 私はもう、あなたに興味はありません!
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
沢山の感想ありがとうございます。返信出来ず、申し訳ありません。
王子妃教育に疲れたので幼馴染の王子との婚約解消をしました
さこの
恋愛
新年のパーティーで婚約破棄?の話が出る。
王子妃教育にも疲れてきていたので、婚約の解消を望むミレイユ
頑張っていても落第令嬢と呼ばれるのにも疲れた。
ゆるい設定です
わたくし、残念ながらその書類にはサインしておりませんの。
朝霧心惺
恋愛
「リリーシア・ソフィア・リーラー。冷酷卑劣な守銭奴女め、今この瞬間を持って俺は、貴様との婚約を破棄する!!」
テオドール・ライリッヒ・クロイツ侯爵令息に高らかと告げられた言葉に、リリーシアは純白の髪を靡かせ高圧的に微笑みながら首を傾げる。
「誰と誰の婚約ですって?」
「俺と!お前のだよ!!」
怒り心頭のテオドールに向け、リリーシアは真実を告げる。
「わたくし、残念ながらその書類にはサインしておりませんの」
妹と再婚約?殿下ありがとうございます!
八つ刻
恋愛
第一王子と侯爵令嬢は婚約を白紙撤回することにした。
第一王子が侯爵令嬢の妹と真実の愛を見つけてしまったからだ。
「彼女のことは私に任せろ」
殿下!言質は取りましたからね!妹を宜しくお願いします!
令嬢は妹を王子に丸投げし、自分は家族と平穏な幸せを手に入れる。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
姉から奪うことしかできない妹は、ザマァされました
饕餮
ファンタジー
わたくしは、オフィリア。ジョンパルト伯爵家の長女です。
わたくしには双子の妹がいるのですが、使用人を含めた全員が妹を溺愛するあまり、我儘に育ちました。
しかもわたくしと色違いのものを両親から与えられているにもかかわらず、なぜかわたくしのものを欲しがるのです。
末っ子故に甘やかされ、泣いて喚いて駄々をこね、暴れるという貴族女性としてはあるまじき行為をずっとしてきたからなのか、手に入らないものはないと考えているようです。
そんなあざといどころかあさましい性根を持つ妹ですから、いつの間にか両親も兄も、使用人たちですらも絆されてしまい、たとえ嘘であったとしても妹の言葉を鵜呑みにするようになってしまいました。
それから数年が経ち、学園に入学できる年齢になりました。が、そこで兄と妹は――
n番煎じのよくある妹が姉からものを奪うことしかしない系の話です。
全15話。
※カクヨムでも公開しています
【完結】幼い頃から婚約を誓っていた伯爵に婚約破棄されましたが、数年後に驚くべき事実が発覚したので会いに行こうと思います
菊池 快晴
恋愛
令嬢メアリーは、幼い頃から将来を誓い合ったゼイン伯爵に婚約破棄される。
その隣には見知らぬ女性が立っていた。
二人は傍から見ても仲睦まじいカップルだった。
両家の挨拶を終えて、幸せな結婚前パーティで、その出来事は起こった。
メアリーは彼との出会いを思い返しながら打ちひしがれる。
数年後、心の傷がようやく癒えた頃、メアリーの前に、謎の女性が現れる。
彼女の口から発せられた言葉は、ゼインのとんでもない事実だった――。
※ハッピーエンド&純愛
他サイトでも掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる