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 私は今までのことを洗いざらいエリザベートに話した。

「なるほどねぇ...そんなことになっていたとは...」

「どうしたらいいと思う?」

「アンリエットはどうしたいのよ?」

 エリザベートも兄と同じこと聞いてくるな...だから私は兄に言った時と同じようにエリザベートにも言ってみた。

 ついでに兄が家督を継いでくれることも伝えた。兄の正体に関してまでは言わなかったが。

「だったらもう答えは出てるんじゃあないの?」

「やっぱりエリザベートもそう思う?」

「えぇ、それにね、あの腹黒兄がここまで周りをしっかりと固めて来たって言うんなら、あなたが嫌がって逃げようと思ってもきっと逃げられないと思うわよ?」

「なんかそれ怖いんだけど...」

「あんな風にチャラく見えて腹黒でもあるけど、腐っても公爵家の跡取りだからね。本気を出したらあなたを囲い込むくらいは簡単よ? ターゲットロックオンされたら諦めることね。腹黒だから」

 腹黒を推して来るな...まぁその通りではあると思うけど。

 にしてもクリフ様はやっぱ本気なのかぁ...それはそれで嬉しくもあるんだけど、私としてはまだかなり不安があるんだよね...

「でも私なんかに公爵夫人が務まるかしら...」

 伯爵家とは格が違う。公爵家ともなれば覚えることも付き合いの多さも伯爵家の比じゃないだろう。

「あら、私にだって公爵令嬢が務まったんだから、優秀なアンリエットなら余裕で務まるわよ。それにアンリエットは既に伯爵家を継いでちゃんと回しているんでしょ? 問題無いと思うけど?」

「いやいや私、学生時代エリザベートに成績で勝ったこと一度も無いんですけど!?」

 なにそれ嫌味!? 

 エリザベートはさすが公爵令嬢だけあって、とにかく頭は良いし馬術も剣術も一級品だった。私がどんなに頑張っても万年二位だったよ...

「あ、そうだったっけ...ま、まぁ、それはそれとして...私としてはアンリエットが義妹になってくれたら大歓迎だけどね。あんな阿婆擦れなんかよりも」

「そう、それよ! そのこともずっと気になってたの! クリフ様からサラッとは聞かされたんだけど、もうちょっと詳しく教えてくれない?」

 クリフ様の伴侶になるんなら、私にとっても他人事じゃなくなるからね。しっかり聞いておかないと。

「構わないけど、私の口からでいいの?」

「えぇ、エリザベートの視点からも聞かせて欲しいわ」

「あんまり気は進まないんだけどね...分かったわ」

 そう言ってエリザベートは語り出した。
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