我が家の乗っ取りを企む婚約者とその幼馴染みに鉄槌を下します!

真理亜

文字の大きさ
上 下
108 / 276

108

しおりを挟む
「こ、これは...う、ウソだろ!?」

 報告書を読んだパトリックが顔面蒼白となる。

「ウソな訳ないでしょうが。そもそも、マーガレットって女の名前どっかで聞いた覚えがあるなって思い返してたら、ウィリアムが連れていた女だったのよね。兄弟で同じ女を共有するって、アンタ達本当は仲良しなんじゃないの?」 

 もちろん皮肉を込めてそう言ってやった。

「そ、そんな...」

 パトリックが膝から崩れ落ちた。

「その他にも何人もの男と付き合ってるみたいね。お盛んだこと。ねぇ、パトリック。子供が居るって言ってたけど、その子本当にアンタの子なの?」

「そ、それは...マーガレットがそう言ってたし...避妊具を付けないのは俺だけだって...そ、それに髪の色も瞳の色も俺と同じ黒だし...」

「そんなの、ウィリアムだって同じじゃないのよ?」

 アホかコイツは。

「た、確かに...」

 今頃気付くなよ。

「ウィリアムに確かめてみることね。どうせそのマーガレットって女に聞いても惚けるだけだろうし」

「当分は無理だ...ヤツはもう海の上だから...」

「あぁ、結局はマグロの遠洋漁業船に乗せることにしたのね?」

「そうだ...こんなことなら鉱山労働の方にすれば良かった...」

「そういう問題じゃないと思うけど...」

 私は思わずそうツッコミを入れていた。

「なんてことだ...」

 ついにパトリックは膝を抱えて落ち込んでしまった。

「兄弟揃ってタチの悪い女に引っ掛かったものね。どっちが先に引っ掛かけられたか知んないけど、ウィリアムの方が先だったらアイツのことだからペラペラとアンタのことまで喋ったんじゃない? そんでこれは良いカモになりそうだと当たりを付けられた。こんなとこなんじゃないの?」

「ウィリアムの野郎...なんてことを...」

「いやいや、これはあくまで私の想像だし。そもそもそんな女にコロッと引っ掛かったアンタが悪い」

 ウィリアムに八つ当たりしてどうなるよ?

「た、確かに...そう言われると一言もない...」

「とにかく、私からは以上よ。後はどうするか、アンタが自分で決めなさい。子供のこともあるんだから慎重にやりなさいよ?」

「分かった...アンリエット...その...色々と済まなかった...それと...ありがとう...」

 私は、力無く項垂れながら帰るパトリックの後ろ姿を見送りながら、すっかり冷めてしまったお茶を一口グイッと飲んだ。さすがにちょっと疲れた。

「お嬢、男前~ 惚れちゃう~」

「はいはい...」

 茶化すアランにツッコム気力もなかった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】旦那様、その真実の愛とお幸せに

おのまとぺ
恋愛
「真実の愛を見つけてしまった。申し訳ないが、君とは離縁したい」 結婚三年目の祝いの席で、遅れて現れた夫アントンが放った第一声。レミリアは驚きつつも笑顔を作って夫を見上げる。 「承知いたしました、旦那様。その恋全力で応援します」 「え?」 驚愕するアントンをそのままに、レミリアは宣言通りに片想いのサポートのような真似を始める。呆然とする者、訝しむ者に見守られ、迫りつつある別れの日を二人はどういった形で迎えるのか。 ◇真実の愛に目覚めた夫を支える妻の話 ◇元サヤではありません ◇全56話完結予定

