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ある日、セバスチャンが手紙を持って来た。
「お嬢様、王家主宰の晩餐会の招待状が届きました」
「やっと来たのね。いつ?」
「今週末だそうです」
「そう。クリフトファー様に連絡して貰える? エスコートしてくれるって約束してるのよ」
「え~と...念のために確認しますが、ギルバート様ではないのですね?」
「もちろんよ。あんなアホに頼む訳ないじゃない」
「プハッ! か、畏まりました」
◇◇◇
そして晩餐会当日。
「アラン、分かってるわね?」
「ガッテンっスよ! この間と同じで良いんでしょ?」
「えぇ、そうよ。今回もあなたは私の侍従として付いて来て頂戴」
「了解っス!」
やがてクリフトファー様がやって来た
「やぁ、お姫様」
「クリフ様、ご機嫌よう」
「いよいよだね」
「そうですわね」
「フフフッ、もしかしてちょっと緊張してる?」
「あら、分かります?」
「まぁね。なんかソワソワしてるように見えるよ」
「ウフフ、きっとギルバートのアホがどんな風に踊ってくれるのか、楽しみで仕方ないんですよ」
「アハハッ! 僕もだよ!」
◇◇◇
王宮に着いた私達は招待状を見せて中に入った。
「ところでギルバートの家にもちゃんと招待状は届いてるの?」
「それは問題ないはずですわ。腐っても侯爵令息ですもの」
「あぁ、そうだった。あまりのアホさ加減に忘れるところだったけど、アイツの実家は侯爵家なんだっけ」
「えぇ、実家は割とマトモなんですが、貧乏なだけに息子の教育には失敗したみたいですね」
「あぁ、なるほど。教育に金を掛けられなかった結果があぁなった訳だ」
「そのせいだけじゃないと思いますけどね。本人の資質の問題でしょう」
「違いない。あ、ほらほら、主役の登場だよ?」
クリフトファー様の視線を追うと、ギルバートがキャロラインを伴ってやって来るのが見えた。
「主役というよりピエロですけどね」
「確かに。ん? なんか僕達の方を睨んでるね」
「大丈夫。まだ騒ぎは起こさないと思いますよ」
そう思っていた時だった。
「アンリエット! お兄様!」
「アンリエット、クリフトファー様、ご機嫌よう」
エリザベートとケイトリンがやって来た。
「いよいよね! 楽しみだわ!」
「あらあら、エリザベートったら。端たないわよ」
「えっ!? アンリ!? もしかして!?」
クリフトファー様が目を丸くする。
「えぇ、この二人にはバレました」
「お兄様ったら! こんな面白いこと黙ってるなんて酷いじゃないの!」
「ウフフッ! 私達に隠し事なんか出来ないんですのよ?」
私とクリフトファー様は苦笑するしかなかった。
「お嬢様、王家主宰の晩餐会の招待状が届きました」
「やっと来たのね。いつ?」
「今週末だそうです」
「そう。クリフトファー様に連絡して貰える? エスコートしてくれるって約束してるのよ」
「え~と...念のために確認しますが、ギルバート様ではないのですね?」
「もちろんよ。あんなアホに頼む訳ないじゃない」
「プハッ! か、畏まりました」
◇◇◇
そして晩餐会当日。
「アラン、分かってるわね?」
「ガッテンっスよ! この間と同じで良いんでしょ?」
「えぇ、そうよ。今回もあなたは私の侍従として付いて来て頂戴」
「了解っス!」
やがてクリフトファー様がやって来た
「やぁ、お姫様」
「クリフ様、ご機嫌よう」
「いよいよだね」
「そうですわね」
「フフフッ、もしかしてちょっと緊張してる?」
「あら、分かります?」
「まぁね。なんかソワソワしてるように見えるよ」
「ウフフ、きっとギルバートのアホがどんな風に踊ってくれるのか、楽しみで仕方ないんですよ」
「アハハッ! 僕もだよ!」
◇◇◇
王宮に着いた私達は招待状を見せて中に入った。
「ところでギルバートの家にもちゃんと招待状は届いてるの?」
「それは問題ないはずですわ。腐っても侯爵令息ですもの」
「あぁ、そうだった。あまりのアホさ加減に忘れるところだったけど、アイツの実家は侯爵家なんだっけ」
「えぇ、実家は割とマトモなんですが、貧乏なだけに息子の教育には失敗したみたいですね」
「あぁ、なるほど。教育に金を掛けられなかった結果があぁなった訳だ」
「そのせいだけじゃないと思いますけどね。本人の資質の問題でしょう」
「違いない。あ、ほらほら、主役の登場だよ?」
クリフトファー様の視線を追うと、ギルバートがキャロラインを伴ってやって来るのが見えた。
「主役というよりピエロですけどね」
「確かに。ん? なんか僕達の方を睨んでるね」
「大丈夫。まだ騒ぎは起こさないと思いますよ」
そう思っていた時だった。
「アンリエット! お兄様!」
「アンリエット、クリフトファー様、ご機嫌よう」
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「いよいよね! 楽しみだわ!」
「あらあら、エリザベートったら。端たないわよ」
「えっ!? アンリ!? もしかして!?」
クリフトファー様が目を丸くする。
「えぇ、この二人にはバレました」
「お兄様ったら! こんな面白いこと黙ってるなんて酷いじゃないの!」
「ウフフッ! 私達に隠し事なんか出来ないんですのよ?」
私とクリフトファー様は苦笑するしかなかった。
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