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「あ、そうだったわね...」
我に返ったエリザベートが優しくお腹を擦った。
「坊や、ゴメンね。ちょっと興奮し過ぎたわ」
エリザベートの坊や呼びにはもう突っ込む気力が湧かなかったのでシカトすることにした。
「アラン、もう下がっていいわよ?」
「......」
アランは無言のまま部屋を後にした。
「それでアンリエット、どうする気?」
「お見合いするだけしてみるわ」
「本当にいいの?」
「えぇ、会うだけなら」
「ウチの権力を使って黙らせることも出来そうだけど?」
「それはちょっとやり過ぎだと思うから遠慮しておくわ。ただ、お見合い相手が困ったヤツだったりした場合にはお願いするかも知れない」
「えぇ、その時は遠慮なく言ってちょうだい」
「ありがとう。それじゃあまた」
「うん、またね...って、そうじゃな~い! 危ない危ない...流される所だったわ...」
「チッ!」
流されてそのまま帰れば良かったのに! 勘の鋭いヤツめ!
「...今、舌打ちしなかった?」
「気のせいよ」
エリザベートの胡乱気な視線を私はサラッと受け流した。
「アンリエット、交換条件といきましょう」
「交換条件?」
「さっき言ってた、お見合い相手が困ったちゃんだった場合にウチの権力を行使することに関してよ。その場合はウチが黙らせてやるから、代わりにあなたは私達の結婚式に出席しなさい。それが条件よ」
なるほど。そう来たか。考えやがったな。でもそれは、
「条件が前提になっていないわ。仮にそうだったらって話を条件として持って来られても、私としては受けるメリットが無さそうに思えるけど?」
「うぎぎぎ...ああ言えばこう言う...あんたってホント可愛く無いわね...」
エリザベートがギリギリと歯軋りしてる。可愛くなくて悪かったな。
「お褒めに預かりどうも」
「誰も褒めてねぇし...」
「まぁ、あんたの家がバックに付いてくれるってのは心強いから、そうしてくれるんなら私としても結婚式に出席することを前向きに善処してみることも吝かではないと忖度してみようと思ったり思わなかったり...」
「国会答弁か!」
ナイス突っ込み!
「とにもかくにも、まずはお見合いしてみるのが先よ」
「それっていつよ?」
「私がOKの返事を出したらすぐよ。あの爺さん、せっかちだから」
「分かったわ。それじゃまた来るから。首を洗って待ってなさいよ!」
「その捨て台詞は微妙にズレてんじゃない?」
「うっさい!」
エリザベートは肩を怒らせて帰って行った。
我に返ったエリザベートが優しくお腹を擦った。
「坊や、ゴメンね。ちょっと興奮し過ぎたわ」
エリザベートの坊や呼びにはもう突っ込む気力が湧かなかったのでシカトすることにした。
「アラン、もう下がっていいわよ?」
「......」
アランは無言のまま部屋を後にした。
「それでアンリエット、どうする気?」
「お見合いするだけしてみるわ」
「本当にいいの?」
「えぇ、会うだけなら」
「ウチの権力を使って黙らせることも出来そうだけど?」
「それはちょっとやり過ぎだと思うから遠慮しておくわ。ただ、お見合い相手が困ったヤツだったりした場合にはお願いするかも知れない」
「えぇ、その時は遠慮なく言ってちょうだい」
「ありがとう。それじゃあまた」
「うん、またね...って、そうじゃな~い! 危ない危ない...流される所だったわ...」
「チッ!」
流されてそのまま帰れば良かったのに! 勘の鋭いヤツめ!
「...今、舌打ちしなかった?」
「気のせいよ」
エリザベートの胡乱気な視線を私はサラッと受け流した。
「アンリエット、交換条件といきましょう」
「交換条件?」
「さっき言ってた、お見合い相手が困ったちゃんだった場合にウチの権力を行使することに関してよ。その場合はウチが黙らせてやるから、代わりにあなたは私達の結婚式に出席しなさい。それが条件よ」
なるほど。そう来たか。考えやがったな。でもそれは、
「条件が前提になっていないわ。仮にそうだったらって話を条件として持って来られても、私としては受けるメリットが無さそうに思えるけど?」
「うぎぎぎ...ああ言えばこう言う...あんたってホント可愛く無いわね...」
エリザベートがギリギリと歯軋りしてる。可愛くなくて悪かったな。
「お褒めに預かりどうも」
「誰も褒めてねぇし...」
「まぁ、あんたの家がバックに付いてくれるってのは心強いから、そうしてくれるんなら私としても結婚式に出席することを前向きに善処してみることも吝かではないと忖度してみようと思ったり思わなかったり...」
「国会答弁か!」
ナイス突っ込み!
「とにもかくにも、まずはお見合いしてみるのが先よ」
「それっていつよ?」
「私がOKの返事を出したらすぐよ。あの爺さん、せっかちだから」
「分かったわ。それじゃまた来るから。首を洗って待ってなさいよ!」
「その捨て台詞は微妙にズレてんじゃない?」
「うっさい!」
エリザベートは肩を怒らせて帰って行った。
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