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ルージュは後悔していた。
ロベルトのためを思って、あれこれと口喧しくアドバイスしていたことが全て裏目に出るなんて...
ロベルトは国王と王妃の一人息子であり唯一の子でもある。元々体の弱かった王妃は、ロベルト以降子を成せず、そんな王妃を溺愛していた国王は側妃を娶らなかった。
そのため、国王と王妃は一粒種であるロベルトを殊の外可愛がった。おもいっきり甘やかして育ててしまった。
ルージュはそんなロベルトの婚約者という名のお目付け役として選ばれたのだが、とにかくロベルトは酷かった。
王族の教育から逃げまくる。騎士の訓練はサボりまくる。学園に通っている時はズル休みしまくる。ルージュがいくら言って聞かせても改善されなかった。自主的に励むのは女遊びだけ。
それでもルージュは、どれだけ邪険にされても婚約者として、お目付け役として寄り添っていたつもりだった。そんなルージュの奮闘空しく、ロベルトはこんな蛮行に出てしまった訳だが...
このままでは最低最悪な暴君になってしまう。何とか止めようとルージュが口を開き掛けた時だった。
「殿下、発言してもよろしいですかな?」
「誰だ貴様は!?」
「...騎士団長のキンバリー侯爵閣下です...」
まさか自分の所の騎士団長の顔すら知らなかったのか...頭を抱えたルージュに更なる衝撃が襲う。
「...侯爵って偉いのか?...」
あろうことか男爵令嬢であるマリアンヌにコッソリ尋ねているではないか! まさかまさか爵位の序列さえ頭に入っていないのでは!? ルージュは呆然としてしまった。
「...えっと確か...公爵の下です?」
マリアンヌもマリアンヌでなんで疑問形なんだか...似た者同士の二人である...
「そ、そうか! あの小生意気なルージュより下なんだな!」
急に勢い付いたロベルトは偉そうに宣った。
「フンッ! 侯爵風情が! 何の用か知らぬが、寛大な俺様が発言を許してやる! さっさと申せ!」
「ハハッ! ありがたきお言葉...まずは殿下、此度の件に関しまして国王陛下はご存知なのでしょうか?」
「父上は知らぬ! 病床にある故こんな些事は耳に入れることもなかろう!」
「...無実の公爵令嬢を処刑しようとすることが些事ですか...」
「そうだ! 俺様が許可したんだから問題あるまい! その方、騎士団長だったな!? ちょうどいい! この女を捕縛せよ!」
そう言ってロベルトはルージュを指差すが、
「お断り致します」
キンバリー侯爵は毅然としてそう言い放った。
ロベルトのためを思って、あれこれと口喧しくアドバイスしていたことが全て裏目に出るなんて...
ロベルトは国王と王妃の一人息子であり唯一の子でもある。元々体の弱かった王妃は、ロベルト以降子を成せず、そんな王妃を溺愛していた国王は側妃を娶らなかった。
そのため、国王と王妃は一粒種であるロベルトを殊の外可愛がった。おもいっきり甘やかして育ててしまった。
ルージュはそんなロベルトの婚約者という名のお目付け役として選ばれたのだが、とにかくロベルトは酷かった。
王族の教育から逃げまくる。騎士の訓練はサボりまくる。学園に通っている時はズル休みしまくる。ルージュがいくら言って聞かせても改善されなかった。自主的に励むのは女遊びだけ。
それでもルージュは、どれだけ邪険にされても婚約者として、お目付け役として寄り添っていたつもりだった。そんなルージュの奮闘空しく、ロベルトはこんな蛮行に出てしまった訳だが...
このままでは最低最悪な暴君になってしまう。何とか止めようとルージュが口を開き掛けた時だった。
「殿下、発言してもよろしいですかな?」
「誰だ貴様は!?」
「...騎士団長のキンバリー侯爵閣下です...」
まさか自分の所の騎士団長の顔すら知らなかったのか...頭を抱えたルージュに更なる衝撃が襲う。
「...侯爵って偉いのか?...」
あろうことか男爵令嬢であるマリアンヌにコッソリ尋ねているではないか! まさかまさか爵位の序列さえ頭に入っていないのでは!? ルージュは呆然としてしまった。
「...えっと確か...公爵の下です?」
マリアンヌもマリアンヌでなんで疑問形なんだか...似た者同士の二人である...
「そ、そうか! あの小生意気なルージュより下なんだな!」
急に勢い付いたロベルトは偉そうに宣った。
「フンッ! 侯爵風情が! 何の用か知らぬが、寛大な俺様が発言を許してやる! さっさと申せ!」
「ハハッ! ありがたきお言葉...まずは殿下、此度の件に関しまして国王陛下はご存知なのでしょうか?」
「父上は知らぬ! 病床にある故こんな些事は耳に入れることもなかろう!」
「...無実の公爵令嬢を処刑しようとすることが些事ですか...」
「そうだ! 俺様が許可したんだから問題あるまい! その方、騎士団長だったな!? ちょうどいい! この女を捕縛せよ!」
そう言ってロベルトはルージュを指差すが、
「お断り致します」
キンバリー侯爵は毅然としてそう言い放った。
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