嘘吐きな妹と彼の病弱な義妹そして腹黒い幼馴染みに悪役令嬢と呼ばれる私、実は心の声が聞こえる聖女です

真理亜

文字の大きさ
上 下
80 / 83

80

しおりを挟む
 翌日、やっと熱が下がった私は学園に行った後、放課後になってから神殿に顔を出した。

「聖女様っ!」

「わぷっ!」

 いきなりマリーがタックルするように抱き付いて来た。

「も、申し訳ありません! わ、私のせいで!」

 泣きじゃくるマリーを必死に宥める。

「落ち着きなさい。マリーのせいなんかじゃないんだから。風邪を引いたのは私の修行不足よ。もう元気になったんだから気にするのは止めなさい」

「でもでも~!」

「そんなことより、レイとアミはどこ行ったの?」

「あ、はい。お二人は今度行く巡礼の旅の打ち合わせに行ってます」

「あぁ、そろそろだったわね」

 そこで私は考える。

「ねぇ、マリー。あなたも一緒に行ってみない?」

「えぇっ!? わ、私ですか!?」

「えぇ、あなたも経験しといて損は無いと思うのよ。どうかしら?」

「そ、そんな...わ、私なんか本当に良いんでしょうか...」

「マリー、以後『なんか』って言うのは禁句ね。私はあなたなら良いと思って言ってるんだからね。良く覚えておきなさい?」

「は、はい...すいません...」

「そこは謝る所じゃないわよ?」

「あ、はい...ありがとうございます...」

「ん、よろしい。じゃあ打ち合わせに参加するわよ? 付いていらっしゃい」

「は、はい! よ、よろしくお願いします!」

 こうしてマリー初めての巡礼の旅がスタートした。


◇◇◇


「マリー、挨拶はしっかりハッキリ元気良くね」

「は、はい!」

「部屋はレイとアミと同室だから。あなた達、ちゃんと面倒見るように」 

「「 分かりました! 」」

 今回の巡礼の旅は、王都から馬車で約2日掛かる侯爵領となる。旅の間にマリーには、レイやアミと更に絆を深めて欲しい。

 思えばレイとアミの仲がまだギクシャクしている時も、この手を使って上手く行ったっけ。やっぱり旅は道連れ世は情けだよね。

「聖女様、ようこそおいで頂きました」

「侯爵様、お世話になります」

 侯爵領に着いて私達は挨拶を交わす。順調に進んで行って最後マリーの番になった。

「ま、マリーと申しまふ! よ、よろしくお願い致しまひゅ!」

 盛大に噛んでたけど、ちゃんと声を張っていたから良しとしよう。計算でやってたとしたらあざといけど、まぁ本人にそんな自覚はなく単に天然なだけだと思う。

 私達は侯爵家の屋敷に案内されて家族の紹介を受ける。

「こちらは我が家の息子達です。聖女様方がご滞在中はこの愚息どもが案内をしますので、どうぞお見知り置きの程を」

 これはこれはまた、三人も息子が居てそれがレイやアミ、マリーと大体同年代とは。

 こんな偶然もあるもんなんだね。
 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】「私は善意に殺された」

まほりろ
恋愛
筆頭公爵家の娘である私が、母親は身分が低い王太子殿下の後ろ盾になるため、彼の婚約者になるのは自然な流れだった。 誰もが私が王太子妃になると信じて疑わなかった。 私も殿下と婚約してから一度も、彼との結婚を疑ったことはない。 だが殿下が病に倒れ、その治療のため異世界から聖女が召喚され二人が愛し合ったことで……全ての運命が狂い出す。 どなたにも悪意はなかった……私が不運な星の下に生まれた……ただそれだけ。 ※無断転載を禁止します。 ※朗読動画の無断配信も禁止します。 ※他サイトにも投稿中。 ※表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。 「Copyright(C)2022-九頭竜坂まほろん」 ※小説家になろうにて2022年11月19日昼、日間異世界恋愛ランキング38位、総合59位まで上がった作品です!

【完結】お飾り妃〜寵愛は聖女様のモノ〜

恋愛
今日、私はお飾りの妃となります。 ※実際の慣習等とは異なる場合があり、あくまでこの世界観での要素もございますので御了承ください。

絶対に間違えないから

mahiro
恋愛
あれは事故だった。 けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。 だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。 何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。 どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。 私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。

悪役断罪?そもそも何かしましたか?

SHIN
恋愛
明日から王城に最終王妃教育のために登城する、懇談会パーティーに参加中の私の目の前では多人数の男性に囲まれてちやほやされている少女がいた。 男性はたしか婚約者がいたり妻がいたりするのだけど、良いのかしら。 あら、あそこに居ますのは第二王子では、ないですか。 えっ、婚約破棄?別に構いませんが、怒られますよ。 勘違い王子と企み少女に巻き込まれたある少女の話し。

婚約破棄された私は、処刑台へ送られるそうです

秋月乃衣
恋愛
ある日システィーナは婚約者であるイデオンの王子クロードから、王宮敷地内に存在する聖堂へと呼び出される。 そこで聖女への非道な行いを咎められ、婚約破棄を言い渡された挙句投獄されることとなる。 いわれの無い罪を否定する機会すら与えられず、寒く冷たい牢の中で断頭台に登るその時を待つシスティーナだったが── 他サイト様でも掲載しております。

将来を誓い合った王子様は聖女と結ばれるそうです

きぬがやあきら
恋愛
「聖女になれなかったなりそこない。こんなところまで追って来るとはな。そんなに俺を忘れられないなら、一度くらい抱いてやろうか?」 5歳のオリヴィエは、神殿で出会ったアルディアの皇太子、ルーカスと恋に落ちた。アルディア王国では、皇太子が代々聖女を妻に迎える慣わしだ。しかし、13歳の選別式を迎えたオリヴィエは、聖女を落選してしまった。 その上盲目の知恵者オルガノに、若くして命を落とすと予言されたオリヴィエは、せめてルーカスの傍にいたいと、ルーカスが団長を務める聖騎士への道へと足を踏み入れる。しかし、やっとの思いで再開したルーカスは、昔の約束を忘れてしまったのではと錯覚するほど冷たい対応で――?

婚約破棄された聖女は、愛する恋人との思い出を消すことにした。

石河 翠
恋愛
婚約者である王太子に興味がないと評判の聖女ダナは、冷たい女との結婚は無理だと婚約破棄されてしまう。国外追放となった彼女を助けたのは、美貌の魔術師サリバンだった。 やがて恋人同士になった二人。ある夜、改まったサリバンに呼び出され求婚かと期待したが、彼はダナに自分の願いを叶えてほしいと言ってきた。彼は、ダナが大事な思い出と引き換えに願いを叶えることができる聖女だと知っていたのだ。 失望したダナは思い出を捨てるためにサリバンの願いを叶えることにする。ところがサリバンの願いの内容を知った彼女は彼を幸せにするため賭けに出る。 愛するひとの幸せを願ったヒロインと、世界の平和を願ったヒーローの恋物語。 ハッピーエンドです。 この作品は、他サイトにも投稿しております。 表紙絵は写真ACより、チョコラテさまの作品(写真のID:4463267)をお借りしています。

もう一度7歳からやりなおし!王太子妃にはなりません

片桐葵
恋愛
いわゆる悪役令嬢・セシルは19歳で死亡した。 皇太子のユリウス殿下の婚約者で高慢で尊大に振る舞い、義理の妹アリシアとユリウスの恋愛に嫉妬し最終的に殺害しようとした罪で断罪され、修道院送りとなった末の死亡だった。しかし死んだ後に女神が現れ7歳からやり直せるようにしてくれた。 もう一度7歳から人生をやり直せる事になったセシル。

処理中です...