我が家の乗っ取りを企む婚約者とその幼馴染みに鉄槌を下します!

真理亜

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 キャロラインは髪が乱れドレスも所々が着崩れており、如何にも「事後」といった出で立ちだった。

 もちろんアランとお楽しみだったに違いない。そんな姿でのほほんと国王陛下の前に現れた自分の娘を見て、ウィンバース男爵は顔面蒼白となり今にも倒れそうだ。

「フム、そなたは何者だ?」

「なによ偉そうに! オジサン、あんたこそ誰よ?」

 神をも恐れぬキャロラインの国王陛下に対する暴言に、ウィンバース男爵はついに白目を剥いて倒れてしまった。

 ある意味幸せだったのかも知れない。この後に待っている断罪劇を見なくて済んだのだから。

 王族の方々含め剣呑な雰囲気が漂っているのだが、当のキャロラインは全く気付いていない。王太子殿下なんか今にも抜剣しそうだ。

 だが国王陛下はそんな王太子殿下を目線で抑えて、

「儂か? 儂はこの国の国王じゃが? あまり知られておらんのかの? ホッホッホッ、儂もまだまだじゃのぅ~」

 と国王陛下はさも楽しそうに笑っているが、もちろん目の奥は笑っていない。

「へっ!? あっ! こ、国王陛下!? こ、これは大変失礼致しました...」

 今頃気付いたキャロラインが慌てて淑女の礼としてカーテシーを行うが、その作法は洗練されておらず拙いものだった。

 もっとも、国王陛下のお顔を知らなかった時点で、とっくに貴族令嬢としては失格であるのだから今更なんだが。

「わ、私はキャロライン・ウィンバースと申します。ウィンバース男爵家の一人娘です...」

「ほう、ではそなたがギルバート・クレイン侯爵令息のお相手か」

「そ、そうです! あ、あの! ぎ、ギルバートはどこに!?」

「彼ならクレイン侯爵に連れて行かれたぞ? なんでも廃嫡されるんだそうな」

 そう言って国王陛下は悪い笑みを浮かべた。

「えっ!? は、廃嫡!? な、なんでそんなことに!?」

「理由はそなたが一番良く知っているのではないのか?」

 そう言って国王陛下は私の方に視線を向けた。

「あ、アンリエット!? あ、あんたが何かしたのね!」

 いやいや、何かしたのはお前らの方だろ? というかこの女、ほぼ初対面のクセに伯爵令嬢である私を呼び捨てかよ。

「あら? 私とあなたはほとんど初対面だと思うけど? ウィンバース男爵令嬢、私はあなたに名前を呼び捨てにして良いと許可した覚えはありませんよ? 礼節を弁えなさい! 男爵令嬢如きが!」

「ヽ(ヽ゜ロ゜)ヒイィィィ!」

 あんまり腹が立ったんで、ちょっと脅してやったら見事にビビり捲った。フン、他愛もない。

 キャロライン、喧嘩を売る相手を間違えたな!
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