嫁いで来たその日に家から追い出されたので、報復するついでに領地改革しようと思います

真理亜

文字の大きさ
上 下
85 / 89

85

しおりを挟む
 その日、エリスは魔獣動物園予定地に来ていた。

 魔獣動物園で働きたいと言ってくれた人達に、施設の説明をするためである。前日の内に、カイに頼んで魔獣の子供を何匹が運んで貰っていた。更に魔獣牧場からヒメとユリに手伝いに来て貰っている。

 街の担当者から人が集まったと連絡を貰ったエリスは、その際にフィールドアスレチック施設のことを報告していた。

 担当者は二つ返事で大喜びし、急遽フィールドアスレチック施設で働きたいと言う人の募集も行ってくれた。

 今日集まったのは、男女合わせて20人ほどだろうか。エリスはそんな人達の前に出て挨拶を始めた。

「皆さん、お忙しいところお集まり頂きましてありがとうございます。今日は魔獣動物園とそれに併設するフィールドアスレチック施設の説明をしたいと思います。ではまず、魔獣の子供達との触れ合いからスタートしましょうか」

 真っ先にエリスが案内したのは、この魔獣動物園の目玉とも言える触れ合い動物園からだった。

「ご覧の通り、草食で大人しい種類の魔獣の子供達を集めております」

 檻の中ではカイが各地から集めた魔獣の子供達が仲良く草を食んでいて、ヒメとユリが甲斐甲斐しく世話を焼いている。

「可愛い~♪」

 集まった人達の内、特に女性陣から黄色い声が上がる。

「良かったらどうぞ。触れ合ってみて下さいな」

 するとやはり女性陣が積極的に魔獣の子供達と触れ合っていた。

「あぁ~♪ 癒される~♪」「モコモコ~♪ 気持ち良い~♪」

 しばらく魔獣の子供達との触れ合いを楽しんだ後、

「この子達が大きく育ったら、こちらの柵で囲った広い場所に放すことになります」
 
 エリスは次に大人になった魔獣を放つエリアに案内した。

「うぉっ! 広い~!」「これはまた...スケールがデカいな!」

 今度は主に男性陣から感嘆の声が上がった。かなり広い敷地を歩き回った女性陣は、ちょっと息が上がっているようだ。

「遊んだり歩き回った後は、小腹が空くと思いますので、こちらのレストランとお土産物屋で休憩して貰えればと思います」

 こちらにはヒナとキクに手伝いに来て貰っており、魔獣の形に作ったクッキーやサンドイッチなどを提供している。

「美味しそう~♪」

 これには男女問わず歓声が上がった。

「駆け足でしたが、魔獣動物園の説明は以上になります。ここで少し休憩してからフィールドアスレチック施設の説明に移りたいと思います。こちらは希望者のみにしますので、興味の無い方はここに残って貰っても構いません」


************************

 以下告知です。

 下記のタイトルで新連載をスタートしました。


『ようこそ、追放村へ!~冤罪で婚約破棄され国外追放された4人の令嬢達』


 冤罪を被せられて追放された4人の令嬢達が、力を合わせて脱出不可能と言われた追放村からの脱出を決意するという物語です。
全ては自分達を貶めた連中に復讐するために! 4人の令嬢達の復讐劇が今幕を開けます。

 良かったらご覧になって頂けますと幸いです。

 よろしくお願い致します。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

悪役断罪?そもそも何かしましたか?

SHIN
恋愛
明日から王城に最終王妃教育のために登城する、懇談会パーティーに参加中の私の目の前では多人数の男性に囲まれてちやほやされている少女がいた。 男性はたしか婚約者がいたり妻がいたりするのだけど、良いのかしら。 あら、あそこに居ますのは第二王子では、ないですか。 えっ、婚約破棄?別に構いませんが、怒られますよ。 勘違い王子と企み少女に巻き込まれたある少女の話し。

覚悟は良いですか、お父様? ―虐げられた娘はお家乗っ取りを企んだ婿の父とその愛人の娘である異母妹をまとめて追い出す―

Erin
恋愛
【完結済・全3話】伯爵令嬢のカメリアは母が死んだ直後に、父が屋敷に連れ込んだ愛人とその子に虐げられていた。その挙句、カメリアが十六歳の成人後に継ぐ予定の伯爵家から追い出し、伯爵家の血を一滴も引かない異母妹に継がせると言い出す。後を継がないカメリアには嗜虐趣味のある男に嫁がられることになった。絶対に父たちの言いなりになりたくないカメリアは家を出て復讐することにした。7/6に最終話投稿予定。

彼を追いかける事に疲れたので、諦める事にしました

Karamimi
恋愛
貴族学院2年、伯爵令嬢のアンリには、大好きな人がいる。それは1学年上の侯爵令息、エディソン様だ。そんな彼に振り向いて欲しくて、必死に努力してきたけれど、一向に振り向いてくれない。 どれどころか、最近では迷惑そうにあしらわれる始末。さらに同じ侯爵令嬢、ネリア様との婚約も、近々結ぶとの噂も… これはもうダメね、ここらが潮時なのかもしれない… そんな思いから彼を諦める事を決意したのだが… 5万文字ちょっとの短めのお話で、テンポも早めです。 よろしくお願いしますm(__)m

嫁ぎ先(予定)で虐げられている前世持ちの小国王女はやり返すことにした

基本二度寝
恋愛
小国王女のベスフェエラには前世の記憶があった。 その記憶が役立つ事はなかったけれど、考え方は王族としてはかなり柔軟であった。 身分の低い者を見下すこともしない。 母国では国民に人気のあった王女だった。 しかし、嫁ぎ先のこの国に嫁入りの準備期間としてやって来てから散々嫌がらせを受けた。 小国からやってきた王女を見下していた。 極めつけが、周辺諸国の要人を招待した夜会の日。 ベスフィエラに用意されたドレスはなかった。 いや、侍女は『そこにある』のだという。 なにもかけられていないハンガーを指差して。 ニヤニヤと笑う侍女を見て、ベスフィエラはカチンと来た。 「へぇ、あぁそう」 夜会に出席させたくない、王妃の嫌がらせだ。 今までなら大人しくしていたが、もう我慢を止めることにした。

王子妃教育に疲れたので幼馴染の王子との婚約解消をしました

さこの
恋愛
新年のパーティーで婚約破棄?の話が出る。 王子妃教育にも疲れてきていたので、婚約の解消を望むミレイユ 頑張っていても落第令嬢と呼ばれるのにも疲れた。 ゆるい設定です

完結 「愛が重い」と言われたので尽くすのを全部止めたところ

音爽(ネソウ)
恋愛
アルミロ・ルファーノ伯爵令息は身体が弱くいつも臥せっていた。財があっても自由がないと嘆く。 だが、そんな彼を幼少期から知る婚約者ニーナ・ガーナインは献身的につくした。 相思相愛で結ばれたはずが健気に尽くす彼女を疎ましく感じる相手。 どんな無茶な要望にも応えていたはずが裏切られることになる。

【完結】お飾りの妻からの挑戦状

おのまとぺ
恋愛
公爵家から王家へと嫁いできたデイジー・シャトワーズ。待ちに待った旦那様との顔合わせ、王太子セオドア・ハミルトンが放った言葉に立ち会った使用人たちの顔は強張った。 「君はお飾りの妻だ。装飾品として慎ましく生きろ」 しかし、当のデイジーは不躾な挨拶を笑顔で受け止める。二人のドタバタ生活は心配する周囲を巻き込んで、やがて誰も予想しなかった展開へ…… ◇表紙はノーコピーライトガール様より拝借しています ◇全18話で完結予定

処理中です...