8 / 8
完
しおりを挟む
嵐のような舞踏会が幕を閉じた。
もっとも、誰一人として踊っていないので、あれが舞踏会と呼べるのかどうか...とにもかくにも、騒動は終わった。後は後始末を残すのみである。とんでもなく大変な後始末になりそうだが...
翌日、話を聞いた国王と王妃は真っ青になった。寝ている場合ではないと国王は病を押して各方面の調整に乗り出し、王妃はプレスコット辺境伯の所まで直接謝りに赴いた。
その甲斐あってか、どうにか内乱に発展する危機からは脱した。というより、元から各方面の有力者達にそんな気は無く、ロベルトにお灸を据えるのが目的だったことが判明した。
騎士団も魔道騎士団も除隊を取り消し、元通りの任務に就いている。プレスコット辺境伯も普段通り過ごしている。それを聞いたルージュは、心の底から安堵したと共に、自分のためにここまでしてくれたことを感謝し、キンバリー侯爵、プレスコット辺境伯、マクダネル伯爵にそれぞれお礼状を認めた。
ロベルトは廃嫡となった。代わりの王太子には国王の年の離れた弟、つまり王弟が就くことが発表された。ちなみに、まだ二十歳と若い王弟にはまだ婚約者すら居ない。
廃嫡され平民に落とされたロベルトは、あれだけバカにしていたプレスコット辺境伯軍の最前線に送られることになったという。そこで生き残れるかどうかは彼の頑張り次第だが、ルージュはあの性格では厳しいだろうなと思っている。
そしてマリアンヌはというと、
「マリアンヌ、お茶の温度が温い。入れ直し」
「は、はい! も、申し訳ございません! ルージュお嬢様!」
ルージュの家で行儀見習いの修行を課せられていた。宣言通り、ルージュ自ら厳しく強いている。と、そこへ、
「お嬢様、お手紙です」
執事が手紙を持って来た。手紙の封蝋を見たルージュが眉を顰める。
「ハァッ...そろそろ来る頃だと思ってたわ...」
「王家からですね?」
「えぇ、今度は王弟殿下の婚約者になれとか言って来たんでしょ。きっと王妃教育を終わらせた私を、このまま捨てるのは勿体ないとか思ってんのよね」
「ふざけた話ですな...人をバカにするにも程があります...」
執事の怒りを受けながらルージュは手紙を開いた。内容はルージュが予想した通りである。
「お嬢様、どのように回答するおつもりですか?」
「そうね...まずは私を殺そうとしないこと。これを確約させてから話を聞きましょうか」
そう言ってルージュはニヤリと笑った。
~ fin. ~
もっとも、誰一人として踊っていないので、あれが舞踏会と呼べるのかどうか...とにもかくにも、騒動は終わった。後は後始末を残すのみである。とんでもなく大変な後始末になりそうだが...
翌日、話を聞いた国王と王妃は真っ青になった。寝ている場合ではないと国王は病を押して各方面の調整に乗り出し、王妃はプレスコット辺境伯の所まで直接謝りに赴いた。
その甲斐あってか、どうにか内乱に発展する危機からは脱した。というより、元から各方面の有力者達にそんな気は無く、ロベルトにお灸を据えるのが目的だったことが判明した。
騎士団も魔道騎士団も除隊を取り消し、元通りの任務に就いている。プレスコット辺境伯も普段通り過ごしている。それを聞いたルージュは、心の底から安堵したと共に、自分のためにここまでしてくれたことを感謝し、キンバリー侯爵、プレスコット辺境伯、マクダネル伯爵にそれぞれお礼状を認めた。
ロベルトは廃嫡となった。代わりの王太子には国王の年の離れた弟、つまり王弟が就くことが発表された。ちなみに、まだ二十歳と若い王弟にはまだ婚約者すら居ない。
廃嫡され平民に落とされたロベルトは、あれだけバカにしていたプレスコット辺境伯軍の最前線に送られることになったという。そこで生き残れるかどうかは彼の頑張り次第だが、ルージュはあの性格では厳しいだろうなと思っている。
そしてマリアンヌはというと、
「マリアンヌ、お茶の温度が温い。入れ直し」
「は、はい! も、申し訳ございません! ルージュお嬢様!」
ルージュの家で行儀見習いの修行を課せられていた。宣言通り、ルージュ自ら厳しく強いている。と、そこへ、
「お嬢様、お手紙です」
執事が手紙を持って来た。手紙の封蝋を見たルージュが眉を顰める。
「ハァッ...そろそろ来る頃だと思ってたわ...」
「王家からですね?」
「えぇ、今度は王弟殿下の婚約者になれとか言って来たんでしょ。きっと王妃教育を終わらせた私を、このまま捨てるのは勿体ないとか思ってんのよね」
「ふざけた話ですな...人をバカにするにも程があります...」
執事の怒りを受けながらルージュは手紙を開いた。内容はルージュが予想した通りである。
「お嬢様、どのように回答するおつもりですか?」
「そうね...まずは私を殺そうとしないこと。これを確約させてから話を聞きましょうか」
そう言ってルージュはニヤリと笑った。
~ fin. ~
47
お気に入りに追加
1,571
この作品は感想を受け付けておりません。
あなたにおすすめの小説
父が転勤中に突如現れた継母子に婚約者も家も王家!?も乗っ取られそうになったので、屋敷ごとさよならすることにしました。どうぞご勝手に。
青の雀
恋愛
何でも欲しがり屋の自称病弱な義妹は、公爵家当主の座も王子様の婚約者も狙う。と似たような話になる予定。ちょっと、違うけど、発想は同じ。
