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 公衆浴場の整備も終わり、職員達と別れたエリスとカイは、場所を教えて貰った製材所に向かった。

 切り倒した木材を卸すためだ。ストレージから次々と出てくる木材に、製材所の所員は目を丸くしていた。木材を卸し終わった後、次は現状を報告するために町長の所に向かった。

「たった1日か2日でホテルや公衆浴場、更にお土産物屋まで...いやはや、エリス様に関わると通常の感覚が麻痺してしまいますね」

 報告を受けた町長は、苦笑しながら言った。カイは隣でうんうんと頷いている。

「あははは、そろそろ慣れて下さいね」

 エリスは他人事みたいにそう言って笑った。

「さて公衆浴場ですが、街の人達は基本無料にします。ただ、それを公言してしまうと、観光客や旅行者から不満が出ると思うんです。なんで自分達はタダで温泉に入れないのかと。だからそれを防ぐ意味で、街の人達にはパスを配ろうと思います。そのパスがあれば無料で、無いなら有料で入って貰うという風にしたいと思ってます」

「なるほど、温泉に入りたいだけだという人達からもお金を取るということですね?」

「その通りです。温泉に入りたいけどホテルに泊まるお金は無い。そういう人達にもせめて温泉気分を味わって貰うために良心的な価格設定にします。更に希望があれば、年間パスという形で売り出しても良いと思ってます。有効期限は1年で、1度購入すれば何度でも入れるようにします。あぁもちろん、街の人達に配る分は永年ですよ」

「素晴らしいアイデアだと思います! 早速取り掛かりましょう!」

「ありがとうございます。あ、それと、今思い付いたんですが、1階の空いてるスペースにお土産物屋の出店を作っても良いかも知れませんね。街の人達もそこで買えるように」

「それ良いですね! 是非やりましょう!」

「ちなみにこの街の名物になりそうな食べ物って何がありますか? 果物や牧場で作る乳製品、山の幸を使った料理などはすぐに思い付いたんですが、それ以外で」

「そうですね...食べ物ではないんですが、ワインは名物になると思います」

「あぁ、果物の生産が盛んなら当然ですよね。他には?」

「まだ試作段階なんですが、ため池を利用して魚の養殖をしようと思ってます」

「そうなんですね。淡水魚だから鯉とかニジマスあたりでしょうか?」

「仰る通りです。目処が立てば魚料理を出せるようになります」

「海が遠いこの地において、魚を食べられるのは魅力ですね。是非成功させましょう。私に手伝えることがあれば何でも言って下さい」 

「ありがとうございます。実は養殖場の責任者から中々問題が解決しないと報告がありまして、どうしたら解決するか頭を悩ませているところなんです」

「そうなんですね。では私が見てみましょうか?」

「是非お願い致します」

「分かりました。場所を教えて下さい。そして明日伺うと連絡をお願いします」

「了解致しました」



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