25 / 276
25
しおりを挟む
「そ、そうやってまた私を虐めるのね!」
涙目になったキャロラインがなんかホザいてる。
「はぁっ!?」
私は思わず聞き返していた。いやいや、ほぼ初対面の私がどうやってお前を虐めるんだよ!?
「こ、国王陛下! き、聞いて下さい! こ、この女は身分を笠に着て私をずっと虐めていたんです!」
私相手じゃ分が悪いと悟ったのか、今度はキャロラインは国王陛下に縋ることにしたようだ。
「ほう? なぜフィンレイ伯がそなたを虐めるのだ?」
「私とギルバートが『真実の愛』で結ばれているのが気に入らなかったからです!」
「ほう、真実の愛とな」
「はい! 私とギルバートは愛し合っていたのです!」
「なるほどな。要するにクレイン侯爵令息は、いやクレイン元侯爵令息はそなたと浮気しておったということか」
「う、浮気じゃありません! 真実の愛です」
「言い方を変えただけじゃろう? 婚約者が居る身でありながら他の女に目移りする。これを浮気と呼ばずなんと呼ぶのじゃ?」
「あぐ...そ、それは...」
またも国王陛下の正論過ぎる正論にキャロラインが言い淀む。
「フィンレイ伯が怒るのも当然だと思うが? そなたの自業自得じゃろう?」
「うぅ...そ、それでも、この女が私を虐めていたのは事実な訳で...」
キャロラインが悪足掻きする。
「国王陛下、よろしいでしょうか?」
「フィンレイ伯か。構わん」
「私はそもそもウィンバース男爵令嬢を虐めてなどおりません」
「フィンレイ伯はこう言っておるが?」
「う、ウソです! こ、この女はウソを吐いているんです!」
キャロラインがまだ抵抗する。いい加減諦めればいいのに。
「ウソじゃありませんよ。ちゃんと証人も居ます。アラン!」
そう言って私は後ろを振り返る。
「はい、お嬢様」
「あ、アンタは...」
キャロラインが息を呑む。
「この者の名はアラン。私の侍従を勤めております。アラン、証言して」
「はい、お嬢様。そこの阿婆擦れさんはついさっきまで私と睦み合っておりました。そして私以外にも沢山の男を手玉に取っていると自慢しておりました。ギルバート殿もその一人だと言っておりまして、そのギルバート殿と共謀してお嬢様を陥れる計画だと得意げに話しておりました」
ちなみに今日のアランは俳優モードだから品が良い。
「ウソよ...ウソよ...ウソよ...」
ついにキャロラインは譫言のように繰り返し始めた。
「ウソではありませんよ。あぁ、もちろんお嬢様はこの阿婆擦れさんを虐めたりはしておりません。そもそも虐める理由がありませんから。そんな価値すらないということでしょう」
アランがそう締めくくった。
涙目になったキャロラインがなんかホザいてる。
「はぁっ!?」
私は思わず聞き返していた。いやいや、ほぼ初対面の私がどうやってお前を虐めるんだよ!?
