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 アランを送り出した後、私はマックスをあやしてくれているベビーシッターの元へと向かった。

 ちなみにこのベビーシッターは、子育てを終えたベテランの女性である。

「ご苦労様。どんな様子?」

 どうやらマックスは眠ってるようなんで囁くような声で尋ねる。

「はい。お腹を空かせていたみたいで、幼児食を与えたら満足したかのように眠りました」

「そう。あ、着替えさせてくれたのね? ありがとう」

「いえいえ、ウチの子の小さい時の服が合って良かったです」

「その...聞き難いんだけど...虐待された後とか無かった?」

「いえ、特には。先程お話しました通り、ちょっと栄養失調気味であることを除けば健康面の問題は無さそうに見えますね」

「そう、良かったわ...いえ、良くないわね...子供にちゃんとした食事を与えないのは立派な虐待だもの...」

「そうですね...」

「お金はいくら掛かっても構わないわ。この子が満足するような食事を与えて貰える? ウチの料理長にそう言っておくから、遠慮しないでガンガン注文してちょうだい?」

「分かりました」

「それと追加料金を払うから、今日は泊まって行ってくれないかしら? お家に連絡が必要ならすぐ手配するから」

「構いませんよ。元よりそのつもりでしたし。家族にも予めそう言ってありますからご安心を」

「恩に着るわ。ありがとう」


◇◇◇


「ただいま...」

 夜になって疲れ切った様子のアランが戻って来た。

「お帰り。その様子じゃ収穫無しみたいね?」

「お察しの通り...あの野郎、どこに雲隠れしやがったんだか...足取りが全く掴めなくてね...参ったよ...」

「そうなのね...」

「町の情報屋にも当たってみたんだけど、これといった情報は無し...まぁ、引き続き調査するよう頼んでおいて来たけどね...」

「なにか出るといいわね...」

「あぁそれと、大した情報じゃないけど野郎が例の娼館を選んだ理由は分かったよ」 

「どういうこと?」

「もう一度娼婦に聞いてみたんだけどさ。野郎の容姿と名前を伝えたところ、以前何度か相手をしたことのある客だって言ってた」

「あぁ、それで店の名前と女の子の名前をスラスラ言えた訳ね?」

「そういうこと。まぁ、それが分かったところでどうなるってもんでも無いけどね...」

「確かに...」

 行き当たりばったりの行動に見えて、実はちゃんと計画的だったってことが分かったぐらいだもんね。

「ハンスのおやっさんはまだ?」

「えぇ、戻ってないわ。明日になるかもね」

「そうなんだ...」

「アラン、もう遅いし今日の所はこれまでにして、アンタは少し休みなさい」

「分かった...そうさせて貰うよ...」
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