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「ホントのことじゃん?」

「ウィリアムはともかく、パトリックはダメ男とは言えないでしょう?」

「いやいや、兄弟だけあって同じ匂いを感じたよ? お嬢は感じなかった?」

「えっ!? そうなの!? 全く感じなかった...でもアランが言うなら間違いないってことなのね?」

 私はビックリして問い返していた。信じたくはないが、あのパトリックの曝け出した身の上話の全てがウソだと言うことなんだろうか?

「あぁ、そうだよ。そのことに気付かないなんて、お嬢もまだまだ若いね甘いね。いきなりプロポーズなんかされたもんだから絆されちゃった?」

「五月蝿いわよ...」

 クソッ! 図星なだけになにも言えやしない...でもしょうがないじゃんか! 久し振りに会った初恋の相手にいきなりプロポーズされてみ? そりゃ絆されるっつ~の! 誰だってそうなるっつ~の!

 だけどそういう所がアランの言う若さや甘さなんだろうか...

「そう言うならアラン、ちょっとパトリックのことを調べてくれる?」

「はいよ~ アランにお任せ~」

 ちょうどハンスが戻って来たので、アランとの話はそこまでになった。


◇◇◇


 その翌日のことだった。今日ハンスはお休みを取っている。

「お嬢、招かれざる客が来てるけど。どうする?」

「誰よそれ?」

「ウィリアム」

「マジで?」

「マジで」

「なにしに来たのかしら...」

「さあね。お嬢に金でも集りに来たんじゃないの?」

「有り得るわね...」

「どうする? 追い返す?」

 私はちょっと考えてから、

「いいえ、会うことにするわ。本当は顔も見たくないけど、昨日のパトリックの話の裏も取りたいしね」

「分かった」

「アラン、あんたも同席して頂戴」

「了解~」


◇◇◇


「やぁ、アンリエット。この間振り」

「ウィリアム...その顔どうしたの?」

 ウィリアムの顔は頬が腫れ上がっていた。

「あ、あぁ、これ? 大したことないよ。ちょっとしたいざこざに巻き込まれちゃってね...」

「そうなの...大変だったわね...」

 そう言えばパトリックが言ってたな。ウィリアムを殴り飛ばしてから来たって。相当殴られたみたいだな。自業自得なんで同情する気も起こらんが。

「それでさ、今日はアンリエットに話があって来たんだ。実は」

「ちょっと待ってウィリアム。昨日、パトリックがウチに来たってことは知ってる?」

 私はウィリアムの話を遮って問い掛けた。

「なんだって!? 兄貴がここに!? 一体なにをしに!?」

 そこで私はパトリックから聞いた話を全てウィリアムに話して聞かせた。もちろんプロポーズの部分は省いてある。

 ウィリアムの反応を見れば、パトリックの話の真偽がハッキリすると思ったからだ。
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