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エリスは歩きながら木を風の魔法で切り倒して行った。
「さすがに少しは整地しないとね」
いくらフィールドアスレチックが自然の地形を生かしたものだと言っても、やはり限度というものがある。ある程度は自然に手を加えないと、安全面から言っても心許なくなって来る。
「あ、エリス様! 木の根っこは残して下さい!」
エリスが今度は土の魔法で木の根っこを引き抜こうとしたのをヒメが止める。
「どうして?」
「この木の切り株に座って休憩したり、食事を取ったりするのもフィールドアスレチックの醍醐味の一つなんですよ!」
ヒメが力説する。
「なるほど。そういうものなのね」
「確かに言われてみると雰囲気あるよね」
切り株に座りながらカイがそう言った。
「じゃあこのままにしておきましょうか」
やがて次のアトラクションを設置する場所に到着した。そこはちょっとした斜面になっている。
「カイ、この木とそっちの木にこの網を括り付けてくれる?」
「了解~」
カイはスルスルッと木に登って網を括り付けて行く。
「こんな感じかな?」
「ヒメ、どうかしら?」
ヒメは網を引っ張ったり足を掛けたりして、
「う~ん...強度は問題無いんですが、この網って漁業用のですよね?」
「そうだけど?」
「これだと網目が細か過ぎて手足の取っ掛かりが無いんですよ。これじゃあ登れません」
「あぁ、なるほど...じゃあどうすればいいの?」
「網はロープを粗い目で編んで作る必要がありますね。一つ一つの網目に子供の手足が引っ掛かるくらいの大きさにするんです」
「なるほどねぇ。それは特注するしかないわねぇ」
エリスは考え込んでしまった。そこでカイが提案する。
「大型の魔獣を捕獲するようなネットでいいなら、扱っている業者に心当たりあるよ」
「カイ、本当!?」
「あぁ、僕の故郷に近い村に、そういったものを扱っている店があるんだよ。今度行ってみる?」
「えぇ、是非!」
こうして網の件は保留になったまま、エリス達は次のアトラクション予定地へと向かった。
◇◇◇
「これは...結構深い谷だね...」
「えぇ、谷底が見えないわね...」
次のアトラクションは吊り橋である。
「いいですね! これぞフィールドアスレチックの醍醐味ってもんですよ!」
エリスとカイは若干引き気味だが、ヒメだけはノリノリである。
「それじゃあカイ、まずはこの木と対岸にある木にワイヤーロープを繋いでくれる?」
「ちょっと待って。着替えてくるよ」
そう言ってカイは物陰に引っ込んだ。
「クエッ!」
やがてカイは鳥の姿になって現れた。
「さすがに少しは整地しないとね」
いくらフィールドアスレチックが自然の地形を生かしたものだと言っても、やはり限度というものがある。ある程度は自然に手を加えないと、安全面から言っても心許なくなって来る。
「あ、エリス様! 木の根っこは残して下さい!」
エリスが今度は土の魔法で木の根っこを引き抜こうとしたのをヒメが止める。
「どうして?」
「この木の切り株に座って休憩したり、食事を取ったりするのもフィールドアスレチックの醍醐味の一つなんですよ!」
ヒメが力説する。
「なるほど。そういうものなのね」
「確かに言われてみると雰囲気あるよね」
切り株に座りながらカイがそう言った。
「じゃあこのままにしておきましょうか」
やがて次のアトラクションを設置する場所に到着した。そこはちょっとした斜面になっている。
「カイ、この木とそっちの木にこの網を括り付けてくれる?」
「了解~」
カイはスルスルッと木に登って網を括り付けて行く。
「こんな感じかな?」
「ヒメ、どうかしら?」
ヒメは網を引っ張ったり足を掛けたりして、
「う~ん...強度は問題無いんですが、この網って漁業用のですよね?」
「そうだけど?」
「これだと網目が細か過ぎて手足の取っ掛かりが無いんですよ。これじゃあ登れません」
「あぁ、なるほど...じゃあどうすればいいの?」
「網はロープを粗い目で編んで作る必要がありますね。一つ一つの網目に子供の手足が引っ掛かるくらいの大きさにするんです」
「なるほどねぇ。それは特注するしかないわねぇ」
エリスは考え込んでしまった。そこでカイが提案する。
「大型の魔獣を捕獲するようなネットでいいなら、扱っている業者に心当たりあるよ」
「カイ、本当!?」
「あぁ、僕の故郷に近い村に、そういったものを扱っている店があるんだよ。今度行ってみる?」
「えぇ、是非!」
こうして網の件は保留になったまま、エリス達は次のアトラクション予定地へと向かった。
◇◇◇
「これは...結構深い谷だね...」
「えぇ、谷底が見えないわね...」
次のアトラクションは吊り橋である。
「いいですね! これぞフィールドアスレチックの醍醐味ってもんですよ!」
エリスとカイは若干引き気味だが、ヒメだけはノリノリである。
「それじゃあカイ、まずはこの木と対岸にある木にワイヤーロープを繋いでくれる?」
「ちょっと待って。着替えてくるよ」
そう言ってカイは物陰に引っ込んだ。
「クエッ!」
やがてカイは鳥の姿になって現れた。
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