さよなら、皆さん。今宵、私はここを出ていきます

結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
【復讐の為、今夜私は偽の家族と婚約者に別れを告げる―】 私は伯爵令嬢フィーネ・アドラー。優しい両親と18歳になったら結婚する予定の婚約者がいた。しかし、幸せな生活は両親の突然の死により、もろくも崩れ去る。私の後見人になると言って城に上がり込んできた叔父夫婦とその娘。私は彼らによって全てを奪われてしまった。愛する婚約者までも。 もうこれ以上は限界だった。復讐する為、私は今夜皆に別れを告げる決意をした―。 ※マークは残酷シーン有り ※(他サイトでも投稿中)

側近という名の愛人はいりません。というか、そんな婚約者もいりません。

gacchi
恋愛
十歳の時にお見合いで婚約することになった侯爵家のディアナとエラルド。一人娘のディアナのところにエラルドが婿入りする予定となっていたが、エラルドは領主になるための勉強は嫌だと逃げ出してしまった。仕方なく、ディアナが女侯爵となることに。五年後、学園で久しぶりに再会したエラルドは、幼馴染の令嬢三人を連れていた。あまりの距離の近さに友人らしい付き合い方をお願いするが、一向に直す気配はない。卒業する学年になって、いい加減にしてほしいと注意したディアナに、エラルドは令嬢三人を連れて婿入りする気だと言った。

【完結】幼い頃から婚約を誓っていた伯爵に婚約破棄されましたが、数年後に驚くべき事実が発覚したので会いに行こうと思います

菊池 快晴
恋愛
令嬢メアリーは、幼い頃から将来を誓い合ったゼイン伯爵に婚約破棄される。 その隣には見知らぬ女性が立っていた。 二人は傍から見ても仲睦まじいカップルだった。 両家の挨拶を終えて、幸せな結婚前パーティで、その出来事は起こった。 メアリーは彼との出会いを思い返しながら打ちひしがれる。 数年後、心の傷がようやく癒えた頃、メアリーの前に、謎の女性が現れる。 彼女の口から発せられた言葉は、ゼインのとんでもない事実だった――。 ※ハッピーエンド&純愛 他サイトでも掲載しております。

言いたいことはそれだけですか。では始めましょう

井藤 美樹
恋愛
常々、社交を苦手としていましたが、今回ばかりは仕方なく出席しておりましたの。婚約者と一緒にね。 その席で、突然始まった婚約破棄という名の茶番劇。 頭がお花畑の方々の発言が続きます。 すると、なぜが、私の名前が…… もちろん、火の粉はその場で消しましたよ。 ついでに、独立宣言もしちゃいました。 主人公、めちゃくちゃ口悪いです。 成り立てホヤホヤのミネリア王女殿下の溺愛&奮闘記。ちょっとだけ、冒険譚もあります。

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

将来を誓い合った王子様は聖女と結ばれるそうです

きぬがやあきら
恋愛
「聖女になれなかったなりそこない。こんなところまで追って来るとはな。そんなに俺を忘れられないなら、一度くらい抱いてやろうか?」 5歳のオリヴィエは、神殿で出会ったアルディアの皇太子、ルーカスと恋に落ちた。アルディア王国では、皇太子が代々聖女を妻に迎える慣わしだ。しかし、13歳の選別式を迎えたオリヴィエは、聖女を落選してしまった。 その上盲目の知恵者オルガノに、若くして命を落とすと予言されたオリヴィエは、せめてルーカスの傍にいたいと、ルーカスが団長を務める聖騎士への道へと足を踏み入れる。しかし、やっとの思いで再開したルーカスは、昔の約束を忘れてしまったのではと錯覚するほど冷たい対応で――?

悪役断罪?そもそも何かしましたか?

SHIN
恋愛
明日から王城に最終王妃教育のために登城する、懇談会パーティーに参加中の私の目の前では多人数の男性に囲まれてちやほやされている少女がいた。 男性はたしか婚約者がいたり妻がいたりするのだけど、良いのかしら。 あら、あそこに居ますのは第二王子では、ないですか。 えっ、婚約破棄?別に構いませんが、怒られますよ。 勘違い王子と企み少女に巻き込まれたある少女の話し。

処理中です...