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 今日、エリスはヒメを連れて動物園の隣に併設予定の遊園地候補地に来ていた。

「ヒメに描いて貰った図案によると、フィールドアスレチックっていうのはなるべく自然を壊さないで、逆に自然の地形を上手く利用しながら造る施設なんだね?」 

「えぇ、そういうことになりますね」

「じゃあまず、木々はあまり切り倒さない方が良いのかな?」

「えぇ、このジップラインと呼ばれる遊具なんかは離れた木と木の間にワイヤーロープを張って、そこを滑車を使って滑り降りる物ですからね」

 そう言ってヒメは図案の1つを指差す。

「なるほど。子供達は喜びそうね」

「えぇ、きっと大はしゃぎですよ」

「こっちの絵は滑り台ね?」

 エリスが指差す図案には、通常サイズの滑り台より遥かにスケールの大きな滑り台の絵が描かれていた。

「はい、山の斜面を利用した滑り台です。子供の頃に体験した滑り台は、かなり高い所から滑り降りて来るんですが、台そのものに滑り止めが施してあって、スピードはそんなに出ないように工夫されていたんです」

「なるほど。危険が無いようにね?」

「えぇ、そうです。ただ、あんまり滑り止めを強くした結果、途中で止まっちゃって歩いて降りて来る子供達も何人か居ましたね」

 そう言ってヒメは苦笑した。

「アハハ、安全を優先し過ぎたのね」

 エリスも笑った。

「それとこれは網を登る遊具?」

 そう言ってエリスはまた別の図案を指差した。

「はい、それは近くにある木と木の間に網を張って、登る早さを競い会うみたいな感じですかね。もちろん他人のことは気にせず、自分のペースで登るのも全然有りなんですがね」

「なるほど。これも面白そうね」

 更に図案を捲るエリスの手が止まった。

「これは吊り橋?」

「あぁすいません。これは水場が無いと無理でした。私が子供の頃に行った場所には川や池や沼地があったんです。吊り橋の他にも桟橋があってそこで釣りをしたり、沼地に足場だけ造ってそこをピョンピョン飛んで渡る施設なんかがあったりしたんですよね」

「それも面白そうね。ただ水場かぁ...」

「えぇ、この辺りにはありませんものね」

「井戸を掘るくらいなら出来るけどね~」

「本格的な水場は無理ですよね~」

「まぁでも水場はともかく、かなり良い物が造れそうな予感がして来たよ。ヒメ、色々とありがとうね」

「いえいえ、このくらいなんでもありませんよ。またいつでもおっしゃって下さいね」

 エリスは遊園地候補地を見渡しながら、完成予想図を頭に描いていった。


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