我が家の乗っ取りを企む婚約者とその幼馴染みに鉄槌を下します!

真理亜

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「それってどういう意味よ?」

「前に言ったでしょ? 私達とあなた達とで合同結婚式をしたいって」

「あぁ、そう言えばそんな戯言ホザいてたわね」

 私は遠い目をして思い出した。

「戯言って...金言って言ってちょうだいよね!」

「戯言よ。私は、いや私達は乗る気はないから」

「どうしてよ~!」

 エリザベートがプンプンしている。全然可愛くないが。

「これ以上、あんたに振り回されるのはゴメンだって言ってんの。自分の人生だもん。自分のペースで行かせて貰うわ」

 私はキッパリと言い切った。

「そんなぁ~...良い案だと思ったんだけどなぁ~...」

 エリザベートはガッカリしたような表情を浮かべた。

「そもそもがあんた、私達の気持ちってもんを丸っきり無視して突っ走り過ぎんのよ。私達はまだお互いのことをどう思ってんのかハッキリさせてないし。っていうか、私もう一ヶ月もアランの顔見てないし」

「だからそれは...」

 さすがのエリザベートも言葉に詰まる。

「もう十分でしょう? 今すぐアランを戻しなさい。これはアランの主人としての命令よ。公爵家だろうが王族だろうが文句言わせないわ」

 私はここぞとばかりに畳み掛けた。

「でもまだ中途半端で...」

「後はこっちで教育するわ。いいから四の五の言わずにさっさと帰しなさい」

「分かったわよ...」

「それと今後、私とアランの関係を無駄に煽るようなことは禁止。あんたはお腹の子のことだけ考えてなさい。私もアランも自分のペースで行くことにするから。分かった?」

「はいはい...」

 エリザベートは物凄く不満そうだ。

「はいは一回!」

「は~い...」

 これでようやく日常が戻って来る。私は胸を撫で下ろした。


◇◇◇


 次の日、窶れ切ったアランがやっと我が家に戻って来た。

「アラン、お帰り...」

「お嬢、ただいま...助かったよ...」

 アランは力なく笑った。

「うん、そうみたいね...まずはゆっくり休みなさい。話はその後でね?」

「分かった...ありがとう...」

 アランを部屋に下がらせてから私は仕事に戻った。

「お嬢様、お手紙が来ております」

 するとセバスチャンが私宛の手紙を持って来た。

「誰から?」

「ロバート様からでございます」

「兄さんから?」

 エリザベートにドナドナされて行った兄が何用だろうか? 封を開くとそこにはたった一言...

『助けて...』

 と書かれていた。

「ロバート様はなんと?」

「あぁ、気にしないで。なんでもないわ」

 私は手紙を暖炉に放り込んだ。兄よ、安らかに眠れ...南無...
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