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今日、エリスは例の農地改造予定地に来ていた。
先日約束していた通り、今日から農地改造に着手するのである。
「エリス様、お手伝いありがとうございます」
担当者が出迎えてくれた。彼の後ろには手に手にスコップやつるはしを持った人足達が50人ほど控えている。
「結構集まりましたね?」
「えぇ、みんな農地の拡張に期待しているんです」
「では期待に応えるためにも始めましょうか」
まずエリスは地図を見てから、
「東の区画から始めましょう」
そう言って土の魔法を全開にした。あっという間に木々が根本から倒れ、大きな岩が地面から露出した。
「おぉっ!」
集まった人足達から感嘆の声が上がる。
「木や岩は私のストレージに収納します。後は農地の耕しをお願いします」
「ありがとうございます! 了解致しました! おい、お前達! 何人かに分かれて農地を耕すんだ!」
「おうよっ!」
人足達が何人かのグループに分かれて作業を開始する。
「次は南の区画に行きましょうか」
「はい! お願いします!」
エリスは同じ要領で南、西、北と区画を整備して行った。
「フウッ...こんなところですかね」
「エリス様! お疲れ様でした!」
「はいこれ。成長促進剤を渡しておきます」
エリスはストレージからやや多目に出した。
「重ね重ねありがとうございます!」
「植える植物の種は大丈夫ですね?」
「はい! 抜かりはありません!」
「では後はお願いします。何か困ったことがあったらすぐ言って下さいね?」
「ありがとうございます!」
◇◇◇
後日、担当者からエリスに連絡があった。
「どうしました?」
「エリス様、度々申し訳ありません...実は近くの川から水を引くのに苦労しておりまして...」
「どのような?」
「土の質があまり良くなくて水量が不足しているんです...」
「あぁ、水が土に吸われちゃうんですか?」
「おっしゃる通りでございます...」
「分かりました。早速行きましょう」
◇◇◇
「エリス様、ここです」
「あぁ、なるほど。これは土を掘っただけなんですね?」
「はい、他に何か良い方法があるのでしょうか?」
「土を固める必要があるんですよ」
「土を固める...申し訳ありません...私はやり方が分かりません...」
「あぁ、私も魔法でやっちゃうんで実は良く分かってません。ただ他にも砂利を敷き詰めて水が土に吸収され難いようにするとか、色々やり方はあるみたいですけどね」
「なるほど...勉強になります」
「はい、終わりましたよ。これで水路の土は固くなったはずです」
「えっ!? い、いつの間に!?」
「話してる間にです」
事も無げにそう言ったエリスに、担当者は絶句するしかなかった。
先日約束していた通り、今日から農地改造に着手するのである。
「エリス様、お手伝いありがとうございます」
担当者が出迎えてくれた。彼の後ろには手に手にスコップやつるはしを持った人足達が50人ほど控えている。
「結構集まりましたね?」
「えぇ、みんな農地の拡張に期待しているんです」
「では期待に応えるためにも始めましょうか」
まずエリスは地図を見てから、
「東の区画から始めましょう」
そう言って土の魔法を全開にした。あっという間に木々が根本から倒れ、大きな岩が地面から露出した。
「おぉっ!」
集まった人足達から感嘆の声が上がる。
「木や岩は私のストレージに収納します。後は農地の耕しをお願いします」
「ありがとうございます! 了解致しました! おい、お前達! 何人かに分かれて農地を耕すんだ!」
「おうよっ!」
人足達が何人かのグループに分かれて作業を開始する。
「次は南の区画に行きましょうか」
「はい! お願いします!」
エリスは同じ要領で南、西、北と区画を整備して行った。
「フウッ...こんなところですかね」
「エリス様! お疲れ様でした!」
「はいこれ。成長促進剤を渡しておきます」
エリスはストレージからやや多目に出した。
「重ね重ねありがとうございます!」
「植える植物の種は大丈夫ですね?」
「はい! 抜かりはありません!」
「では後はお願いします。何か困ったことがあったらすぐ言って下さいね?」
「ありがとうございます!」
◇◇◇
後日、担当者からエリスに連絡があった。
「どうしました?」
「エリス様、度々申し訳ありません...実は近くの川から水を引くのに苦労しておりまして...」
「どのような?」
「土の質があまり良くなくて水量が不足しているんです...」
「あぁ、水が土に吸われちゃうんですか?」
「おっしゃる通りでございます...」
「分かりました。早速行きましょう」
◇◇◇
「エリス様、ここです」
「あぁ、なるほど。これは土を掘っただけなんですね?」
「はい、他に何か良い方法があるのでしょうか?」
「土を固める必要があるんですよ」
「土を固める...申し訳ありません...私はやり方が分かりません...」
「あぁ、私も魔法でやっちゃうんで実は良く分かってません。ただ他にも砂利を敷き詰めて水が土に吸収され難いようにするとか、色々やり方はあるみたいですけどね」
「なるほど...勉強になります」
「はい、終わりましたよ。これで水路の土は固くなったはずです」
「えっ!? い、いつの間に!?」
「話してる間にです」
事も無げにそう言ったエリスに、担当者は絶句するしかなかった。
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