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「そ、そうだったんですね...知りませんでした...」

 エリザベートからなにも聞いてないし...

「うん、駆け落ちなんてされた方もした方も外聞が悪いからね。相手方のご両親とも相談して死んだってことにしたんだよ。秘密裏にね」

「あ、あの...ちなみに事の真相を知ってるのは...」

「両家の主だった人間だけってことになるね」

「そ、そんな大事なことを私に話しちゃって良かったんですか!?」

 私は慌てた。

「あぁ、しまった。秘密だった」

「いやいやそんなテヘペロ♪ みたいな顔されても! クリフトファー様、絶対わざとですよね!?」

「あ、バレた?」

 バレいでか! 確信犯かよ!

「な、なんでこんな真似を!?」

「ん~...なんでだろう? アンリの秘密を聞いちゃったせいかな? 僕も言わないと不公平みたいな?」

 いきなりアンリ呼びですか...そしてなんだその顔は!? 悪戯が成功した時のようなとっても良い笑顔だな!?

「なんですかそれ...ハァッ...良く分からない理屈ですが、秘密だってことは理解しました。誰にも口外しませんからご安心を」

「うん、そうしてくれると助かるよ。それで?」

「それでとは?」

「アンリの次の作戦は?」

「...クリフトファー様、本気で協力して下さると?」

「そう言ったろ?」

「...絶対面白がってるだけですよね...」

「うん、だって面白いからね。それと僕のことはクリフって呼んで欲しいな」

 なんでちょっと可愛らしさアピールしてんの!?

「いえいえそんな恐れ多い」

「言ってくれないとポロッと喋っちゃうかも~♪」

 今度は小悪魔アピールかよ!? あぁもう! 厄介なのに捕まっちゃったよ~!

「クリフ...様...」

「よろしい。これからよろしくね、アンリ♪」

 あぁ、なんかドッと疲れたよ...


◇◇◇


 翌日、執事のセバスチャンが連絡して来た。

「ギルバートが休み?」

「えぇ、なんでも体調を崩したとかで」

 さすがに厚顔無恥なギルバートでも先日の一件は堪えたってことか。まぁ、あんなことがあった後じゃ家督教育どころじゃないわな。

「そう、分かったわ。講師の先生にお詫びしといて」

「分かりました」

「それとお見舞いの花を贈っておいて。セキチクの花をね」

「ブフッ! わ、分かりました」

 セキチクの花言葉『あなたが嫌いです』

「あ、それとクリフトファー様がおいでになっております」

「ハァッ...分かったわ...すぐ行くと伝えて頂戴...」

「畏まりました」

 ここのところ、毎日のようにクリフトファー改めクリフ様がやって来る。

 私はため息を一つ吐いてから客間に向かった。
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