我が家の乗っ取りを企む婚約者とその幼馴染みに鉄槌を下します!

真理亜

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「エリザベート...あんたって女は...」

「あら? ダメよ、アンリちゃん♪ そんな端ない言葉遣い、お義姉様は許しませんからね?」

「なにがアンリちゃんだ...誰がお義姉様だ...誰が...」

 そこでまた私は意識が飛びそうになった。

「お嬢! しっかり! あぁもう! エリザベート嬢、頼むから出て行ってくれよ! まだお嬢は本調子じゃないんだから!」

「そうみたいねぇ。なにせ丸一日寝込んでたんだもんねぇ」

「えっ!? 私、そんなに寝てたの!?」

 私はビックリしてアランに問い掛けた。せいぜい二、三時間くらいだと思ってたのに。

「そうだよ。だから安静にしてって言っただろ?」

「そうなんだ...分かった...そうする...」

「お大事に~」

 そう言って手をヒラヒラ振りながらエリザベートは部屋を出て行こうとしたのだが、やおら振り返って...

「あ、そうそう。アラン?」

「...まだなにか?」

「これからはあんたも私のことをお義姉様と呼ぶように♪」

「うぐぐ...」

「それじゃまったねぇ~♪」

 最後の最後に特大の爆弾を投げ付けて行きやがった!

「......」

「......」

 今度こそエリザベートが出て行って、二人っきりになった私達に気不味い沈黙が流れる。

「...アラン、喉渇いた...寝る前になんか飲みたい...」

 沈黙に耐えきれなかったのと、丸一日なにも口にしていないせいで喉がカラカラだった私は、蚊の鳴くような声でそう言った。

「...分かった。ちょっと待ってて。ホットミルクでも用意するよ。お腹は空いてない? 軽食も用意しようか?」

「...ううん、食欲ない...」

「...そっか...」

 アランが部屋を出て行った後、私はようやくホッと息を吐いた。

「フゥ...参ったな...普通に喋れないよ...これからどうなっちゃうんだろ...私達...」

 私はシーツを頭の上からスッポリ被り、現実逃避を試みたのだった。


◇◇◇


「...おはよう...」

 結局あの後、また眠りこけた私は翌朝までグッスリだった。さすがに腹が減って起きたので、食堂に行ってみるとそこには...

「...お...は...よ...」

 たった二、三日の間に、すっかり干からびたミイラのような姿になった兄の姿があった。

「...兄さん、一応聞くけど...それなに? 新手のダイエット?」

「...ううぅ..エリザベート嬢が一回じゃ許してくれなくて...何度も何度も...」

「...いや、サキュバスかよ...あの女...」

 肉食系どころの話じゃねぇ...妖怪系じゃねぇか...
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