我が家の乗っ取りを企む婚約者とその幼馴染みに鉄槌を下します!

真理亜

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 アランがエリザベートにドナドナされてから、早いものでそろそろ一ヶ月が経過しようとしている。

 その間、エリザベートが我が家にやって来る度にアランの様子を尋ねるのだが、答えは決まって...

「生きてるから安心しなさい」

 それだけだった。

「いやそれだけじゃ全然安心できないんだけど...元気なんでしょうね?」

「元気ではないわね。日に日に窶れて行ってるもの」

「ちょっと...」

「大丈夫よ。心配しなさんな」

「心配するって...」

 私は気が気ではなかった。

「カリキュラムは順調に熟して行ってるから心配要らないって」

「そう言われても...顔を見ないと不安になるばかりよ...たまにはウチに帰してくれてもいいんじゃない?」

「それはダメよ」

「なんでよ?」

「里心が付いたら集中できなくなるから」

「それは...」

 正論に思えたので私は言葉に詰まった。

「もう少ししたら会えるから辛抱しなさい。それよりもあなたの方の決心は固まったの?」

「うっ...」

 見事な切り返しを食らった私は低く呻いた。

「まだなの? いい加減、腹を決めなさいよ?」

「そ、そんなこと言われたって...」

「いっそ私とダーリンみたいに既成事実から行っとく?」

「それだけは絶対にイヤ!」

 コイツらみたいになりたくない! 死んでもゴメンだ!

「いつまで経っても純情ねぇ」

「あんたが極端過ぎんのよ...」

「お子ちゃま」

「うっさい!」

「フゥ...まぁいいわ。アランの教育が終わるまでには決断しときなさいよね?」

「分かってるわよ...」

「それじゃあ私はハニーと甘い時間を過ごして来るわぁ~♪」

「昼間っからお盛んなことで...」

「なに? 妬いてんの?」

「誰が妬くか! さっさと盛って来やがれ!」

「おぉ~♪ 怖い怖い~♪ それじゃあまたね~♪」

「あぁ、疲れた...」

 エリザベートが部屋を出て行った後、私は執務室の机に突っ伏した。

「けどエリザベートの言う通り、そろそろ結論を出さないといけないんだよね...」

 私は机に突っ伏したまま独り言ちた。自分の気持ちに真っ直ぐ向き合う時期が近付いて来ているということだ。

 自分は一体どうしたいんだろう? アランとどういう関係になって行きたいんだろう? 

 自問すれど、答えは中々見付からなかった。


◇◇◇


「あれ? 兄さん達は?」

 夕食の席にあのバカップルの姿がなかったので、私はセバスチャンに尋ねてみた。

「ご夕食はお部屋の方で摂られるとのことです」

「そう。スッポンだのニンニクだのは辟易してたからちょうど良かったわ。ちなみにあの二人、今夜はどんなメニューなの?」

「ウナギの蒲焼き、ウナ重、ひつまぶし、ウナギの肝のお吸い物などでございます...」

「うへぇ...」

 今度はウナギ三昧か...毎度毎度良く考え付くもんだな...
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