「こ、国王陛下! き、聞いて下さい! こ、この女は身分を笠に着て私をずっと虐めていたんです!」
私相手じゃ分が悪いと悟ったのか、今度はキャロラインは国王陛下に縋ることにしたようだ。
「ほう? なぜフィンレイ伯がそなたを虐めるのだ?」
「私とギルバートが『真実の愛』で結ばれているのが気に入らなかったからです!」
「ほう、真実の愛とな」
「はい! 私とギルバートは愛し合っていたのです!」
「なるほどな。要するにクレイン侯爵令息は、いやクレイン元侯爵令息はそなたと浮気しておったということか」
「う、浮気じゃありません! 真実の愛です」
「言い方を変えただけじゃろう? 婚約者が居る身でありながら他の女に目移りする。これを浮気と呼ばずなんと呼ぶのじゃ?」
「あぐ...そ、それは...」
またも国王陛下の正論過ぎる正論にキャロラインが言い淀む。
「フィンレイ伯が怒るのも当然だと思うが? そなたの自業自得じゃろう?」
「うぅ...そ、それでも、この女が私を虐めていたのは事実な訳で...」
キャロラインが悪足掻きする。
「国王陛下、よろしいでしょうか?」
「フィンレイ伯か。構わん」
「私はそもそもウィンバース男爵令嬢を虐めてなどおりません」
「フィンレイ伯はこう言っておるが?」
「う、ウソです! こ、この女はウソを吐いているんです!」
キャロラインがまだ抵抗する。いい加減諦めればいいのに。
「ウソじゃありませんよ。ちゃんと証人も居ます。アラン!」
そう言って私は後ろを振り返る。
「はい、お嬢様」
「あ、アンタは...」
キャロラインが息を呑む。
「この者の名はアラン。私の侍従を勤めております。アラン、証言して」
「はい、お嬢様。そこの阿婆擦れさんはついさっきまで私と睦み合っておりました。そして私以外にも沢山の男を手玉に取っていると自慢しておりました。ギルバート殿もその一人だと言っておりまして、そのギルバート殿と共謀してお嬢様を陥れる計画だと得意げに話しておりました」
ちなみに今日のアランは俳優モードだから品が良い。
「ウソよ...ウソよ...ウソよ...」
ついにキャロラインは譫言のように繰り返し始めた。
「ウソではありませんよ。あぁ、もちろんお嬢様はこの阿婆擦れさんを虐めたりはしておりません。そもそも虐める理由がありませんから。そんな価値すらないということでしょう」
アランがそう締めくくった。
45
お気に入りに追加
3,451
あなたにおすすめの小説
運命の番?棄てたのは貴方です
ひよこ1号
恋愛
竜人族の侯爵令嬢エデュラには愛する番が居た。二人は幼い頃に出会い、婚約していたが、番である第一王子エリンギルは、新たに番と名乗り出たリリアーデと婚約する。邪魔になったエデュラとの婚約を解消し、番を引き裂いた大罪人として追放するが……。一方で幼い頃に出会った侯爵令嬢を忘れられない帝国の皇子は、男爵令息と身分を偽り竜人国へと留学していた。
番との運命の出会いと別離の物語。番でない人々の貫く愛。
※自己設定満載ですので気を付けてください。
※性描写はないですが、一線を越える個所もあります
※多少の残酷表現あります。
以上2点からセルフレイティング
【完結】側妃は愛されるのをやめました
なか
恋愛
「君ではなく、彼女を正妃とする」
私は、貴方のためにこの国へと貢献してきた自負がある。
なのに……彼は。
「だが僕は、ラテシアを見捨てはしない。これから君には側妃になってもらうよ」
私のため。
そんな建前で……側妃へと下げる宣言をするのだ。
このような侮辱、恥を受けてなお……正妃を求めて抗議するか?
否。
そのような恥を晒す気は無い。
「承知いたしました。セリム陛下……私は側妃を受け入れます」
側妃を受けいれた私は、呼吸を挟まずに言葉を続ける。
今しがた決めた、たった一つの決意を込めて。
「ですが陛下。私はもう貴方を支える気はありません」
これから私は、『捨てられた妃』という汚名でなく、彼を『捨てた妃』となるために。
華々しく、私の人生を謳歌しよう。
全ては、廃妃となるために。
◇◇◇
設定はゆるめです。
読んでくださると嬉しいです!
妹がいなくなった
アズやっこ
恋愛
妹が突然家から居なくなった。
メイドが慌ててバタバタと騒いでいる。
お父様とお母様の泣き声が聞こえる。
「うるさくて寝ていられないわ」
妹は我が家の宝。
お父様とお母様は妹しか見えない。ドレスも宝石も妹にだけ買い与える。
妹を探しに出掛けたけど…。見つかるかしら?
