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「アンリエットの言う通りだ。下衆な勘繰りは止めて貰おう。僕は会場の入口で寂しそうにしている彼女を見兼ねて声を掛けただけだ。聞けば君はアンリエットを迎えにも行かなかったというじゃないか? 可哀想に。アンリエットはずっと君を待っていたそうだぞ? なのに君はこうやって堂々と別の女を侍らしているじゃないか。そんな君にアンリエットをどうこう言う資格は無い! 恥を知れ!」
「あぅ...」
クリフトファー様の正論にギルバートは反論できなかった。私はその間にアランに「行け!」と目配せした。
アランがスススッとキャロラインに近付く。キャロラインがアランに気付いて笑顔になる。アランはそのままキャロラインをお持ち帰りして行った。
そんな状況になっているのを、クリフトファー様に言い負かされたギルバートは気付いていない。
「そ、それはその...あ、アンリエットがお茶会でキャロラインに冷たくしたからで...」
「話にならないな。アンリエットからして見れば浮気相手に当たる女なんだぞ? そんな女に優しくする理由の方が見付からないよ」
「あぐ...」
これまた正論なのでギルバートは反論できない。
「アンリエット、行こうか。こんな不誠実な男なんか放っておけば良い」
そう言ってクリフトファー様は私の手を取って歩き出した。私は辛そうな顔で俯きながら黙って従う...という演技をしながら。
ギルバートはそんな私達を歯噛みしながら見送るしかなかった。やがて苛ついたように後ろを振り返って、
「キャロライン! 僕達も行こう!...ってキャロライン!? おい、キャロライン!? どこ行った!?」
「ブホッ!」
私は堪らず吹き出してしまった。
「フフフッ! アンリ、君の予想通り過ぎて笑いが止まらないね!」
「えぇっ! 見て下さいあれ! 泡食ってキャロラインを探し回ってますよ! アハハッ! もうとっくにアランが連れ出して、今頃美味しく頂いてる頃だって言うのに! フフフッ! もう最高!」
「アハハッ! ギルバートのヤツ、捨てられた子犬みたいな顔になってるよ! ザマアミロだね! フフフッ!」
「アハハッ! く、クリフ様! あ、あんまり笑わせないで下さいよ! お、お腹痛い! フフフッ!」
「フフッ、そうだね。じゃあ改めて。素敵なレディ、私めと踊って下さいますか?」
「えぇ、喜んで」
私はクリフ様の手を取ってダンスフロアに向かった。
「ケイトリン、本日はお招き頂きどうもありがとう」
ケイトリンは私のパートナーがクリフトファー様だということに気付いて目を丸くしていた。
「あぅ...」
クリフトファー様の正論にギルバートは反論できなかった。私はその間にアランに「行け!」と目配せした。
アランがスススッとキャロラインに近付く。キャロラインがアランに気付いて笑顔になる。アランはそのままキャロラインをお持ち帰りして行った。
そんな状況になっているのを、クリフトファー様に言い負かされたギルバートは気付いていない。
「そ、それはその...あ、アンリエットがお茶会でキャロラインに冷たくしたからで...」
「話にならないな。アンリエットからして見れば浮気相手に当たる女なんだぞ? そんな女に優しくする理由の方が見付からないよ」
「あぐ...」
これまた正論なのでギルバートは反論できない。
「アンリエット、行こうか。こんな不誠実な男なんか放っておけば良い」
そう言ってクリフトファー様は私の手を取って歩き出した。私は辛そうな顔で俯きながら黙って従う...という演技をしながら。
ギルバートはそんな私達を歯噛みしながら見送るしかなかった。やがて苛ついたように後ろを振り返って、
「キャロライン! 僕達も行こう!...ってキャロライン!? おい、キャロライン!? どこ行った!?」
「ブホッ!」
私は堪らず吹き出してしまった。
「フフフッ! アンリ、君の予想通り過ぎて笑いが止まらないね!」
「えぇっ! 見て下さいあれ! 泡食ってキャロラインを探し回ってますよ! アハハッ! もうとっくにアランが連れ出して、今頃美味しく頂いてる頃だって言うのに! フフフッ! もう最高!」
「アハハッ! ギルバートのヤツ、捨てられた子犬みたいな顔になってるよ! ザマアミロだね! フフフッ!」
「アハハッ! く、クリフ様! あ、あんまり笑わせないで下さいよ! お、お腹痛い! フフフッ!」
「フフッ、そうだね。じゃあ改めて。素敵なレディ、私めと踊って下さいますか?」
「えぇ、喜んで」
私はクリフ様の手を取ってダンスフロアに向かった。
「ケイトリン、本日はお招き頂きどうもありがとう」
ケイトリンは私のパートナーがクリフトファー様だということに気付いて目を丸くしていた。
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