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70 (第三者視点11)
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「エリザベート嬢、良く来てくれた。アンリエットの兄ロバートだ」
「初めまして。そして大変申し訳ございませんでした...ウチの兄のせいでアンリエットが大変な目に...」
エリザベートは唇を噛んだ。
「エリザベート嬢が謝ることではないよ。さぁ、アンリエットに会ってやってくれ」
寝室に案内されると、アンリエット付きの侍女サンドラが甲斐甲斐しく看護していた。変わり果てた様子のアンリエットを見てエリザベートは絶句する。
「あぁ、アンリエット...なんてことなの...可哀想に...」
顔色はまだ少し青白いが寝顔は穏やかだ。サンドラがキレイに拭いてくれたお陰で、頭の部分の出血痕はほとんど目立たなくなっている。だが頬に貼られた大きな絆創膏は、アンリエットに暗い影を落としている。それを見たエリザベートは顔を顰めた。
「こ、この傷は...」
「医者の話では痕が残るだろうとのことだ...」
「そ、そんな...」
エリザベートは涙を流しながらアンリエットの手を握った。
「ううん...」
その時、アンリエットが薄らと目を開けた。
「アンリエットッ! 気が付いたのね!」
「あ...れ...!? エリザベート!?...なんで!?...ここはどこ!? 私どうなってるの!?」
どうやら記憶が混濁しているらしい。起き上がろうとするアンリエットを、ロバートが優しく窘める。
「アンリ、まだ頭を動かしてはいけない。もう少し寝てなさい。セバスチャン、医者を呼んでくれ。アンリエットが目を覚ましたと」
「畏まりました」
部屋を出て行くセバスチャンをボーッと見送りながらアンリエットは、
「えっ!? 兄さん!? ここってもしかして兄さんの部屋!?」
少しずつ覚醒して来たアンリエットは、段々と状況を把握して来た。
「あぁ、そうだ。覚えてないか?」
「私...スカーレットに頭を殴られて気を失って...それから...後ろ手にロープで縛られて...自殺に見せ掛けて殺されそうになって...抵抗したらまた殴られて...ふざけんなって思って体当たりしたのよ...でも床に組み伏せられて首を絞められたわ...覚えてるのはそこまでよ...」
アンリエットはゆっくりと噛み締めるようにポツリポツリと語り出した。そして徐に頬に手を当てた。そして息を呑む。
「アンリエット...」
エリザベートが泣きながらすがり付く。
「エリザベート、手鏡を見せて頂戴」
エリザベートはイヤイヤと首を振る。
「大丈夫。覚悟は出来てるから...」
アンリエットは寂しそうに微笑んだ。
「初めまして。そして大変申し訳ございませんでした...ウチの兄のせいでアンリエットが大変な目に...」
エリザベートは唇を噛んだ。
「エリザベート嬢が謝ることではないよ。さぁ、アンリエットに会ってやってくれ」
寝室に案内されると、アンリエット付きの侍女サンドラが甲斐甲斐しく看護していた。変わり果てた様子のアンリエットを見てエリザベートは絶句する。
「あぁ、アンリエット...なんてことなの...可哀想に...」
顔色はまだ少し青白いが寝顔は穏やかだ。サンドラがキレイに拭いてくれたお陰で、頭の部分の出血痕はほとんど目立たなくなっている。だが頬に貼られた大きな絆創膏は、アンリエットに暗い影を落としている。それを見たエリザベートは顔を顰めた。
「こ、この傷は...」
「医者の話では痕が残るだろうとのことだ...」
「そ、そんな...」
エリザベートは涙を流しながらアンリエットの手を握った。
「ううん...」
その時、アンリエットが薄らと目を開けた。
「アンリエットッ! 気が付いたのね!」
「あ...れ...!? エリザベート!?...なんで!?...ここはどこ!? 私どうなってるの!?」
どうやら記憶が混濁しているらしい。起き上がろうとするアンリエットを、ロバートが優しく窘める。
「アンリ、まだ頭を動かしてはいけない。もう少し寝てなさい。セバスチャン、医者を呼んでくれ。アンリエットが目を覚ましたと」
「畏まりました」
部屋を出て行くセバスチャンをボーッと見送りながらアンリエットは、
「えっ!? 兄さん!? ここってもしかして兄さんの部屋!?」
少しずつ覚醒して来たアンリエットは、段々と状況を把握して来た。
「あぁ、そうだ。覚えてないか?」
「私...スカーレットに頭を殴られて気を失って...それから...後ろ手にロープで縛られて...自殺に見せ掛けて殺されそうになって...抵抗したらまた殴られて...ふざけんなって思って体当たりしたのよ...でも床に組み伏せられて首を絞められたわ...覚えてるのはそこまでよ...」
アンリエットはゆっくりと噛み締めるようにポツリポツリと語り出した。そして徐に頬に手を当てた。そして息を呑む。
「アンリエット...」
エリザベートが泣きながらすがり付く。
「エリザベート、手鏡を見せて頂戴」
エリザベートはイヤイヤと首を振る。
「大丈夫。覚悟は出来てるから...」
アンリエットは寂しそうに微笑んだ。
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