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玄関には久し振りに見るギルバートの姿があった。
ちょっと見ない間にかなり痩せたようだ。どこでどうしているのか知らないが、今まで貴族としてのほほんと生きて来た身としては辛いものがあるのだろう。
完全なる自業自得であるから同情の余地はないが、見るからに安物の薄汚れた衣服を身に纏った姿を見ると、やはりちょっとは同情を禁じ得ない。
「久し振りね、ギルバート。っていうかどの面下げて来たのかしら?」
「や、やぁ、アンリエット...久し振り...急にお邪魔して済まない...」
「それで? 何の用よ?」
「じ、実はその...お、お金を貸して欲しくて...」
「ハァ...」
私は大きなため息を一つ吐いて、
「そんなことだろうと思ったわよ...あんたが私を頼るなんてそれしかないもんね...一応聞くけど何に使う金よ?」
「えっとその...キャロラインを助けたくて...」
「キャロラインを?」
「あぁ、キャロラインはその...実家から金で娼館に売られたんだ...だから買い戻してあげたくて...」
「幾ら?」
「よ、四百万...」
「ちょっとふざけんじゃないわよ!」
そこで私の代わりに怒り出したのはエリザベートだった。
「あんな尻の軽い女のためになんでアンリエットが金を出さなきゃなんないのよ! 冗談じゃないわよ! 金で売られた? 当然じゃないの! それだけのことを仕出かしたんだから! 天罰よ天罰! それに尻軽女にとっちゃ娼婦なんて寧ろ天職じゃないの! ずっと男の前で股開いてるのがお似合いよ!」
「そ、そんなぁ...頼むよ...助けてくれ...」
私はエリザベートがギルバートをやり込めているのを尻目に、客間へと戻ってさっきエリザベートが持って来たモリシャン侯爵家からの慰謝料が入った袋を手に、未だエリザベートがギャアギャア騒いでいる玄関に戻った。
「ほら、これ持ってとっとと帰れ!」
私は袋の中から百万の札束を五つ取り出し、ギルバートに向かって投げ付けた。百万多いのはせめてもの情けだ。
「アンリエット! ありがとう!」
「アンリエット! いいの!?」
「いいのよ。手切れ金と思えば安いもんだわ」
「ありがとう! ありがとう! 時間掛かるかも知れないけど、借りた金は必ず返すから!」
「返さんでいい! その代わり二度と面見せんな!」
「いいのかい!? 本当にありがとう! 恩に着るよ!...ところでアンリエット、その頬の絆創膏はどうしたんだい?」
「いや今更かよ! あんたにゃ関係ない! いいからさっさと帰れ!」
ちょっと見ない間にかなり痩せたようだ。どこでどうしているのか知らないが、今まで貴族としてのほほんと生きて来た身としては辛いものがあるのだろう。
完全なる自業自得であるから同情の余地はないが、見るからに安物の薄汚れた衣服を身に纏った姿を見ると、やはりちょっとは同情を禁じ得ない。
「久し振りね、ギルバート。っていうかどの面下げて来たのかしら?」
「や、やぁ、アンリエット...久し振り...急にお邪魔して済まない...」
「それで? 何の用よ?」
「じ、実はその...お、お金を貸して欲しくて...」
「ハァ...」
私は大きなため息を一つ吐いて、
「そんなことだろうと思ったわよ...あんたが私を頼るなんてそれしかないもんね...一応聞くけど何に使う金よ?」
「えっとその...キャロラインを助けたくて...」
「キャロラインを?」
「あぁ、キャロラインはその...実家から金で娼館に売られたんだ...だから買い戻してあげたくて...」
「幾ら?」
「よ、四百万...」
「ちょっとふざけんじゃないわよ!」
そこで私の代わりに怒り出したのはエリザベートだった。
「あんな尻の軽い女のためになんでアンリエットが金を出さなきゃなんないのよ! 冗談じゃないわよ! 金で売られた? 当然じゃないの! それだけのことを仕出かしたんだから! 天罰よ天罰! それに尻軽女にとっちゃ娼婦なんて寧ろ天職じゃないの! ずっと男の前で股開いてるのがお似合いよ!」
「そ、そんなぁ...頼むよ...助けてくれ...」
私はエリザベートがギルバートをやり込めているのを尻目に、客間へと戻ってさっきエリザベートが持って来たモリシャン侯爵家からの慰謝料が入った袋を手に、未だエリザベートがギャアギャア騒いでいる玄関に戻った。
「ほら、これ持ってとっとと帰れ!」
私は袋の中から百万の札束を五つ取り出し、ギルバートに向かって投げ付けた。百万多いのはせめてもの情けだ。
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「返さんでいい! その代わり二度と面見せんな!」
「いいのかい!? 本当にありがとう! 恩に着るよ!...ところでアンリエット、その頬の絆創膏はどうしたんだい?」
「いや今更かよ! あんたにゃ関係ない! いいからさっさと帰れ!」
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