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「ほらね? 言った通りになったっしょ? 俺のこういう勘って良く当たるんだよね~」

 エリザベートを客間で休ませた後、私は自室に戻ってアランと二人っきりになってる訳だが、得意気な顔してるコイツの表情がなんかムカつく。

「そんなん当たったってちっとも嬉しくないっつーの...」

「ハハハ、確かにそうだね~」

「他人事みたいに笑ってんじゃないわよ...」

「だって他所の家のことだし~」

「そりゃ確かにそうなんだけど...ウチも無関係って訳じゃないんだから...」

「お嬢が気に病むようなことじゃないっしょ? あくまでも公爵家内部の問題なんだからさぁ~」

「そうは言ってもさぁ...あんな疲れきった様子のエリザベート見てらんないわよ...」

 ついにぶっ倒れちゃったもんね...

「あぁ、確かに。ちょっと気の毒ではあるかな。エリザベート嬢はいつでも元気溌剌ってイメージあったから」

「でしょう? なんとか力になってやりたいわ。ねぇ、アラン。逃亡者の潜伏先とかで思い当たるような場所、あんたならなんとなく分かったりしない?」

「なんで俺に聞くのさ?」

「だってあんた、昔は小悪党だったじゃないの?」

 初対面の私を誘惑しようとしたし。間違いなく私の金目当てで。

「そりゃ酷ぇな、お嬢」

「違うっての?」

「まぁ、否定はしないけどさ...」

 認めちゃったよ。

「あんただったらどこに隠れる?」

「う~ん...そうだなぁ...定番なのは娼館に籠るとかかなぁ~」

「娼館に?」

 意外だった私は思わず聞き返していた。

「そうそう。ほら、ああいう場所ってさ、口が堅い店じゃないと安心して遊べないじゃん?」

「あぁ、確かに...客の情報をペラペラと漏らすような店は信用ならないってことよね?」

 言われてみりゃ確かにそうだわな。そういう所に通う人はどこか後ろ暗いものを抱えてたりするんだろうから。妻や恋人が居る人なら尚更ね。

「そういうこと。幾らか金を握らせて籠ってることを内緒にしておけって言えば、上手いこと匿ってくれるんじゃないかな?」

「なるほど...あるかも知れないわね...」

「でも、これはあくまで小悪党だった頃の俺の意見だからね? お坊っちゃんの考えてることなんて分からないよ? あいつの思考回路ってなんかぶっ飛んでそうだし...」

 確かにそうだ...ウチに突然やって来たクリフトファー様の様子は明らかに尋常じゃなかった。その後に始まった赤いバラの花束攻撃また然り。

「そうね...参考程度として聞いておくことにするわ...」
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