我が家の乗っ取りを企む婚約者とその幼馴染みに鉄槌を下します!

真理亜

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33 (ギルバート視点7)

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「ギルバート、それって夜会の招待状?」

「あぁ、アンリエットから連絡があってね。ケイトリンの家でやるそうだ。そのパートナーを頼みたいと書いてある」

「...行くの?」

 キャロラインが不安そうに聞いて来る。だから僕は安心させるようにこう言った。

「行くよ。ただしパートナーは君を連れて行くつもりだけどね」

「えっと...それは嬉しいけど...ケイトリンって確か侯爵令嬢の人だっけ? そんな夜会に私をパートナーとして連れて行って本当にいいの?」

「構うもんか! 僕はもう二度とアンリエットのパートナーなんかゴメンだからね! シナリオには無いけど、アンリエットにはパートナー無しで入場して貰ってせいぜい恥を掻いて貰うとしよう! フフフッ! 楽しみだ!」

「大丈夫かしら...」

「キャロラインは心配性だなぁ。問題無いって! さぁ、夜会で着るドレスを買いに行こうか!」

「まぁっ! 嬉しいわ! ありがとう!」

 やっとキャロラインが笑顔になった。能天気な僕はそれだけでご機嫌になっていたのだった。


◇◇◇


 そして夜会の当日。

「ね、ねぇ、ギルバート...な、なんだか私達注目されてない!?」

「気のせいさ。堂々としてればいいんだ」

 僕達が入場すると不躾な視線が絡まって来た。パートナーが違っているから当然だろう。だがそんな視線を無視して進むと、

「あ、あれは!?」

 アンリエットが居た。一人寂しく佇んでいるはずが、他の男にエスコートされている。次の瞬間、僕は自分のことを棚に上げてこう叫んでいた。

「おい、アンリエット! これはどういう事だ!」

「どういう事とは?」

「なんで僕以外のパートナーを連れている!」

「それ、アナタが言いますか?」

「うぐ...そ、それはだな...」

 アンリエットに冷静に返されて僕は言葉に詰まってしまった。アンリエットの浮気を咎めるはずが、とんだ見込み違いになってしまっていた。

「アンリエットの言う通りだ。下衆な勘繰りは止めて貰おう。僕は会場の入口で寂しそうにしている彼女を見兼ねて声を掛けただけだ。聞けば君はアンリエットを迎えにも行かなかったというじゃないか? 可哀想に。アンリエットはずっと君を待っていたそうだぞ? なのに君はこうやって堂々と別の女を侍らしているじゃないか。そんな君にアンリエットをどうこう言う資格は無い! 恥を知れ!」

「あぅ...」

 更にアンリエットのパートナーの男にまで詰られた。しかも良く見たらこの人、エリザベートの兄上で公爵家の嫡男クリフトファー様じゃないか!

 なんでこの人がアンリエットと一緒に居るんだ!?

 僕は混乱の極みに居た。
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