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 嵐のような舞踏会が幕を閉じた。

 もっとも、誰一人として踊っていないので、あれが舞踏会と呼べるのかどうか...とにもかくにも、騒動は終わった。後は後始末を残すのみである。とんでもなく大変な後始末になりそうだが...

 翌日、話を聞いた国王と王妃は真っ青になった。寝ている場合ではないと国王は病を押して各方面の調整に乗り出し、王妃はプレスコット辺境伯の所まで直接謝りに赴いた。

 その甲斐あってか、どうにか内乱に発展する危機からは脱した。というより、元から各方面の有力者達にそんな気は無く、ロベルトにお灸を据えるのが目的だったことが判明した。

 騎士団も魔道騎士団も除隊を取り消し、元通りの任務に就いている。プレスコット辺境伯も普段通り過ごしている。それを聞いたルージュは、心の底から安堵したと共に、自分のためにここまでしてくれたことを感謝し、キンバリー侯爵、プレスコット辺境伯、マクダネル伯爵にそれぞれお礼状を認めた。
  
 ロベルトは廃嫡となった。代わりの王太子には国王の年の離れた弟、つまり王弟が就くことが発表された。ちなみに、まだ二十歳と若い王弟にはまだ婚約者すら居ない。

 廃嫡され平民に落とされたロベルトは、あれだけバカにしていたプレスコット辺境伯軍の最前線に送られることになったという。そこで生き残れるかどうかは彼の頑張り次第だが、ルージュはあの性格では厳しいだろうなと思っている。

 そしてマリアンヌはというと、

「マリアンヌ、お茶の温度が温い。入れ直し」

「は、はい! も、申し訳ございません! ルージュお嬢様!」

 ルージュの家で行儀見習いの修行を課せられていた。宣言通り、ルージュ自ら厳しく強いている。と、そこへ、

「お嬢様、お手紙です」

 執事が手紙を持って来た。手紙の封蝋を見たルージュが眉を顰める。

「ハァッ...そろそろ来る頃だと思ってたわ...」

「王家からですね?」

「えぇ、今度は王弟殿下の婚約者になれとか言って来たんでしょ。きっと王妃教育を終わらせた私を、このまま捨てるのは勿体ないとか思ってんのよね」

「ふざけた話ですな...人をバカにするにも程があります...」

 執事の怒りを受けながらルージュは手紙を開いた。内容はルージュが予想した通りである。

「お嬢様、どのように回答するおつもりですか?」

「そうね...まずは私を殺そうとしないこと。これを確約させてから話を聞きましょうか」

 そう言ってルージュはニヤリと笑った。


~ fin. ~
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