218 / 276
218
しおりを挟む
「あなた~♪ お帰りなさい~♪ お風呂にする~? ご飯にする~? それとも~♪ わ・た・し~?」
「ヽ(ヽ゜ロ゜)ヒイィィィ! え、エリザベート嬢!?」
私達が家に戻った時、まだ兄は帰っていなかった。それを知ったエリザベートがイソイソと裸エプロンになり、ベタベタな新婚コントの段取りを進める様を、私は冷めた目で眺めていた。
「えぇ~? 私がいいの~? もうダーリンったらぁ~♪ 本当にHなんだからぁ~♪ しょうがない人ね~♪」
「い、いや、言ってな...」
ぶっちゅう~♪
エリザベートは皆まで言わせなかった。口を口で塞いた後、そのまま兄をお持ち帰りして行った。うん、もうお前ら死ぬまでやってろ。私は諦観の境地だった。
◇◇◇
「ママ~!」
次の日、いつものように仕事をしていると、ウィリアムがマックスを連れてやって来た。
「あらマックス? どうしたの?」
私はマックスを抱き上げながらウィリアムに尋ねた。
「すまん、アンリエット...マックスのヤツがどうしてもお前さんに会いたいって駄々こねちまって...」
ウィリアムは申し訳無さそうにそう言った。
「あぁ、そういうこと」
「ママ~! ママ~!」
「はいはい~ 良い子良い子~」
それからしばらくは、仕事の手を止めてマックスの相手をしてあげた。
◇◇◇
「フゥ...やっと寝てくれた...」
私はお昼寝しているマックスの顔を覗き込んで頭をそっと撫でた。
「済まないアンリエット...仕事中だったろうに...本当に申し訳なかった...」
「いいのよ。ちょうど良い気分転換になったわ」
「俺はダメだな...やっぱり父親の代わりにはなれないらしい...」
「パトリックが戻って来るまでの辛抱よ。しっかりしなさい」
「それは分かってるんだが...」
「本来ならマックスはあなたが引き取るはずたったのよ? その時の決心を忘れちゃった訳じゃないでしょう?」
「もちろん忘れちゃいないさ。ただあの時と違って、兄貴と再会した後のマックスは、それまで以上に兄貴にべったりだったからな...」
「あぁ、それは分かる気がするわ。マックスにしてみれば、今度こそ離れたくないっていう必死な想いの表れなんでしょうね」
「だと思う。やっぱり血の繋がった父親の存在には勝てないなって思い知らされたような気分になったからな...」
「そりゃ無理もないわね。ところでパトリックからなにか連絡はあった?」
「いや特になにも。アランからは?」
「こっちもないわ。戻って来る途中なのかも知れないわね」
「そうだな...」
「ヽ(ヽ゜ロ゜)ヒイィィィ! え、エリザベート嬢!?」
私達が家に戻った時、まだ兄は帰っていなかった。それを知ったエリザベートがイソイソと裸エプロンになり、ベタベタな新婚コントの段取りを進める様を、私は冷めた目で眺めていた。
「えぇ~? 私がいいの~? もうダーリンったらぁ~♪ 本当にHなんだからぁ~♪ しょうがない人ね~♪」
「い、いや、言ってな...」
ぶっちゅう~♪
エリザベートは皆まで言わせなかった。口を口で塞いた後、そのまま兄をお持ち帰りして行った。うん、もうお前ら死ぬまでやってろ。私は諦観の境地だった。
◇◇◇
「ママ~!」
次の日、いつものように仕事をしていると、ウィリアムがマックスを連れてやって来た。
「あらマックス? どうしたの?」
私はマックスを抱き上げながらウィリアムに尋ねた。
「すまん、アンリエット...マックスのヤツがどうしてもお前さんに会いたいって駄々こねちまって...」
ウィリアムは申し訳無さそうにそう言った。
「あぁ、そういうこと」
「ママ~! ママ~!」
「はいはい~ 良い子良い子~」
それからしばらくは、仕事の手を止めてマックスの相手をしてあげた。
◇◇◇
「フゥ...やっと寝てくれた...」
私はお昼寝しているマックスの顔を覗き込んで頭をそっと撫でた。
「済まないアンリエット...仕事中だったろうに...本当に申し訳なかった...」
「いいのよ。ちょうど良い気分転換になったわ」
「俺はダメだな...やっぱり父親の代わりにはなれないらしい...」
「パトリックが戻って来るまでの辛抱よ。しっかりしなさい」
「それは分かってるんだが...」
「本来ならマックスはあなたが引き取るはずたったのよ? その時の決心を忘れちゃった訳じゃないでしょう?」
「もちろん忘れちゃいないさ。ただあの時と違って、兄貴と再会した後のマックスは、それまで以上に兄貴にべったりだったからな...」
「あぁ、それは分かる気がするわ。マックスにしてみれば、今度こそ離れたくないっていう必死な想いの表れなんでしょうね」
「だと思う。やっぱり血の繋がった父親の存在には勝てないなって思い知らされたような気分になったからな...」
「そりゃ無理もないわね。ところでパトリックからなにか連絡はあった?」
「いや特になにも。アランからは?」
「こっちもないわ。戻って来る途中なのかも知れないわね」
「そうだな...」
23
お気に入りに追加
3,469
あなたにおすすめの小説
拝啓、婚約者様。ごきげんよう。そしてさようなら
みおな
恋愛
子爵令嬢のクロエ・ルーベンスは今日も《おひとり様》で夜会に参加する。
公爵家を継ぐ予定の婚約者がいながら、だ。
クロエの婚約者、クライヴ・コンラッド公爵令息は、婚約が決まった時から一度も婚約者としての義務を果たしていない。
クライヴは、ずっと義妹のファンティーヌを優先するからだ。
「ファンティーヌが熱を出したから、出かけられない」
「ファンティーヌが行きたいと言っているから、エスコートは出来ない」
「ファンティーヌが」
「ファンティーヌが」
だからクロエは、学園卒業式のパーティーで顔を合わせたクライヴに、にっこりと微笑んで伝える。
「私のことはお気になさらず」
私の愛した婚約者は死にました〜過去は捨てましたので自由に生きます〜
みおな
恋愛
大好きだった人。
一目惚れだった。だから、あの人が婚約者になって、本当に嬉しかった。
なのに、私の友人と愛を交わしていたなんて。
もう誰も信じられない。
逃げた先で見つけた幸せはずっと一緒に。
しゃーりん
恋愛
侯爵家の跡継ぎにも関わらず幼いころから虐げられてきたローレンス。
父の望む相手と結婚したものの妻は義弟の恋人で、妻に子供ができればローレンスは用済みになると知り、家出をする。
旅先で出会ったメロディーナ。嫁ぎ先に向かっているという彼女と一晩を過ごした。
陰からメロディーナを見守ろうと、彼女の嫁ぎ先の近くに住むことにする。
やがて夫を亡くした彼女が嫁ぎ先から追い出された。近くに住んでいたことを気持ち悪く思われることを恐れて記憶喪失と偽って彼女と結婚する。
平民として幸せに暮らしていたが貴族の知り合いに見つかり、妻だった義弟の恋人が子供を産んでいたと知る。
その子供は誰の子か。ローレンスの子でなければ乗っ取りなのではないかと言われたが、ローレンスは乗っ取りを承知で家出したため戻る気はない。
しかし、乗っ取りが暴かれて侯爵家に戻るように言われるお話です。
あなたには、この程度のこと、だったのかもしれませんが。
ふまさ
恋愛
楽しみにしていた、パーティー。けれどその場は、信じられないほどに凍り付いていた。
でも。
愉快そうに声を上げて笑う者が、一人、いた。
【完結】もう誰にも恋なんてしないと誓った
Mimi
恋愛
声を出すこともなく、ふたりを見つめていた。
わたしにとって、恋人と親友だったふたりだ。
今日まで身近だったふたりは。
今日から一番遠いふたりになった。
*****
伯爵家の後継者シンシアは、友人アイリスから交際相手としてお薦めだと、幼馴染みの侯爵令息キャメロンを紹介された。
徐々に親しくなっていくシンシアとキャメロンに婚約の話がまとまり掛ける。
シンシアの誕生日の婚約披露パーティーが近付いた夏休み前のある日、シンシアは急ぐキャメロンを見掛けて彼の後を追い、そして見てしまった。
お互いにただの幼馴染みだと口にしていた恋人と親友の口づけを……
* 無自覚の上から目線
* 幼馴染みという特別感
* 失くしてからの後悔
幼馴染みカップルの当て馬にされてしまった伯爵令嬢、してしまった親友視点のお話です。
中盤は略奪した親友側の視点が続きますが、当て馬令嬢がヒロインです。
本編完結後に、力量不足故の幕間を書き加えており、最終話と重複しています。
ご了承下さいませ。
他サイトにも公開中です
【完結】愛され公爵令嬢は穏やかに微笑む
綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
恋愛
「シモーニ公爵令嬢、ジェラルディーナ! 私はお前との婚約を破棄する。この宣言は覆らぬと思え!!」
婚約者である王太子殿下ヴァレンテ様からの突然の拒絶に、立ち尽くすしかありませんでした。王妃になるべく育てられた私の、存在価値を否定するお言葉です。あまりの衝撃に意識を手放した私は、もう生きる意味も分からくなっていました。
婚約破棄されたシモーニ公爵令嬢ジェラルディーナ、彼女のその後の人生は思わぬ方向へ転がり続ける。優しい彼女の功績に助けられた人々による、恩返しが始まった。まるで童話のように、受け身の公爵令嬢は次々と幸運を手にしていく。
ハッピーエンド確定
【同時掲載】小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2022/10/01 FUNGUILD、Webtoon原作シナリオ大賞、二次選考通過
2022/07/29 FUNGUILD、Webtoon原作シナリオ大賞、一次選考通過
2022/02/15 小説家になろう 異世界恋愛(日間)71位
2022/02/12 完結
2021/11/30 小説家になろう 異世界恋愛(日間)26位
2021/11/29 アルファポリス HOT2位
2021/12/03 カクヨム 恋愛(週間)6位
わたくし、残念ながらその書類にはサインしておりませんの。
朝霧心惺
恋愛
「リリーシア・ソフィア・リーラー。冷酷卑劣な守銭奴女め、今この瞬間を持って俺は、貴様との婚約を破棄する!!」
テオドール・ライリッヒ・クロイツ侯爵令息に高らかと告げられた言葉に、リリーシアは純白の髪を靡かせ高圧的に微笑みながら首を傾げる。
「誰と誰の婚約ですって?」
「俺と!お前のだよ!!」
怒り心頭のテオドールに向け、リリーシアは真実を告げる。
「わたくし、残念ながらその書類にはサインしておりませんの」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる