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 その後、なんの進展も無いまま三日が過ぎた。

 ハンスには引き続きヘンダーソン子爵家の...いやもうヘンダーソンという名前の子爵家は無いんだった...要は元子爵家の顛末を探って貰っている。

 アランも引き続きパトリックの行方を捜索しているが、やはり足取りは掴めないようだ。隣国に渡ったのは確実と思われる。

 ウィリアムの乗った船もまだ戻って来ていないそうで、今の所は他に打つべく手もない手詰まり状態だ。

 更にもう一つ厄介な件がある。仕事の合間を縫ってマックスの様子を何度も見に行っていたら、完全にマックスに懐かれてしまったことだ。

 これは困った...そりゃ可哀想な境遇だからと甘やかした私も悪いが、可愛いものは可愛いんだから仕方ない! 可愛いは正義なんだよ!

 そんな言い訳をしながら思いっきり可愛がっていたら、私の顔を見るなり「ママ~!」と言って抱き付いて来るようになってしまった。 

 これはマズい! ますます可愛いさが爆上がりして...って、そうじゃない! そうじゃない! こんなに懐かれてしまったら別れが辛くなるじゃんか!

 そうは思いながら今日もまた「はいはい~♪ ママでちゅよ~♪ 良い子にちてまちたか~♪」とやらかしてしまった...

 私のアホ~!


◇◇◇


「ブッヒャッヒャッヒャッ! アンリエット~♪ その姿最高よ~♪ 未婚の母の鏡~♪ ブッヒャッヒャッヒャッ!」

「やっかましい! エリザベート、アンタなにしに来たのよ!」

 そんな親バカ? 満載の姿をよりによってエリザベートに見られてしまった。というかコイツ、なんでウチに居るんだ!?

「いやぁ、バカ兄のその後の報告とお詫びを兼ねて来てみたらさぁ、こんな面白いものを見れるなんてさぁ♪ ホント人生って退屈しないわよねぇ♪」

「あぁ、そういうこと...だったらさっさと報告してとっとと帰ってちょうだいな...今の私はアンタに感けている余裕なんかないんだから...」

「まぁまぁまぁまぁ、そんな水臭いこと言わずにさぁ♪ なにがどうなってこんな面白シチュエーションになったのか聞かせてよぉ♪」

「ハァ...仕方ないわね...」

 コイツの好奇心を満たすためだけに話すのは非常に癪に障るんだが、話さないとコイツはいつまでも帰りそうにない。

 仕方なく私は、事の次第を掻い摘んで説明することにした。

「なるほどねぇ。そんな面白いことになっていたとはねぇ」

「アンタね...こっちはちっとも面白く無いっての...」

 同じ立場に立っても同じことが言えるのかと、私は声を大にして言いたい。

 
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