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「お嬢様、お客様です」
私が悩んでいるところにメイドが来客を告げに来た。
「お客? 誰?」
「ランカスター公爵家の方だとおっしゃっておられます」
「えっ!? ウチ!?」
エリザベートが素っ頓狂な声を上げる。
「その様子じゃエリザベートが呼んだ訳じゃ無さそうね?」
「えぇ、誰も呼んで無いわ」
「じゃあ一体なんなのかしらね。取り敢えず通して頂戴」
私はメイドにそう命じた。
「畏まりました」
メイドが部屋を出て行こうとした時だった。いきなり外からドアが開いた。
「キャアッ!」
メイドが驚いて悲鳴を上げる。
「あぁ、驚かせしまってすいません! 急いでいるもので!」
部屋に入って来たのは見覚えのある男だった。先日の一件でエリザベートが連れて来た、公爵家お抱え隠密衆三人の内の一人だ。
「あら? カイルじゃない? そんなに慌ててどうしたのよ?」
エリザベートが男に声を掛けた。名前初めて知ったよ。カイルって言うんだ。
「大変です、お嬢様! 兄君が、クリフトファー様が精神病院から脱走したそうです!」
「な、なんですってぇ!? それは確かなの!?」
「はい、確認を取りました。間違いありません」
クリフトファー様、脱走するほど精神的に追い詰められてたんだ...なんだか少し同情しちゃうな...
「なんてこと...病院の連中はなにやってたのよ...それで? 脱走したのはいつのことなの?」
「一昨日とのことです」
「なるほどね...まずは自分達で探して見付られれば脱走をなかったことにしようと思ったけど、見付けられなかったから仕方なく公表したってとこかしらね...」
「えぇ、そう思います。脱走騒ぎなんて起こした日にゃ評判ガタ落ちになりますからね。なんとか揉み消そうとしたんでしょうが上手くいかなかったんでしょう」
「ハァ...全くもう...どいつもこいつも...バカ兄もそうだけど病院の連中もロクなヤツらじゃないわね...寄付金返して貰おうかしら...まぁそれは後でやるとして、バカ兄の足取りはどう? 掴めてるの?」
「えぇ、まぁ...」
そこでカイルは言葉を切って言い辛そうに私の方を見た。
「あぁ、なるほどね...皆まで言わなくても分かったわ...だからアンタが慌ててやって来たっていう訳ね? バカ兄はアンリエットの元に、つまりここに向かったってことなんでしょう?」
「おっしゃっる通りでございます...」
「ハァ...なんて執念深い...まだアンリエットのことを諦めてないのね...」
前言撤回! 同情する余地なんてどこにもなかったよ...
私が悩んでいるところにメイドが来客を告げに来た。
「お客? 誰?」
「ランカスター公爵家の方だとおっしゃっておられます」
「えっ!? ウチ!?」
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「えぇ、誰も呼んで無いわ」
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「畏まりました」
メイドが部屋を出て行こうとした時だった。いきなり外からドアが開いた。
「キャアッ!」
メイドが驚いて悲鳴を上げる。
「あぁ、驚かせしまってすいません! 急いでいるもので!」
部屋に入って来たのは見覚えのある男だった。先日の一件でエリザベートが連れて来た、公爵家お抱え隠密衆三人の内の一人だ。
「あら? カイルじゃない? そんなに慌ててどうしたのよ?」
エリザベートが男に声を掛けた。名前初めて知ったよ。カイルって言うんだ。
「大変です、お嬢様! 兄君が、クリフトファー様が精神病院から脱走したそうです!」
「な、なんですってぇ!? それは確かなの!?」
「はい、確認を取りました。間違いありません」
クリフトファー様、脱走するほど精神的に追い詰められてたんだ...なんだか少し同情しちゃうな...
「なんてこと...病院の連中はなにやってたのよ...それで? 脱走したのはいつのことなの?」
「一昨日とのことです」
「なるほどね...まずは自分達で探して見付られれば脱走をなかったことにしようと思ったけど、見付けられなかったから仕方なく公表したってとこかしらね...」
「えぇ、そう思います。脱走騒ぎなんて起こした日にゃ評判ガタ落ちになりますからね。なんとか揉み消そうとしたんでしょうが上手くいかなかったんでしょう」
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「えぇ、まぁ...」
そこでカイルは言葉を切って言い辛そうに私の方を見た。
「あぁ、なるほどね...皆まで言わなくても分かったわ...だからアンタが慌ててやって来たっていう訳ね? バカ兄はアンリエットの元に、つまりここに向かったってことなんでしょう?」
「おっしゃっる通りでございます...」
「ハァ...なんて執念深い...まだアンリエットのことを諦めてないのね...」
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