公爵令嬢のジュリアスティは、幼い時から精霊の申し子で、聖女様ではないか?と噂があった令嬢。
父が長期出張中に、なぜか新しい後妻と連れ子の娘が転がり込んできたのだ。
そして、継母と義姉妹はやりたい放題をして、王子様からも婚約破棄されてしまいます。
3人がお出かけした隙に、屋根裏部屋に閉じ込められたジュリアスティは、精霊の手を借り、使用人と屋敷ごと家出を試みます。
長期出張中の父の赴任先に、無事着くと聖女覚醒して、他国の王子様と幸せになるという話ができれば、イイなぁと思って書き始めます。
巻き戻される運命 ~私は王太子妃になり誰かに突き落とされ死んだ、そうしたら何故か三歳の子どもに戻っていた~
アキナヌカ
恋愛
私(わたくし)レティ・アマンド・アルメニアはこの国の第一王子と結婚した、でも彼は私のことを愛さずに仕事だけを押しつけた。そうして私は形だけの王太子妃になり、やがて側室の誰かにバルコニーから突き落とされて死んだ。でも、気がついたら私は三歳の子どもに戻っていた。
完結 お貴族様、彼方の家の非常識など知りません。
音爽(ネソウ)
恋愛
身分を笠に好き勝手する貴族たち、そんな状況を民が許すわけがなかった。
時代が変わりかけたそんな時の話。
アンブラ男爵家はとにかく見栄を張りたがる、そうして膨れ上がった借金を押し付けようと、最近頭角を現したソランズ商会に目を付けた。
「そうはいきません、貴方方の作った負債はご自分で!」
気の強いエミリアは大人しく嫁に行くものかと抗うのだ。
お認めください、あなたは彼に選ばれなかったのです
めぐめぐ
恋愛
騎士である夫アルバートは、幼馴染みであり上官であるレナータにいつも呼び出され、妻であるナディアはあまり夫婦の時間がとれていなかった。
さらにレナータは、王命で結婚したナディアとアルバートを可哀想だと言い、自分と夫がどれだけ一緒にいたか、ナディアの知らない小さい頃の彼を知っているかなどを自慢げに話してくる。
しかしナディアは全く気にしていなかった。
何故なら、どれだけアルバートがレナータに呼び出されても、必ず彼はナディアの元に戻ってくるのだから――
偽物サバサバ女が、ちょっと天然な本物のサバサバ女にやられる話。
※頭からっぽで
※思いつきで書き始めたので、つたない設定等はご容赦ください。
※夫婦仲は良いです
※私がイメージするサバ女子です(笑)
【完結】婚約破棄された聖女はもう祈れない 〜妹こそ聖女に相応しいと追放された私は隣国の王太子に拾われる
冬月光輝
恋愛
聖女リルア・サウシールは聖地を領地として代々守っている公爵家の嫡男ミゲルと婚約していた。
リルアは教会で神具を用いて祈りを捧げ結界を張っていたのだが、ある日神具がミゲルによって破壊されてしまう。
ミゲルに策謀に嵌り神具を破壊した罪をなすりつけられたリルアは婚約破棄され、隣国の山中に追放処分を受けた。
ミゲルはずっとリルアの妹であるマリアを愛しており、思惑通りマリアが新たな聖女となったが……、結界は破壊されたままで獰猛になった魔物たちは遠慮なく聖地を荒らすようになってしまった。
一方、祈ることが出来なくなった聖女リルアは結界の維持に使っていた魔力の負担が無くなり、規格外の魔力を有するようになる。
「リルア殿には神子クラスの魔力がある。ぜひ、我が国の宮廷魔道士として腕を振るってくれないか」
偶然、彼女の力を目の当たりにした隣国の王太子サイラスはリルアを自らの国の王宮に招き、彼女は新たな人生を歩むことになった。
婚約破棄は、婚約できてからの話です。
白雪なこ
恋愛
学園の中庭で繰り広げられる婚約破棄騒動。
婚約破棄してみたいブームに乗り、遊ぶ学生たち。
でも、そこにはマジで破棄する気の者も混ざったりして。そんなブームも騒ぎも他人事だと思っていた少女が、婚約破棄されてしまい?
*外部サイトにも掲載しています。
【完結】第三王子殿下とは知らずに無礼を働いた婚約者は、もう終わりかもしれませんね
白草まる
恋愛
パーティーに参加したというのに婚約者のドミニクに放置され壁の花になっていた公爵令嬢エレオノーレ。
そこに普段社交の場に顔を出さない第三王子コンスタンティンが話しかけてきた。
それを見たドミニクがコンスタンティンに無礼なことを言ってしまった。
ドミニクはコンスタンティンの身分を知らなかったのだ。
婚約者に嫌われているようなので離れてみたら、なぜか抗議されました
花々
恋愛
メリアム侯爵家の令嬢クラリッサは、婚約者である公爵家のライアンから蔑まれている。
クラリッサは「お前の目は醜い」というライアンの言葉を鵜呑みにし、いつも前髪で顔を隠しながら過ごしていた。
そんなある日、クラリッサは王家主催のパーティーに参加する。
いつも通りクラリッサをほったらかしてほかの参加者と談笑しているライアンから離れて廊下に出たところ、見知らぬ青年がうずくまっているのを見つける。クラリッサが心配して介抱すると、青年からいたく感謝される。
数日後、クラリッサの元になぜか王家からの使者がやってきて……。
✴︎感想誠にありがとうございます❗️
✴︎(承認不要の方)ご指摘ありがとうございます。第一王子のミスでした💦
✴︎ヒロインの実家は侯爵家です。誤字失礼しました😵
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる