30 / 276
30 (ギルバート視点4)
しおりを挟む
ある日、アンリエットからこう言われた。
「ギルバート、ちょっといい?」
「あぁ、どうしたんだい?」
「今度の日曜日、エリザベートの家で舞踏会を開くみたいなのよ。招待状が届いてるから一緒に参加してね?」
エリザベートか...正直言ってあの女は苦手なんだよな...正義感の塊みたいな所が...
「日曜日だね? 分かった」
「それでね、その日の昼間、私はどうしても外せない用事があるのよ。舞踏会は夜からだから、エリザベートの家に現地集合という形にして欲しいの」
「あぁ、構わないよ」
「ゴメンね。エスコートはしなくていいから、先に会場に入っていて?」
「......」
「ギルバート?」
「えっ!? あ、あぁ、了解したよ...」
これはチャンスだと思った。
僕はすぐにキャロラインに連絡を取った。
◇◇◇
「ねぇ、ギルバート。本当に私がパートナーを務めていいの?」
「構わないよ。アンリエットは遅れて来るって言ってたし、僕一人で入場するのは寂しいからね。一緒に行ってくれると嬉しいな」
「でも...あなたの婚約者に嫉妬されるんじゃないかしら...」
「フフフッ、それが狙いだよ」
「えっ!? どういうこと!?」
「いいかい? このままじゃあの小説通りにならない。なにせキャロラインとアンリエットは今の所、全く接点が無いんだから」
「えぇ、そりゃ当然よね。面識がある訳無いんだから」
「だろ? だから今夜、君をアンリエットに紹介するっていう体で僕のパートナーに指名したってことにするんだよ。もちろん疚しいことはなにも無く、あくまでも幼馴染みという風を装ってね」
「なるほど...」
「だが嫉妬したアンリエットは、僕の話を聞こうともせず君を口汚く罵り、挙げ句の果てに君のドレスにワインをぶっかけるという暴挙に出る」
「小説の通りね。でもそんなに上手く行くかしら?」
「行かせるんだよ。アンリエットが上手く動いてくれなかったら、僕が手を滑らしたフリをしてワインをかけるからさ。君はアンリエットにやられたという演技をしてくれればいい」
「なるほど! 完璧ね! ギルバート! あなたって天才だわ!」
「いやぁ、それ程でも~♪ あぁ、キャロライン。小説の通りドレスは白い物を着て来てね? 持ってなかったら、僕が新しいドレスを買ってあげるから」
「買って頂戴!」
◇◇◇
「ちょっとギルバート、これは一体どういうことなの!?」
「えっ!? あ、あぁ、え、エリザベート。ち、違うんだよ。じ、実は今日、アンリエットがちょっと遅れるかも知れないって言うから」
「アンリエットならあそこに居るじゃないの!?」
「えっ!? あ、アンリエット!? い、いつの間に!?」
「我が家主宰の舞踏会で私の友人を泣かすだなんて良い度胸じゃないの! あぁ、アンリエット! 可哀想に!」
...どうしてこうなった...
「ギルバート、ちょっといい?」
「あぁ、どうしたんだい?」
「今度の日曜日、エリザベートの家で舞踏会を開くみたいなのよ。招待状が届いてるから一緒に参加してね?」
エリザベートか...正直言ってあの女は苦手なんだよな...正義感の塊みたいな所が...