姉から奪うことしかできない妹は、ザマァされました
饕餮
ファンタジー
わたくしは、オフィリア。ジョンパルト伯爵家の長女です。
わたくしには双子の妹がいるのですが、使用人を含めた全員が妹を溺愛するあまり、我儘に育ちました。
しかもわたくしと色違いのものを両親から与えられているにもかかわらず、なぜかわたくしのものを欲しがるのです。
末っ子故に甘やかされ、泣いて喚いて駄々をこね、暴れるという貴族女性としてはあるまじき行為をずっとしてきたからなのか、手に入らないものはないと考えているようです。
そんなあざといどころかあさましい性根を持つ妹ですから、いつの間にか両親も兄も、使用人たちですらも絆されてしまい、たとえ嘘であったとしても妹の言葉を鵜呑みにするようになってしまいました。
それから数年が経ち、学園に入学できる年齢になりました。が、そこで兄と妹は――
n番煎じのよくある妹が姉からものを奪うことしかしない系の話です。
全15話。
※カクヨムでも公開しています
ヴェルセット公爵家令嬢クラリッサはどこへ消えた?
ルーシャオ
恋愛
完璧な令嬢であれとヴェルセット公爵家令嬢クラリッサは期待を一身に受けて育ったが、婚約相手のイアムス王国デルバート王子はそんなクラリッサを嫌っていた。挙げ句の果てに、隣国の皇女を巻き込んで婚約破棄事件まで起こしてしまう。長年の王子からの嫌がらせに、ついにクラリッサは心が折れて行方不明に——そして約十二年後、王城の古井戸でその白骨遺体が発見されたのだった。
一方、隣国の法医学者エルネスト・クロードはロロベスキ侯爵夫人ことマダム・マーガリーの要請でイアムス王国にやってきて、白骨死体のスケッチを見てクラリッサではないと看破する。クラリッサは行方不明になって、どこへ消えた? 今はどこにいる? 本当に死んだのか? イアムス王国の人々が彼女を惜しみ、探そうとしている中、クロードは情報収集を進めていくうちに重要参考人たちと話をして——?
完結 穀潰しと言われたので家を出ます
音爽(ネソウ)
恋愛
ファーレン子爵家は姉が必死で守って来た。だが父親が他界すると家から追い出された。
「お姉様は出て行って!この穀潰し!私にはわかっているのよ遺産をいいように使おうだなんて」
遺産などほとんど残っていないのにそのような事を言う。
こうして腹黒な妹は母を騙して家を乗っ取ったのだ。
その後、収入のない妹夫婦は母の財を喰い物にするばかりで……
貴方の愛人を屋敷に連れて来られても困ります。それより大事なお話がありますわ。
もふっとしたクリームパン
恋愛
「早速だけど、カレンに子供が出来たんだ」
隣に居る座ったままの栗色の髪と青い眼の女性を示し、ジャンは笑顔で勝手に話しだす。
「離れには子供部屋がないから、こっちの屋敷に移りたいんだ。部屋はたくさん空いてるんだろ? どうせだから、僕もカレンもこれからこの屋敷で暮らすよ」
三年間通った学園を無事に卒業して、辺境に帰ってきたディアナ・モンド。モンド辺境伯の娘である彼女の元に辺境伯の敷地内にある離れに住んでいたジャン・ボクスがやって来る。
ドレスは淑女の鎧、扇子は盾、言葉を剣にして。正々堂々と迎え入れて差し上げましょう。
妊娠した愛人を連れて私に会いに来た、無法者をね。
本編九話+オマケで完結します。*2021/06/30一部内容変更あり。カクヨム様でも投稿しています。
随時、誤字修正と読みやすさを求めて試行錯誤してますので行間など変更する場合があります。
拙い作品ですが、どうぞよろしくお願いします。
【完結】無能に何か用ですか?
凛 伊緒
恋愛
「お前との婚約を破棄するッ!我が国の未来に、無能な王妃は不要だ!」
とある日のパーティーにて……
セイラン王国王太子ヴィアルス・ディア・セイランは、婚約者のレイシア・ユシェナート侯爵令嬢に向かってそう言い放った。
隣にはレイシアの妹ミフェラが、哀れみの目を向けている。
だがレイシアはヴィアルスには見えない角度にて笑みを浮かべていた。
ヴィアルスとミフェラの行動は、全てレイシアの思惑通りの行動に過ぎなかったのだ……
主人公レイシアが、自身を貶めてきた人々にざまぁする物語──
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる