我が家の乗っ取りを企む婚約者とその幼馴染みに鉄槌を下します!

真理亜

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 次の日、エリザベートがウチに来てくれた。

「なんかやっぱり、あなたがここに居るとしっくり来るわね」

「そうかしら? あくまでも一時的なものよ?」

「それで? ロバートお兄様の具合はどうなの?」

「シレッとお兄様呼びすな!」

 全くもう! 油断も隙もない!

「だってぇ~」

「兄なら心配要らないわよ。過労が祟っただけだから。少し休めば元気になるわ」

「良かった~! 安心したわ~! それじゃあ私はこれで!」

「待てい! どこに行くつもりだ!?」

 私は、身を翻したエリザベートの襟首をむんずと掴んで止めた。

「ぐぇっ! く、苦ひぃ~! な、なにすんのよぅ~!」

「どこへ行くつもりかと聞いてる! 答えろ!」

「そ、そりゃあもちろん、愛するロバートお兄ちゃまのお見舞いに...」

「サラッと愛するとか言ってんじゃねぇ! それになんだその可愛らしい言い方は!? お前いつからお子ちゃまになった!?」

「別になんだっていいじゃないのよぅ~! いい加減離してよぉ~!」

「行かせて堪るか! 大人しくしろ!」

「なんでよぉ~!?」

「男の寝室に嫁入り前の娘を一人で行かせられるかっての! あんたは少し慎みってもんを知りなさい!」

「じゃあ、あなたと一緒ならいいのよね? 行きましょ行きましょ! ほらほら早く早くぅ~!」

「私はついさっき行って来たばかりだっつーの!」

「いいじゃん別にぃ~!」

「それに今は寝てるから! また今度にしなさい! ゆっくり休ませてあげないと!」

「そっかぁ...じゃあ仕方ないねぇ...」

「フゥ...ようやく理解してくれたようで良かったわ...」

 私はエリザベートの襟首を掴んでいた手を放そうと...

「じゃあせめて、お兄たまの寝顔だけでもコソッと...」

 したのだが、

「だから止めれ! それと、どんどん幼児退行すな! なにがお兄たまだ!」

 もう一度強く握り締めた。

「ぐぇぇっ! STOP! STOP! 締まってる! 締まってるからぁ! チョーク! チョークだからぁ!」

 エリザベートが必死にタップして来たんで、仕方なく放してやることにした。全くもう...世話の焼ける...


◇◇◇


 ややあって、やっとエリザベートが落ち着いて来たので、私はようやく腰を下ろした。

「それで?」

「ん? それとは?」

「コントやりに来た訳じゃないんでしょう? なんか用があって来たんじゃないの?」

「あ、忘れてた。テヘペロ♪」

「...言っとくけどそれ、全然可愛いくないからね? あざと過ぎんのよ」

「えぇ~...そんなぁ...」

「そういうのもういいから...さっさと本題に入ってよ...」

 私は段々と疲れて来ていた。
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