「日曜日だね? 分かった」
「それでね、その日の昼間、私はどうしても外せない用事があるのよ。舞踏会は夜からだから、エリザベートの家に現地集合という形にして欲しいの」
「あぁ、構わないよ」
「ゴメンね。エスコートはしなくていいから、先に会場に入っていて?」
「......」
「ギルバート?」
「えっ!? あ、あぁ、了解したよ...」
これはチャンスだと思った。
僕はすぐにキャロラインに連絡を取った。
◇◇◇
「ねぇ、ギルバート。本当に私がパートナーを務めていいの?」
「構わないよ。アンリエットは遅れて来るって言ってたし、僕一人で入場するのは寂しいからね。一緒に行ってくれると嬉しいな」
「でも...あなたの婚約者に嫉妬されるんじゃないかしら...」
「フフフッ、それが狙いだよ」
「えっ!? どういうこと!?」
「いいかい? このままじゃあの小説通りにならない。なにせキャロラインとアンリエットは今の所、全く接点が無いんだから」
「えぇ、そりゃ当然よね。面識がある訳無いんだから」
「だろ? だから今夜、君をアンリエットに紹介するっていう体で僕のパートナーに指名したってことにするんだよ。もちろん疚しいことはなにも無く、あくまでも幼馴染みという風を装ってね」
「なるほど...」
「だが嫉妬したアンリエットは、僕の話を聞こうともせず君を口汚く罵り、挙げ句の果てに君のドレスにワインをぶっかけるという暴挙に出る」
「小説の通りね。でもそんなに上手く行くかしら?」
「行かせるんだよ。アンリエットが上手く動いてくれなかったら、僕が手を滑らしたフリをしてワインをかけるからさ。君はアンリエットにやられたという演技をしてくれればいい」
「なるほど! 完璧ね! ギルバート! あなたって天才だわ!」
「いやぁ、それ程でも~♪ あぁ、キャロライン。小説の通りドレスは白い物を着て来てね? 持ってなかったら、僕が新しいドレスを買ってあげるから」
「買って頂戴!」
◇◇◇
「ちょっとギルバート、これは一体どういうことなの!?」
「えっ!? あ、あぁ、え、エリザベート。ち、違うんだよ。じ、実は今日、アンリエットがちょっと遅れるかも知れないって言うから」
「アンリエットならあそこに居るじゃないの!?」
「えっ!? あ、アンリエット!? い、いつの間に!?」
「我が家主宰の舞踏会で私の友人を泣かすだなんて良い度胸じゃないの! あぁ、アンリエット! 可哀想に!」
...どうしてこうなった...
23
お気に入りに追加
3,452
あなたにおすすめの小説
婚約破棄直前に倒れた悪役令嬢は、愛を抱いたまま退場したい
矢口愛留
恋愛
【全11話】
学園の卒業パーティーで、公爵令嬢クロエは、第一王子スティーブに婚約破棄をされそうになっていた。
しかし、婚約破棄を宣言される前に、クロエは倒れてしまう。
クロエの余命があと一年ということがわかり、スティーブは、自身の感じていた違和感の元を探り始める。
スティーブは真実にたどり着き、クロエに一つの約束を残して、ある選択をするのだった。
※一話あたり短めです。
※ベリーズカフェにも投稿しております。
運命の番?棄てたのは貴方です
ひよこ1号
恋愛
竜人族の侯爵令嬢エデュラには愛する番が居た。二人は幼い頃に出会い、婚約していたが、番である第一王子エリンギルは、新たに番と名乗り出たリリアーデと婚約する。邪魔になったエデュラとの婚約を解消し、番を引き裂いた大罪人として追放するが……。一方で幼い頃に出会った侯爵令嬢を忘れられない帝国の皇子は、男爵令息と身分を偽り竜人国へと留学していた。
番との運命の出会いと別離の物語。番でない人々の貫く愛。
※自己設定満載ですので気を付けてください。
※性描写はないですが、一線を越える個所もあります
※多少の残酷表現あります。
以上2点からセルフレイティング
側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります。
とうや
恋愛
「私はシャーロットを妻にしようと思う。君は側妃になってくれ」
成婚の儀を迎える半年前。王太子セオドアは、15年も婚約者だったエマにそう言った。微笑んだままのエマ・シーグローブ公爵令嬢と、驚きの余り硬直する近衛騎士ケイレブ・シェパード。幼馴染だった3人の関係は、シャーロットという少女によって崩れた。
「側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります」
********************************************
ATTENTION
********************************************
*世界軸は『側近候補を外されて覚醒したら〜』あたりの、なんちゃってヨーロッパ風。魔法はあるけれど魔王もいないし神様も遠い存在。そんなご都合主義で設定うすうすの世界です。
*いつものような残酷な表現はありませんが、倫理観に難ありで軽い胸糞です。タグを良くご覧ください。
*R-15は保険です。
[完結]婚約破棄してください。そして私にもう関わらないで
みちこ
恋愛
妹ばかり溺愛する両親、妹は思い通りにならないと泣いて私の事を責める
婚約者も妹の味方、そんな私の味方になってくれる人はお兄様と伯父さんと伯母さんとお祖父様とお祖母様
私を愛してくれる人の為にももう自由になります
【完結】無能に何か用ですか?
