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その日、最後の授業は体育だった。
「今日は持久走を行う。男子は10km、女子は5km、終わった者から帰っていいぞ」
体育教師のその言葉に全員が「ウェ~!」ってなった。かくいう私もその一人で、持久走は前世の頃から大の苦手だ。当然ビリッけつになり、ほうほうの体で更衣室に戻ると、既に誰も居なかった。
カトリーナ王女を待たせてはいけないと、急いで着替えようとした時だった。
「あっ!? 痛っ!?」
右の頬に激痛が走った。触ると血が滲み出ているのが分かった。何が起こったのか分からず辺りを見回すと、いつの間にそこに居たのかエレノアが乗馬用の鞭を片手に顔を歪めて嗤っていた。
「ご機嫌よう、薄汚い平民さん。痛い? ねぇ痛い? 痛いでしょう? もっと痛くしてあけるわ。躾のなっていないメス犬はしっかり調教してやらないとね!」
そう言って次は左の頬を鞭で打った。再び激痛が走る。私は堪らず逃げ出そうとした。だが...
「レイチェル! 逃がしちゃダメよ!」
もう一人居たのか! しかもここで大富豪子息ルートの悪役令嬢レイチェルの出番かよ! 私は後ろに回られたレイチェルに羽交い締めされてしまった。
「フフフッ、良い気味ね。今こそ私が味わった屈辱をたっぷりと晴らさせて貰うわ!」
そう言って鞭を振るおうとするエレノアに、どうしても言っておきたかったことがあったので、思わず私は叫んでいた。
「エレノア様! 聞いて下さい! 全部誤解なんです! 私はマリク殿下のことを」
「お黙り! 言い訳なんか聞きたくないわ!」
私の言葉は届かないようだ...途中で遮られてしまった...
「あんたが居なければ私はとっくにマリク様の婚約者になっていたのよ! それなのに! マリク様はあんたに夢中で私のことなんか振り向きもしない! しかもなに!? 今度は王女殿下まであんたに構うようになるなんて! あんた何様のつもりよ! 憎い! 憎い! 憎い~! あんたが憎い~! あんたなんかこうしてやる!」
そこからはもう酷いものだった。上から下まで満遍なく鞭で打たれた。服は裂けあちこちから出血し、目に当たったのか視界がボヤけてきた。口の中を切ったのか血の味がする。
意識が何度も飛びそうになったが、歯を食い縛って耐える。きっとチャンスは来るはすだ。それを只管待つ!
「ハァハァ...どう? 少しは思い知ったかしら? でもまだよ? これからあんたを裸にひん剥いて外に放り出してあげるわ。赤っ恥掻きなさい。嫁の貰い手がなくなるくらいにね。オーッホホホッ!」
良し! チャンスがやって来た! エレノアが服を脱がそうと私に近付いて来た時が狙い目! 私はじっと待つ。あともう少し...
今だ! 私は後ろに体重を傾けて右足をおもいっきり振り上げる! パンツ丸見えになるけど女子しか居ないから問題無し! 足はエレノアの顎に見事クリーンヒットした!
「かふっ!」
エレノアが後ろにふっ飛んだ! 次はレイチェルだ! 私はレイチェルの足を思い切り踏んづける。
「ぴぎゃ!」
拘束が緩んだ隙に羽交い締めから抜けだし、おもいっきりぶん殴る!
「くたばれっ!」
レイチェルがふっ飛んでった!
終わった! 私は急いで更衣室から出ようとした。が...
「あ、開かない!? 外から鍵が掛かってる!?」
「よくもやってくれたわね...」
背後からエレノアの呪詛にまみれた声が聞こえた。
私は絶望を味わっていた...
「今日は持久走を行う。男子は10km、女子は5km、終わった者から帰っていいぞ」
体育教師のその言葉に全員が「ウェ~!」ってなった。かくいう私もその一人で、持久走は前世の頃から大の苦手だ。当然ビリッけつになり、ほうほうの体で更衣室に戻ると、既に誰も居なかった。
カトリーナ王女を待たせてはいけないと、急いで着替えようとした時だった。
「あっ!? 痛っ!?」
右の頬に激痛が走った。触ると血が滲み出ているのが分かった。何が起こったのか分からず辺りを見回すと、いつの間にそこに居たのかエレノアが乗馬用の鞭を片手に顔を歪めて嗤っていた。
「ご機嫌よう、薄汚い平民さん。痛い? ねぇ痛い? 痛いでしょう? もっと痛くしてあけるわ。躾のなっていないメス犬はしっかり調教してやらないとね!」
そう言って次は左の頬を鞭で打った。再び激痛が走る。私は堪らず逃げ出そうとした。だが...
「レイチェル! 逃がしちゃダメよ!」
もう一人居たのか! しかもここで大富豪子息ルートの悪役令嬢レイチェルの出番かよ! 私は後ろに回られたレイチェルに羽交い締めされてしまった。
「フフフッ、良い気味ね。今こそ私が味わった屈辱をたっぷりと晴らさせて貰うわ!」
そう言って鞭を振るおうとするエレノアに、どうしても言っておきたかったことがあったので、思わず私は叫んでいた。
「エレノア様! 聞いて下さい! 全部誤解なんです! 私はマリク殿下のことを」
「お黙り! 言い訳なんか聞きたくないわ!」
私の言葉は届かないようだ...途中で遮られてしまった...
「あんたが居なければ私はとっくにマリク様の婚約者になっていたのよ! それなのに! マリク様はあんたに夢中で私のことなんか振り向きもしない! しかもなに!? 今度は王女殿下まであんたに構うようになるなんて! あんた何様のつもりよ! 憎い! 憎い! 憎い~! あんたが憎い~! あんたなんかこうしてやる!」
そこからはもう酷いものだった。上から下まで満遍なく鞭で打たれた。服は裂けあちこちから出血し、目に当たったのか視界がボヤけてきた。口の中を切ったのか血の味がする。
意識が何度も飛びそうになったが、歯を食い縛って耐える。きっとチャンスは来るはすだ。それを只管待つ!
「ハァハァ...どう? 少しは思い知ったかしら? でもまだよ? これからあんたを裸にひん剥いて外に放り出してあげるわ。赤っ恥掻きなさい。嫁の貰い手がなくなるくらいにね。オーッホホホッ!」
良し! チャンスがやって来た! エレノアが服を脱がそうと私に近付いて来た時が狙い目! 私はじっと待つ。あともう少し...
今だ! 私は後ろに体重を傾けて右足をおもいっきり振り上げる! パンツ丸見えになるけど女子しか居ないから問題無し! 足はエレノアの顎に見事クリーンヒットした!
「かふっ!」
エレノアが後ろにふっ飛んだ! 次はレイチェルだ! 私はレイチェルの足を思い切り踏んづける。
「ぴぎゃ!」
拘束が緩んだ隙に羽交い締めから抜けだし、おもいっきりぶん殴る!
「くたばれっ!」
レイチェルがふっ飛んでった!
終わった! 私は急いで更衣室から出ようとした。が...
「あ、開かない!? 外から鍵が掛かってる!?」
「よくもやってくれたわね...」
背後からエレノアの呪詛にまみれた声が聞こえた。
私は絶望を味わっていた...
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