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175 (第三者視点7)
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『エリザベートお嬢様~!』
カイルとネオは大声でエリザベートに呼び掛け、両手を振り回してアピールした。
「あら!? カイルにネオじゃないの!? アンタらなんでこんなとこに居んのよ!?」
修羅モードだったエリザベートがちょっと落ち着いて馬を止めた。
「なんでもなにもお嬢様が指示したんじゃありませんか...」
「お忘れですか...」
二人は冷めた目でエリザベートを見上げた。
「あぁ、そう言えばそうだったわね。怒りで我を忘れてたわ」
エリザベートはケロッとそう言い放った。
「いや、そこは忘れないで下さいよ...」
「そんなことよりバカ兄は? アランはどうなったの?」
「こちらです。ご案内しますよ。ちなみにお嬢様はどうやってこの場所をお知りになったんです?」
「親切な人が居てね。優しくお願いしたら教えてくれたのよ。しかも馬まで貸してくれたわ。まだまだ世間も捨てたもんじゃないわよね」
エリザベートはシレッとそう言い切った。
「ハァ...そうなんですか...」
「良かったですね...」
二人は色々と諦めた。
◇◇◇
「アラン! あぁ、なんて酷い! 痛かったでしょう? もう大丈夫よ!」
エリザベートはアジトの中て踞っているアランに駆け寄り、その有り様を見て顔を歪めた。
「あぁ、エリザベート嬢も助けに来てくれたんだ...ありがと...」
「当然よ! あぁ、本当にゴメンなさいね...ウチのバカ兄のせいでこんな酷い目に遭って...」
「まぁね、でもちゃんと100倍返ししたからさ」
そう言ってアランは、未だに白目を剥いて気絶しているクリフトファーを見やった。
「アハハ、良い気味ね。ザマアミロだわ。カイル! ネオ! このバカ兄をふん縛ってウチの屋敷に連れて行きなさい! 地下牢に閉じ込めて二度と出られないようにするのよ!」
『ラジャー!』
指示されたカイルとネオは、クリフトファーを雁字搦めに縛り上げ、エッチラオッチラと運んで行った。エリザベートはその姿を見送りながら、
「聞いての通りよ、アラン。あのバカ兄はもう一生涯表に出ることは無いから安心して。これで許して貰えるとは思ってないけど、取り敢えずは溜飲を下げてくれると助かるわ」
「あぁ、それで構わないよ」
「ありがとう。正式なお詫びは後日改めてさせて貰うとして、まずはアンリエットを安心させてあげることにしましょうか。立てる?」
「あぁ、大丈夫だ」
エリザベートに支えて貰いながらだが、なんとか立ち上がったアランは、
「帰ろう。お嬢の元へ」
そう言ってニッコリと微笑んだ。
カイルとネオは大声でエリザベートに呼び掛け、両手を振り回してアピールした。
「あら!? カイルにネオじゃないの!? アンタらなんでこんなとこに居んのよ!?」
修羅モードだったエリザベートがちょっと落ち着いて馬を止めた。
「なんでもなにもお嬢様が指示したんじゃありませんか...」
「お忘れですか...」
二人は冷めた目でエリザベートを見上げた。
「あぁ、そう言えばそうだったわね。怒りで我を忘れてたわ」
エリザベートはケロッとそう言い放った。
「いや、そこは忘れないで下さいよ...」
「そんなことよりバカ兄は? アランはどうなったの?」
「こちらです。ご案内しますよ。ちなみにお嬢様はどうやってこの場所をお知りになったんです?」
「親切な人が居てね。優しくお願いしたら教えてくれたのよ。しかも馬まで貸してくれたわ。まだまだ世間も捨てたもんじゃないわよね」
エリザベートはシレッとそう言い切った。
「ハァ...そうなんですか...」
「良かったですね...」
二人は色々と諦めた。
◇◇◇
「アラン! あぁ、なんて酷い! 痛かったでしょう? もう大丈夫よ!」
エリザベートはアジトの中て踞っているアランに駆け寄り、その有り様を見て顔を歪めた。
「あぁ、エリザベート嬢も助けに来てくれたんだ...ありがと...」
「当然よ! あぁ、本当にゴメンなさいね...ウチのバカ兄のせいでこんな酷い目に遭って...」
「まぁね、でもちゃんと100倍返ししたからさ」
そう言ってアランは、未だに白目を剥いて気絶しているクリフトファーを見やった。
「アハハ、良い気味ね。ザマアミロだわ。カイル! ネオ! このバカ兄をふん縛ってウチの屋敷に連れて行きなさい! 地下牢に閉じ込めて二度と出られないようにするのよ!」
『ラジャー!』
指示されたカイルとネオは、クリフトファーを雁字搦めに縛り上げ、エッチラオッチラと運んで行った。エリザベートはその姿を見送りながら、
「聞いての通りよ、アラン。あのバカ兄はもう一生涯表に出ることは無いから安心して。これで許して貰えるとは思ってないけど、取り敢えずは溜飲を下げてくれると助かるわ」
「あぁ、それで構わないよ」
「ありがとう。正式なお詫びは後日改めてさせて貰うとして、まずはアンリエットを安心させてあげることにしましょうか。立てる?」
「あぁ、大丈夫だ」
エリザベートに支えて貰いながらだが、なんとか立ち上がったアランは、
「帰ろう。お嬢の元へ」
そう言ってニッコリと微笑んだ。
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