凛 伊緒
恋愛
「お前との婚約を破棄するッ!我が国の未来に、無能な王妃は不要だ!」
とある日のパーティーにて……
セイラン王国王太子ヴィアルス・ディア・セイランは、婚約者のレイシア・ユシェナート侯爵令嬢に向かってそう言い放った。
隣にはレイシアの妹ミフェラが、哀れみの目を向けている。
だがレイシアはヴィアルスには見えない角度にて笑みを浮かべていた。
ヴィアルスとミフェラの行動は、全てレイシアの思惑通りの行動に過ぎなかったのだ……
主人公レイシアが、自身を貶めてきた人々にざまぁする物語──
わたしのことはお気になさらず、どうぞ、元の恋人とよりを戻してください。
ふまさ
恋愛
「あたし、気付いたの。やっぱりリッキーしかいないって。リッキーだけを愛しているって」
人気のない校舎裏。熱っぽい双眸で訴えかけたのは、子爵令嬢のパティだ。正面には、伯爵令息のリッキーがいる。
「学園に通いはじめてすぐに他の令息に熱をあげて、ぼくを捨てたのは、きみじゃないか」
「捨てたなんて……だって、子爵令嬢のあたしが、侯爵令息様に逆らえるはずないじゃない……だから、あたし」
一歩近付くパティに、リッキーが一歩、後退る。明らかな動揺が見えた。
「そ、そんな顔しても無駄だよ。きみから侯爵令息に言い寄っていたことも、その侯爵令息に最近婚約者ができたことも、ぼくだってちゃんと知ってるんだからな。あてがはずれて、仕方なくぼくのところに戻って来たんだろ?!」
「……そんな、ひどい」
しくしくと、パティは泣き出した。リッキーが、うっと怯む。
「ど、どちらにせよ、もう遅いよ。ぼくには婚約者がいる。きみだって知ってるだろ?」
「あたしが好きなら、そんなもの、解消すればいいじゃない!」
パティが叫ぶ。無茶苦茶だわ、と胸中で呟いたのは、二人からは死角になるところで聞き耳を立てていた伯爵令嬢のシャノン──リッキーの婚約者だった。
昔からパティが大好きだったリッキーもさすがに呆れているのでは、と考えていたシャノンだったが──。
「……そんなにぼくのこと、好きなの?」
予想もしないリッキーの質問に、シャノンは目を丸くした。対してパティは、目を輝かせた。
「好き! 大好き!」
リッキーは「そ、そっか……」と、満更でもない様子だ。それは、パティも感じたのだろう。
「リッキー。ねえ、どうなの? 返事は?」
パティが詰め寄る。悩んだすえのリッキーの答えは、
「……少し、考える時間がほしい」
だった。
別れてくれない夫は、私を愛していない
abang
恋愛
「私と別れて下さい」
「嫌だ、君と別れる気はない」
誕生パーティー、結婚記念日、大切な約束の日まで……
彼の大切な幼馴染の「セレン」はいつも彼を連れ去ってしまう。
「ごめん、セレンが怪我をしたらしい」
「セレンが熱が出たと……」
そんなに大切ならば、彼女を妻にすれば良かったのでは?
ふと過ぎったその考えに私の妻としての限界に気付いた。
その日から始まる、私を愛さない夫と愛してるからこそ限界な妻の離婚攻防戦。
「あなた、お願いだから別れて頂戴」
「絶対に、別れない」
父が死んだのでようやく邪魔な女とその息子を処分できる
兎屋亀吉
恋愛
伯爵家の当主だった父が亡くなりました。これでようやく、父の愛妾として我が物顔で屋敷内をうろつくばい菌のような女とその息子を処分することができます。父が死ねば息子が当主になれるとでも思ったのかもしれませんが、父がいなくなった今となっては思う通りになることなど何一つありませんよ。今まで父の威を借りてさんざんいびってくれた仕返しといきましょうか。根に持つタイプの陰険女主人公。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる