194 / 276
194
しおりを挟む
次の日、エリザベートがウチに来てくれた。
「なんかやっぱり、あなたがここに居るとしっくり来るわね」
「そうかしら? あくまでも一時的なものよ?」
「それで? ロバートお兄様の具合はどうなの?」
「シレッとお兄様呼びすな!」
全くもう! 油断も隙もない!
「だってぇ~」
「兄なら心配要らないわよ。過労が祟っただけだから。少し休めば元気になるわ」
「良かった~! 安心したわ~! それじゃあ私はこれで!」
「待てい! どこに行くつもりだ!?」
私は、身を翻したエリザベートの襟首をむんずと掴んで止めた。
「ぐぇっ! く、苦ひぃ~! な、なにすんのよぅ~!」
「どこへ行くつもりかと聞いてる! 答えろ!」
「そ、そりゃあもちろん、愛するロバートお兄ちゃまのお見舞いに...」
「サラッと愛するとか言ってんじゃねぇ! それになんだその可愛らしい言い方は!? お前いつからお子ちゃまになった!?」
「別になんだっていいじゃないのよぅ~! いい加減離してよぉ~!」
「行かせて堪るか! 大人しくしろ!」
「なんでよぉ~!?」
「男の寝室に嫁入り前の娘を一人で行かせられるかっての! あんたは少し慎みってもんを知りなさい!」
「じゃあ、あなたと一緒ならいいのよね? 行きましょ行きましょ! ほらほら早く早くぅ~!」
「私はついさっき行って来たばかりだっつーの!」
「いいじゃん別にぃ~!」
「それに今は寝てるから! また今度にしなさい! ゆっくり休ませてあげないと!」
「そっかぁ...じゃあ仕方ないねぇ...」
「フゥ...ようやく理解してくれたようで良かったわ...」
私はエリザベートの襟首を掴んでいた手を放そうと...
「じゃあせめて、お兄たまの寝顔だけでもコソッと...」
したのだが、
「だから止めれ! それと、どんどん幼児退行すな! なにがお兄たまだ!」
もう一度強く握り締めた。
「ぐぇぇっ! STOP! STOP! 締まってる! 締まってるからぁ! チョーク! チョークだからぁ!」
エリザベートが必死にタップして来たんで、仕方なく放してやることにした。全くもう...世話の焼ける...
◇◇◇
ややあって、やっとエリザベートが落ち着いて来たので、私はようやく腰を下ろした。
「それで?」
「ん? それとは?」
「コントやりに来た訳じゃないんでしょう? なんか用があって来たんじゃないの?」
「あ、忘れてた。テヘペロ♪」
「...言っとくけどそれ、全然可愛いくないからね? あざと過ぎんのよ」
「えぇ~...そんなぁ...」
「そういうのもういいから...さっさと本題に入ってよ...」
私は段々と疲れて来ていた。
「なんかやっぱり、あなたがここに居るとしっくり来るわね」
「そうかしら? あくまでも一時的なものよ?」
「それで? ロバートお兄様の具合はどうなの?」
「シレッとお兄様呼びすな!」
全くもう! 油断も隙もない!
「だってぇ~」
「兄なら心配要らないわよ。過労が祟っただけだから。少し休めば元気になるわ」
「良かった~! 安心したわ~! それじゃあ私はこれで!」
「待てい! どこに行くつもりだ!?」
私は、身を翻したエリザベートの襟首をむんずと掴んで止めた。
「ぐぇっ! く、苦ひぃ~! な、なにすんのよぅ~!」
「どこへ行くつもりかと聞いてる! 答えろ!」
「そ、そりゃあもちろん、愛するロバートお兄ちゃまのお見舞いに...」
「サラッと愛するとか言ってんじゃねぇ! それになんだその可愛らしい言い方は!? お前いつからお子ちゃまになった!?」
「別になんだっていいじゃないのよぅ~! いい加減離してよぉ~!」
「行かせて堪るか! 大人しくしろ!」
「なんでよぉ~!?」
「男の寝室に嫁入り前の娘を一人で行かせられるかっての! あんたは少し慎みってもんを知りなさい!」
「じゃあ、あなたと一緒ならいいのよね? 行きましょ行きましょ! ほらほら早く早くぅ~!」
「私はついさっき行って来たばかりだっつーの!」
「いいじゃん別にぃ~!」
「それに今は寝てるから! また今度にしなさい! ゆっくり休ませてあげないと!」
「そっかぁ...じゃあ仕方ないねぇ...」
「フゥ...ようやく理解してくれたようで良かったわ...」
私はエリザベートの襟首を掴んでいた手を放そうと...
「じゃあせめて、お兄たまの寝顔だけでもコソッと...」
したのだが、
「だから止めれ! それと、どんどん幼児退行すな! なにがお兄たまだ!」
もう一度強く握り締めた。
「ぐぇぇっ! STOP! STOP! 締まってる! 締まってるからぁ! チョーク! チョークだからぁ!」
エリザベートが必死にタップして来たんで、仕方なく放してやることにした。全くもう...世話の焼ける...
◇◇◇
ややあって、やっとエリザベートが落ち着いて来たので、私はようやく腰を下ろした。
「それで?」
「ん? それとは?」
「コントやりに来た訳じゃないんでしょう? なんか用があって来たんじゃないの?」
「あ、忘れてた。テヘペロ♪」
「...言っとくけどそれ、全然可愛いくないからね? あざと過ぎんのよ」
「えぇ~...そんなぁ...」
「そういうのもういいから...さっさと本題に入ってよ...」
私は段々と疲れて来ていた。
22
お気に入りに追加
3,482
あなたにおすすめの小説
そんなに妹が好きなら死んであげます。
克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。
『思い詰めて毒を飲んだら周りが動き出しました』
フィアル公爵家の長女オードリーは、父や母、弟や妹に苛め抜かれていた。
それどころか婚約者であるはずのジェイムズ第一王子や国王王妃にも邪魔者扱いにされていた。
そもそもオードリーはフィアル公爵家の娘ではない。
イルフランド王国を救った大恩人、大賢者ルーパスの娘だ。
異世界に逃げた大魔王を追って勇者と共にこの世界を去った大賢者ルーパス。
何の音沙汰もない勇者達が死んだと思った王達は……

【完結】どうやら私は婚約破棄されるそうです。その前に舞台から消えたいと思います
りまり
恋愛
私の名前はアリスと言います。
伯爵家の娘ですが、今度妹ができるそうです。
母を亡くしてはや五年私も十歳になりましたし、いい加減お父様にもと思った時に後妻さんがいらっしゃったのです。
その方にも九歳になる娘がいるのですがとてもかわいいのです。
でもその方たちの名前を聞いた時ショックでした。
毎日見る夢に出てくる方だったのです。

真実の愛がどうなろうと関係ありません。
希猫 ゆうみ
恋愛
伯爵令息サディアスはメイドのリディと恋に落ちた。
婚約者であった伯爵令嬢フェルネは無残にも婚約を解消されてしまう。
「僕はリディと真実の愛を貫く。誰にも邪魔はさせない!」
サディアスの両親エヴァンズ伯爵夫妻は激怒し、息子を勘当、追放する。
それもそのはずで、フェルネは王家の血を引く名門貴族パートランド伯爵家の一人娘だった。
サディアスからの一方的な婚約解消は決して許されない裏切りだったのだ。
一ヶ月後、愛を信じないフェルネに新たな求婚者が現れる。
若きバラクロフ侯爵レジナルド。
「あら、あなたも真実の愛を実らせようって仰いますの?」
フェルネの曾祖母シャーリンとレジナルドの祖父アルフォンス卿には悲恋の歴史がある。
「子孫の我々が結婚しようと関係ない。聡明な妻が欲しいだけだ」
互いに塩対応だったはずが、気づくとクーデレ夫婦になっていたフェルネとレジナルド。
その頃、真実の愛を貫いたはずのサディアスは……
(予定より長くなってしまった為、完結に伴い短編→長編に変更しました)

