上 下
22 / 28

第22話

しおりを挟む
 一週間後、いつもの会議室にいつものメンバーが集まっていた。

 皆一様に疲れた顔をしている。

「フウ...皆さん、お忙しい中お集まり頂きありがとうございます...」

 アズミが元気無く切り出す。

「さて...あのクサレ王女を始末する方法ですが、誰か何か良い案はありませんか?」

「あ、アズミ! 言葉には気を付けて...」

 ハインツは慌てた。誰がどこで聞いているか分からない。国際問題に成りかねない発言は不味い。

「あぁ、失礼しました...ちょっとやさぐれていたもので...まずはカズミ、何か分かったことはあった?」

「はい。これは正式に発表された訳ではなく、あくまでも噂なんですが、あのビッチ王女が海洋諸国連合に留学していた目的は、勉強よりも寧ろ婿探しがメインだったようなんです」

「か、カズミ! 言葉遣い!」

 マインツが慌てて嗜める。カズミは知らん顔している。

「婿探し? それで上手く行ったの?...って聞くまでもないか。失敗したから今度は我が国に来たってところなのね?」

「はい、恐らくですが」

「それでターゲットロックオンされたのがワインツ様と。ナズミ、どうだった? 大丈夫だった?」

「は~い、ちゃんとあのメス犬王女の毒牙からワインツ様をお守りしましたよ~」

「な、ナズミ! それはいくらなんでも...」

 ワインツが慌てて宥める。ナズミは聞こえなかったフリをする。

「そう、良かったわ」

「ただですね~ あの王女様、去り際にちょおうっと気になることをホザいてたんですよね~」

「どんな?」

「ん~とぉ...確か『アンタ達が幸せになってアタシだけが不幸になるなんて許さないわぁ!』とかなんとか~」

「な、なによそれ! 完全な逆恨みもいいとこじゃないのよ! あんの売女王女め!」

 タズミが激昂した。今にも飛び出して行きそうだ。

「た、タズミ! お、落ち着いて...」

 ラインツが慌てて止める。

 カチャカチャ...カチャカチャ...

「あ、あの...アズミさん!? な、なんで急に銃の手入れを始めたんですかね...ってかその銃どうしたの!?」

 ハインツは恐る恐る尋ねる。

「あら? デリンジャーを携行するのは淑女の嗜みでしてよ?」

 アズミがシレッとそんなことを言う。絶対ウソだと思ったがハインツは怖くて何も言えなかった。

 カシャン...カシャン

「さ、サズミ!? レミントンはいくらなんでも不味い! 一体どこから出したんだ!?」

「ヤインツ様ったら。レミントンは乙女の嗜み」

「んな訳あるかぁ!」

 もう収拾がつかなくなって来た...
 


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

攻略対象の王子様は放置されました

白生荼汰
恋愛
……前回と違う。 お茶会で公爵令嬢の不在に、前回と前世を思い出した王子様。 今回の公爵令嬢は、どうも婚約を避けたい様子だ。 小説家になろうにも投稿してます。

愛人契約は双方にメリットを

しがついつか
恋愛
親の勝手により愛する者と引き裂かれ、政略結婚を強いられる者達。 不本意なことに婚約者となった男には結婚を約束した恋人がいた。 そんな彼にロラは提案した。 「私を書類上の妻として迎え入れ、彼女を愛人になさるおつもりはございませんか?」

逆行令嬢は聖女を辞退します

仲室日月奈
恋愛
――ああ、神様。もしも生まれ変わるなら、人並みの幸せを。 死ぬ間際に転生後の望みを心の中でつぶやき、倒れた後。目を開けると、三年前の自室にいました。しかも、今日は神殿から一行がやってきて「聖女としてお出迎え」する日ですって? 聖女なんてお断りです!

訳あって隣国の王太子の妃となりました

天災
恋愛
 訳あって隣国の王太子の妃となりました。

宮廷外交官の天才令嬢、王子に愛想をつかれて婚約破棄されたあげく、実家まで追放されてケダモノ男爵に読み書きを教えることになりました

悠木真帆
恋愛
子爵令嬢のシャルティナ・ルーリックは宮廷外交官として日々忙しくはたらく毎日。 クールな見た目と頭の回転の速さからついたあだ名は氷の令嬢。 婚約者である王子カイル・ドルトラードを長らくほったらかしてしまうほど仕事に没頭していた。 そんなある日の夜会でシャルティナは王子から婚約破棄を宣言されてしまう。 そしてそのとなりには見知らぬ令嬢が⋯⋯ 王子の婚約者ではなくなった途端、シャルティナは宮廷外交官の立場まで失い、見かねた父の強引な勧めで冒険者あがりの男爵のところへ行くことになる。 シャルティナは宮廷外交官の実績を活かして辣腕を振るおうと張り切るが、男爵から命じられた任務は男爵に文字の読み書きを教えることだった⋯⋯

断罪シーンを自分の夢だと思った悪役令嬢はヒロインに成り代わるべく画策する。

メカ喜楽直人
恋愛
さっきまでやってた18禁乙女ゲームの断罪シーンを夢に見てるっぽい? 「アルテシア・シンクレア公爵令嬢、私はお前との婚約を破棄する。このまま修道院に向かい、これまで自分がやってきた行いを深く考え、その罪を贖う一生を終えるがいい!」 冷たい床に顔を押し付けられた屈辱と、両肩を押さえつけられた痛み。 そして、ちらりと顔を上げれば金髪碧眼のザ王子様なキンキラ衣装を身に着けたイケメンが、聞き覚えのある名前を呼んで、婚約破棄を告げているところだった。 自分が夢の中で悪役令嬢になっていることに気が付いた私は、逆ハーに成功したらしい愛され系ヒロインに対抗して自分がヒロインポジを奪い取るべく行動を開始した。

【完結】転生地味悪役令嬢は婚約者と男好きヒロイン諸共無視しまくる。

なーさ
恋愛
アイドルオタクの地味女子 水上羽月はある日推しが轢かれそうになるのを助けて死んでしまう。そのことを不憫に思った女神が「あなた、可哀想だから転生!」「え?」なんの因果か異世界に転生してしまう!転生したのは地味な公爵令嬢レフカ・エミリーだった。目が覚めると私の周りを大人が囲っていた。婚約者の第一王子も男好きヒロインも無視します!今世はうーん小説にでも生きようかな〜と思ったらあれ?あの人は前世の推しでは!?地味令嬢のエミリーが知らず知らずのうちに戦ったり溺愛されたりするお話。 本当に駄文です。そんなものでも読んでお気に入り登録していただけたら嬉しいです!

(完結)可愛いだけの妹がすべてを奪っていく時、最期の雨が降る(全5話)

青空一夏
恋愛
可愛いだけの妹が、全てを奪っていく時、私はその全てを余すところなく奪わせた。 妹よ・・・貴女は知らない・・・最期の雨が貴女に降ることを・・・ 暗い、シリアスなお話です。ざまぁありですが、ヒロインがするわけではありません。残酷と感じるかどうかは人によるので、わかりませんが、残酷描写シーンはありません。最期はハッピーエンドで、ほのぼのと終わります。 全5話

処理中です...