【完結】私を捨てて駆け落ちしたあなたには、こちらからさようならを言いましょう。
やまぐちこはる
恋愛
パルティア・エンダライン侯爵令嬢はある日珍しく婿入り予定の婚約者から届いた手紙を読んで、彼が駆け落ちしたことを知った。相手は同じく侯爵令嬢で、そちらにも王家の血筋の婿入りする婚約者がいたが、貴族派閥を保つ政略結婚だったためにどうやっても婚約を解消できず、愛の逃避行と洒落こんだらしい。
落ち込むパルティアは、しばらく社交から離れたい療養地としても有名な別荘地へ避暑に向かう。静かな湖畔で傷を癒やしたいと、高級ホテルでひっそり寛いでいると同じ頃から同じように、人目を避けてぼんやり湖を眺める美しい青年に気がついた。
毎日涼しい湖畔で本を読みながら、チラリチラリと彼を盗み見ることが日課となったパルティアだが。
様子がおかしい青年に気づく。
ふらりと湖に近づくと、ポチャっと小さな水音を立てて入水し始めたのだ。
ドレスの裾をたくしあげ、パルティアも湖に駆け込んで彼を引き留めた。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
最終話まで予約投稿済です。
次はどんな話を書こうかなと思ったとき、駆け落ちした知人を思い出し、そんな話を書くことに致しました。
ある日突然、紙1枚で消えるのは本当にびっくりするのでやめてくださいという思いを込めて。
楽しんで頂けましたら、きっと彼らも喜ぶことと思います。

10年もあなたに尽くしたのに婚約破棄ですか?
水空 葵
恋愛
伯爵令嬢のソフィア・キーグレスは6歳の時から10年間、婚約者のケヴィン・パールレスに尽くしてきた。
けれど、その努力を裏切るかのように、彼の隣には公爵令嬢が寄り添うようになっていて、婚約破棄を提案されてしまう。
悪夢はそれで終わらなかった。
ケヴィンの隣にいた公爵令嬢から数々の嫌がらせをされるようになってしまう。
嵌められてしまった。
その事実に気付いたソフィアは身の安全のため、そして復讐のために行動を始めて……。
裏切られてしまった令嬢が幸せを掴むまでのお話。
※他サイト様でも公開中です。
2023/03/09 HOT2位になりました。ありがとうございます。
本編完結済み。番外編を不定期で更新中です。

婚約破棄ですか。ゲームみたいに上手くはいきませんよ?
ゆるり
恋愛
公爵令嬢スカーレットは婚約者を紹介された時に前世を思い出した。そして、この世界が前世での乙女ゲームの世界に似ていることに気付く。シナリオなんて気にせず生きていくことを決めたが、学園にヒロイン気取りの少女が入学してきたことで、スカーレットの運命が変わっていく。全6話予定
病弱を演じる妹に婚約者を奪われましたが、大嫌いだったので大助かりです
克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」「ノベルバ」に同時投稿しています。
『病弱を演じて私から全てを奪う妹よ、全て奪った後で梯子を外してあげます』
メイトランド公爵家の長女キャメロンはずっと不当な扱いを受け続けていた。天性の悪女である妹のブリトニーが病弱を演じて、両親や周りの者を味方につけて、姉キャメロンが受けるはずのモノを全て奪っていた。それはメイトランド公爵家のなかだけでなく、社交界でも同じような状況だった。生まれて直ぐにキャメロンはオーガスト第一王子と婚約していたが、ブリトニーがオーガスト第一王子を誘惑してキャメロンとの婚約を破棄させようとしたいた。だがキャメロンはその機会を捉えて復讐を断行した。

言いたいことはそれだけですか。では始めましょう
井藤 美樹
恋愛
常々、社交を苦手としていましたが、今回ばかりは仕方なく出席しておりましたの。婚約者と一緒にね。
その席で、突然始まった婚約破棄という名の茶番劇。
頭がお花畑の方々の発言が続きます。
すると、なぜが、私の名前が……
もちろん、火の粉はその場で消しましたよ。
ついでに、独立宣言もしちゃいました。
主人公、めちゃくちゃ口悪いです。
成り立てホヤホヤのミネリア王女殿下の溺愛&奮闘記。ちょっとだけ、冒険譚もあります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる